尹錫悦政権の検察が重大災害処罰法を無力化 2023年12月10日 韓国の労災・安全衛生

チョン・ギフン記者

政府・与党が50人未満の事業場に「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の適用を更に二年猶予する方案を推進する中で、検察を中心に、既に法を無力化しようとする行動が繰り返し明らかになっているという診断が出た。現場取材記者の、事業主が安全な職場を作るよりも重大災害の原因をとんでもないところで見付けたり、実態を隠すことに汲々としているという経験も共有された。会社を支配、運営する経営陣に責任を問わなければ、労災を効果的に減らすことはできないという主張が、重大災害処罰法の施行以後も繰り返えされる形だ。

作業を指揮する元請け法人に免罪符を与えた判決

金鎔均財団は8日、「重大災害処罰法はどこに行くのか、そしてキム、ヨンギュン最高裁判決」を主題に、座談会を開催した。重大災害事故を集中的に取材してきた現場記者たち、キム・ヨンギュン裁判の弁護団、発電労働者などが、最近の重大災害事件の特徴を見付け出し、重大災害処罰法の実効性を高めるための意見を交わす場として準備された。

座談会開催の前日、最高裁は韓国発電技術所属の故キム・ヨンギュンさんが2018年12月に亡くなった事件と関連し、産業安全保健法違反と業務上過失致死の疑いで起訴されたキム・ビョンスク元韓国西部発電代表に無罪を宣告した。キム・ヨンギュン特別調査委員会の幹事を務めたクォン・ヨングク弁護士は、「(キム・ヨンギュンさんの死は)施設の点検過程に問題があったというよりは、施設自体が持つ危険によって引き起こされた事故と見るのが、遙かに実体に合致する。」「ところが、施設と作業過程の問題などによる危険を招いた主体である法人(韓国西部発電)が無罪判決を受け、結局、中間管理者の処罰だけに終わった」と口惜しがった。発電非正規労組代表者会のイ・テソン幹事は「裁判の過程で、会社側は、二人一組で仕事をしなければならない重大な現場ではないと主張し続けた。」「ベルトコンベヤーに頭を入れて、石炭を除去せざるを得ない現場だったという点を否認し、結局、事故の責任をヨンギュンに押し付けた」と主張した。

「重大災害の責任を労働者に転嫁」使用者の行動をあちこちで発見

事故の責任を当事者に転嫁する使用者の姿勢は、最近の重大災害事故で一貫して現れている。クパンの物流センターで働いていたが、2020年10月12日に意識を失ったままで発見されたチャン・ドクジュンさんの事故に関して、最近クパンの子会社のクパンフルフィルメントサービスは、死亡原因を「過度なダイエット」と主張した。チャン・ドクジュンさんの遺族が会社を相手に起こした損害賠償訴訟の弁論で、クパンの弁護団がこのように主張した事実を、毎日労働ニュースのホン・ジュンピョ記者が取材によって確認した。ホン・ジュンピョ記者はこの日の座談会で「クパンはダイエットで亡くなったと主張するために、故人のオンラインによる物品購買の内訳全体を確認しようと要求するなど、常識外の姿勢を見せた。」「責任を押し付ける姿勢を見てとても驚いた」と話した。

SPCグループで発生した重大災害を集中的に取材してきたハンギョレ新聞のチャン・ヒョンウン記者は昨年10月、平澤SPL製パン工場での死亡事故に関して「ソースの配合作業は非常に危険だが、危険性評価はなく、設備の危険評価はしたが、危険は微々たるものと判断して措置を執らず、特別延長勤労を申請して長時間労働をさせ、安全作業標準書もないなど、安全体系が崩れた状況で発生した。」「(今年8月に発生した)城南シャニー製パン工場の重大災害を取材した時、会社が安全な職場を作ることに専念するよりも、取材拒否など、外部に洩れることを阻止することに専念する姿を見て非常に悔しかった」と取材の過程を紹介した。「安全を強化しろと言ったら、マスコミ統制を強化したのか」という嘆きが、参加者の中で続いた。クォン・ヨングク弁護士は「『責任のない自律は詐欺だ』ということを、これらの事例から確認できる。」「それでも労働部は、責任をどのように問い、災害を予防するのかについては調べず、自律・放任に行くとしか言わない」と批判した。

チョン・ギフン記者

検察は求刑を軽くし、裁判所は処罰を軽く

重大災害処罰法への揺さぶりが、法制定後も続いているという意見も出た。キム・ヨンギュンさんの事件で遺族を支援したパク・ダヘ弁護士は、「重大災害処罰法の起訴1号事件の当事者であるトゥソン企業が提起した違憲法律審判は受け容れられなかったが、その判決での処罰は、産業安全保健法と変わらなかった。」「最近の判決を見ると、裁判所が重大災害を重大な犯罪と考えているのかを疑問に思う」と吐き出した。クォン・ヨングク弁護士は「最高検察庁は重大災害処罰法の求刑を二年六月から四年の間にすることに指針を決めたが、最近の事件を見ると、検察の求刑は大部分二年になっている。」「政府、最高検察庁次元で、重大災害処罰法を法執行の過程で無力化しており、これは検察の求刑によって確認される」と主張した。軽い量刑を求刑し、執行猶予などの軽い宣告を引き出すやり方で、重大災害処罰法の立法趣旨を失わせているということだ。

参加者たちは、元請け代表と法人に免罪符を与えたキム・ヨンギュンさんの裁判の結果は残念だが、一方では希望も見えるとした。元請けを無罪とした判決に、多くの人たちが怒っていることを確認し、これは安全な職場を作っていこうとする努力の原動力になり得ると見た。

2023年12月10日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者

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