「第二の金鎔均が出ないようにという願いは無視・・・・」だから重大災害法が必要 2023年12月07日 韓国の労災・安全衛生
最高裁が7日、2018年の泰安火力発電所での下請け労働者・キム・ヨンギュン(死亡当時24歳)さんの労災死亡事件の裁判で、元請けの韓国西部発電の法人とキム・ビョンスク前代表の無罪を確定した。労働界は、裁判所が『危険の外注化』で重大災害を起こした元請けに免罪符を与えたと批判し、重大災害処罰法の重要性を強調した。
民主労総はこの日声明を出し「子供の死を胸に刻んで、この五年間、訴訟を続けた遺族のかすかな期待を裏切って、第二・第三のキム・ヨンギュンが出ないことを渇望した労働者市民の念願をついに無視した。」「危険の外注化というパワハラが産業現場に蔓延する不平等な産業構造を助長する判決」と批判した。
韓国労総は「労働者の死を労働者個人の責任に転嫁した今回の判決は、キム・ヨンギュンさんに死んでも目を瞑らせないようにした残忍な判決であり、韓国労総は深い遺憾を表わす」とした。
裁判所が「キム・ヨンギュンさんと元請けには雇用関係が成立していない」という理由だけで、元請け事業主の責任を認めなかったという指摘が出ている。元請け責任を強化する「キム・ヨンギュン法」(産業安全保健法全部改正案)と重大災害法が、キム・ヨンギュンさんの事故の以後に施行されたために遡及適用ができなくても、キム・ヨンギュンさんが働いていた工程が、元請け韓国西部発電の管理監督を受けていた以上、キム・ヨンギュンさんと元請けの間には実質的な雇用関係が成立していると見る余地があったということだ。
韓国労総は「キム・ヨンギュンさんの死亡は、典型的な『危険の外注化』が生んだ結果」で、「元請けの雇用関係を形式的で過度に狭めて解釈した判決であり、改正産安法と重大災害法の適用の前後によって有罪と無罪を分けた機械的な判決だ」とした。
発電所の下請け労働者を組合員としている民主労総・公共運輸労組は「発電所の事業場の施設と設備は元請けの所有なので、下請け業者の意志だけでは改善は不可能なのに、元請け会社が無罪なら、誰に責任があるというのか。」「下請けと元請けとの区分なしに、事業主は事業場の安全予防の義務を果たさなければならず、これに違反すれば厳しく処罰されなければならない。『雇用関係にはないので知らなかった』と言い逃れをする事業主を処罰しなければ、誰が法を守ろうとするのか」と話した。
労働界は、元請けの安全保健関連の義務と責任を強調する重大災害法が正しく執行されなければ、同じような事故を防ぐことはできないとした。韓国労総は「若い労働者が夜間に一人で働いていて事故が起きて命を失ったにも拘わらず、結局、元請けの責任はないという今回の判決は、なぜ重大災害法が必要なのかをはっきりさせるもの」で、「キム・ヨンギュンさんのような死を防ぐためにも、重大災害法はより一層強化されるべきだ」と話した。
民主労総は「産業安全保健法による処罰の限界と、重大災害法制定の正当性と厳正な法執行の必要性を再び確認させる。」「50人(億)未満の事業場の重大災害法の適用猶予延長を前面に出して法の無力化を強行する尹錫悦政府に対して、「国民の力」と「共に民主党」は法適用猶予延長議論を直ちに中止せよ」と話した。
2023年12月7日 京郷新聞 チョ・ヘラム記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202312071536011