石綿曝露-四国電力アスベスト中皮腫労災死事件/鈴木意見書参考文献-⑰メモ「石綿関連肺癌と石綿肺」
第2部 アスベスト疾患のひろがり
第2章 悪性中皮腫とはどんな病気か
Ⅱ 鈴木康之亮意見書添付資料 Ⅲ「参考文献」翻訳
7 肺がんと石綿肺に関する最近の報告
⑰メモ「石綿関連肺癌と石綿肺」
鈴木康之亮
1998年2月3日
1.M. NuminenとD. Tossavanine著
胸膜肥厚斑と、石綿肺のない肺癌とに関連があるか?
Scand J Work Environ Health誌、 1994年20巻62-64頁
「帰無仮説であろうと、石綿肺は石綿と肺癌の因果関係上欠かせないという推論は、非論理的である。」
2.B.W. CaseとA. Dufrence著
石綿、石綿肺、肺癌: ケベックのクリソタイル労働者の研究
Environ Health Perspect誌、1997年105巻(補遺5)1113-1119頁
「病理学的に診断された石綿肺の存在は、曝露の指標として有用ではあるが、石綿肺が存在しないことは、個人の曝露の状態と疾病の病因を示す多くの要素のひとつに過ぎないと、われわれは結論する。」
3.コンセンサス・レポート
石綿、石綿肺、癌; 診断と分類のためのヘルシンキ診断基準
Scand J Work Environ Health誌、1997年23巻311 -3116頁
「レントゲン学的に石綿肺と診断されなくとも、高度曝露は十分に肺癌の危険を増す。1年の高度曝露(たとえば石綿製品製造や、石綿吹き付け、石綿資材での保温作業、古いビルの取り壊し)、あるいは5ないし10年の中等度の曝露(たとえば建設、造船)は、肺癌の危険を2倍以上に増やす。極端に高度の石綿曝露の環境では、1年未満で肺癌の危険が2倍になりうる。」「たとえば、繊維数25本・年の石綿繊維の累積曝露、もしくは同等の職歴で、コホート集団の相対危険度はおおざっぱにいって倍になり、これは石綿肺が存在するかしないか、見つかるか見つからないかの水準である。繊維数25本・年以下の累積曝露でも肺癌の危険は増すが、それほどでもない。」
「レントゲン学的に石綿肺と診断されなくとも、高度曝露は十分に肺癌の危険を増す。」
4.D. EgilmanとA. Reinert著
肺癌と石綿曝露:石綿肺は不可欠ではない
Amer J Indust Med誌、1996年30巻398-406頁
「臨床的または組織学的に石綿肺がないとき(も)、石綿曝露の結果として肺癌が起こりうる。個人における因果関係は、曝露期間、曝露強度及びふさわしい潜伏期を考慮して評価されるべきである。」
5.P. Wilkinsonら著
胸部レントゲン写真で小陰影がないとき、肺癌は石綿曝露に関係しているのだろうか?
Lancet誌、1995年345巻1074-78頁
「レントゲン学的に明らかな肺繊維症を欠くときにも、石綿は肺癌に関係していることをこれらの結果が示している。」
6.G.HillerdalとD.W.Henderson著
石綿、石綿肺、胸膜肥厚斑、肺癌
Scand J Work Environ Health誌、1997年23巻93-103頁
「このように、石綿肺を欠いているときですら肺癌の相対危険度の証拠の山がどんどん大きくなっていく。」