「死の仕事場」で苦痛を受けた学校給食労働者を守る法案、常任委の敷居を越えた/韓国の労災・安全衛生2025年12月9日

肺ガンと筋骨格系疾患など、絶え間のない労働災害で『死の仕事場』と呼ばれた学校給食室の労働環境を改善する改正案が9日、国会・教育委員会を通過した。法案議論の過程で政府と教育界の一部から否定的な意見が出てくるなど、陣痛を験たりもしたが、学校給食労働者の断食と座り込み、全面ストライキなど、切迫した闘いが作り出した結果だ。
国会・教育委員会は全体会議を開き、学校給食法改正案を与野党の合意で処理した。進歩党のチョン・ヘギョン議員と「共に民主党」のコ・ミンジョン議員などが発議した改正案を統合・調整した代案は、学校給食労働者に法的地位を付与し、国家と地方自治体が学校給食労働者の健康と安全保障に必要な施策を講じるようにした。
核心は、学校給食従事者一人当りに担当しなければならない食数人員の基準を大統領令で定め、教育監が地域・学校条件などを考慮して配置基準を樹立するようにしたことだ。この間、地域毎に学校給食労働者の配置基準が異なり。一人当りの食数人員がバラバラで、学校給食労働者は、他の公共機関に比べて二倍ほどの食数人員に耐えなければならなかった。少ない人員で多くの子供たちの給食を担当した結果、自然に労災の発生率も高まる他はなかった。
学校給食室では、高強度の労働に慢性的な労災の危険、低賃金構造までが重なり、退職者は急増し、新規採用には達しないなどの状況が、毎年繰り返された。学校給食労働者の劣悪な労働環境が、結局給食にも影響を及ぼしかねないという心配が大きくなると、学校給食労働者はもちろん、市民社会と各界各層が学校給食法改正のための運動に取り組み始めた。
学校給食労働者で組織されている労働組合の全国教育公務職本部・全国女性労働組合・全国学校非正規職労働組合(連帯会議)も、二回の断食と三回の座り込み闘争、全面ストライキなど、切実な闘いを繰り拡げてきた。連帯会議代表団は5日から学校給食法改正のための断食闘争を始め、チョン・ヘギョン議員は同日、代表団と共に、学校給食法改正を追及する座り込みを続けてきた。学校給食法改正案が教育委の全体会議を通過したことによって、断食闘争と国会座り込みはこの日で終えられた。
残りは、国会・法制司法委員会と本会議の手続きだ。通常国会は終わったが、10日から12月に臨時国会が召集される。学校非正規職の労働者は、年内の本会議で改正案を処理すべきだと追及した。
全国学校非正規職労働組合(学費労組)は声明を出し、今回の改正案の意味に対し、「これ以上『ご飯を炊くおばさん』の汚名を公式的に雪ぐようにした。」「他の公共機関の二倍に達する過重な食数人員に耐え、高強度の労働に苦しめられ、肺ガン労災など、各種の危険に曝された学校給食労働者に、息を吹き込む踏み台を準備した」と意味を付与した。
学非労組は、「国会は、学校給食労働者の健康と安全のための法改正に最後まで責任を全うすべきだ。」「法案は、必ず年内に最終処理されなければならない」と強調した。
教育公務職本部も、「長い間、学校給食室で流した汗と涙、危険の中でも耐えてきた労働者たちの切迫した叫びに、国会が初めて応えた。」「傷を負い、病気になって、最後には肺ガン労災で同僚を送らなければならなかった惨憺たる現実を、これ以上無視できないことを政治が認めたことでもある」と評価した。
教育公務職本部は「最終の本会議通過まで、形式的な手続きは残ったが、今は、陣痛を終えて無難に通過することを信じる。」「労働組合は人員基準の具体化、休み中の無賃金の解決、安全な給食室の構築と処遇改善など、現場の要求を現実に変える課題を、最後まで完成していく」と誓った。
改革進歩4党も立場を表明して力付けた。チョ・グク革新党・進歩党・基本所得党・社会民主党は「今は国会が責任を持って答えるべきだ。」「今日が大変なら、直ぐに開かれることになる臨時会で、優先的に学校給食法を通過させなければならないだろう。給食労働者も、子供たちも、安全な給食室に進むための最小限の出発点」と強調した。

2025年12月9日 民衆の声 ナム・ソヨン記者


