「サムスン保護法」国会通過、労働者の知る権利の制限に反発 2022年1月12日 韓国の労災・安全衛生
人体に危険・有害な勤務環境に対する情報公開を基本的に遮断できる法案が11日、国会本会議を通過し、論議を呼んでいる。いわゆる「サムソン保護法」を更に強化したという指摘だ。
「国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法案」は国家戦略技術を育て、技術流出を防ぐのが法案の核心だ。半導体や二次電池、ワクチンなど、国家先端戦略産業を保護し、支援すべきだという趣旨だ。「半導体特別法」とも呼ばれる。
首相所属の国家先端戦略産業委員会を新設し、国家先端戦略産業特化団地を指定して運営し、特化団地入居機関に費用・金融・税制支援をする内容が含まれ、国家先端戦略技術を流出すれば処罰するとした。
問題は戦略技術の流出禁止・処罰条項だ。法15条(戦略技術の流出及び侵害行為の禁止)は、国家先端戦略技術に指定された技術の取得・使用・公開を厳格に制限している。訴訟などの適法な経路で戦略技術が含まれた情報の提供を受けても、情報提供の目的以外の用途で情報を使用したり公開した場合、5年以下の懲役または5億ウォン以下の罰金に処するとした。こうなれば、サムソン電子の白血病のような業務上の災害認定や訴訟などに情報を利用できなくなる。労働者や市民が安全保健関連の情報を取得することが遮断されるしかない。
2019年8月に改正された産業技術保護法も、国家核心技術関連情報の公開を禁止でき、目的外で使用すれば処罰し、「サムソン保護法」という批判を受けてきた。今回、国会本会議を通過した法によると、国家先端戦略技術に指定されれば、自動的に産業技術保護法上の国家核心技術になる。労働者・市民の知る権利を制限する法がまたできて、処罰のレベルは産業技術保護法(3年以下の懲役または3億ウォン以下の罰金)より厳しくなった。
正義党のリュ・ホジョン議員はこの日の反対討論で、「マスコミは半導体特別法と呼ぶが、私は半導体労働者労災認定妨害法と呼ぶ」とし、「法案が通過すれば、技術流出を防ぐだけではなく、国民の知る権利、働く市民の生命と安全の保護まで阻まれる」と指摘した。リュ議員は「毒素条項だけを論議して、補完した後に通過させよう」と訴えたが、受け容れられなかった。法案は在籍295人中、178人が賛成、13人が反対、26人が棄権して通過した。
2022年1月12日 毎日労働ニュース イム・セウン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=206899