『16人急性トリクロロメタン(クロロホルム)肝臓中毒』洗浄液メーカー、毒性物質の誤情報を渡したことが判明 2022年2月22日 韓国の労災・安全衛生
最近、部品洗浄の過程で次々労働者の「急性肝中毒」事故が発生している中、洗浄液を製造した業者が、成分を事実と異なる形で販売していた事実が確認された。故意かどうかを判断するため、雇用労働部は製造経緯を把握する一方、該当業者の洗浄液を使用する事業所の全数調査を始めた。
<ハンギョレ>の取材によると、洗浄液メーカー『ユソンケミカル』が流通業者に洗浄液を販売する際、化学物質取り扱いの注意事項を記載した「物質安全保健資料(MSDS)」に事実と異なる内容を書いて渡したことが確認された。洗浄液には『トリクロロメタン』が含まれていたが、物質安全保健資料には『ジクロロエチレン』を使用したと記載した。二つの成分はいずれも毒性物質だが、トリクロロメタン(10ppm)の方がジクロロエチレン(200ppm)より曝露基準が遙かに厳しい。労働者16人が急性肝中毒を起こしたトゥソン産業は、昨年10月、ユソンケミカルの洗浄液を購入し、物質安全保健資料の内容を基にジクロロエチレンに対する作業環境の有害性だけを測定して工場を稼動させた。トゥソン産業はこの過程で特殊健康診断は実施しなかった。結局、洗浄工程で働いていた従業員らは、トリクロロメタンに基準値以上曝露し、肝臓の数値に異常症状を示した。事故後、トゥソン産業は「納品業者が、物質安全保健資料を事実と違って書いた」と主張したが、確認の結果、書類を誤って作成した業者は納品業者ではなく、製造業者だったということだ。
成分が間違って表示されたユソンケミカルの洗浄液は複数の事業所に販売されており、これを使ったメーカーでは類似の事故が繰り返されている。金海市の自動車部品メーカー「テフンR&T」でも21日、毒性肝炎と類似の症状を見せる労働者3人が発見された。テフンR&Tが購入した洗浄液の物質安全保健資料にも、トリクロロタンが含まれているという記載はなかった。梁山地方雇用労働支庁は前日、勤労監督官と韓国産業安全保健公団の職員を現地に送り、テフンR&Tが使った洗浄剤試料を分析したのに続き、22日には洗浄工程の労働者26人に対する臨時の健康診断命令を出し、作業環境も測定する予定だ。
労働部は20日、ユソンケミカルの事務所を家宅捜索し、確保した資料を基に、事件の経緯を把握する一方、ユソンケミカルの洗浄剤を使用する他の事業所を追加で把握し、同様の症状を見せる労働者がいるかどうかの調査を行っている。韓国産業安全保健公団も職業病警報を発令し、トリクロロメタンが成分の洗浄剤を使用する事業場で似たような災害が発生しないように、予防措置を実施した。
2022年2月22日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者