ライダーの3割が憂うつ危険の「平均以上」 2023年10月25日 韓国の労災・安全衛生

公共運輸労組ライダーユニオン支部と正義党のイ・ウンジュ議員室の主催で25日に行われた『労災1位の配達、原因を暴く』討論会/チョン・ギフン記者>

配達労働者3割が中等度以上(中等~重症)のうつ病の危険状態にあるという調査結果が出た。現行の産業安全保健法では、配達労働者は『感情労働者保護法』の保護を受けられないため、働くすべての人を保護する産業安全保健体系が必要だと指摘される。

配達労働者の80%にストレス問題が深刻

公共運輸労組ライダーユニオン支部と正義党のイ・ウンジュ議員は25日、『労災1位の配達、原因を暴く』討論会を行った。共に民主党のユン・ゴンヨン議員が雇用労働部に要請して取り寄せた資料によれば、8月現在、労災承認件数が最も多い事業場は、1273件を記録した「配達の民族」の運営会社「優雅な青年たち」だった。昨年に続いて配達業が1位を占め、配達労働者を保護する対策が切実だとされる。討論会は、配達労働者の健康と労働条件を調査した結果をみた後に、産業安全保健法の死角地帯を議論する順に行われた。法改正の方向と政府の政策に対する注文も出た。

韓国産業医療福祉研究院とライダーユニオン支部は、4月から6月まで、365人の配達労働者の精神心理の健康を調査した。その結果、回答者の33.15%が中等度・重症以上の憂うつを訴えた。80%の労働者はストレスの問題が極めて深刻で、38.36%の回答者は自尊心毀損に係わる問題も深刻に経験していた。

調査の発表を担当した延世大社会発展研究所のパク・スミン専門研究委員は、「同僚との相互作用が制限される労働環境で、アルゴリズムのコントロールを受け、顧客と商店の暴言に曝される労働方式が、配達労働者の精神の健康にどのような影響を与えるのかに注目する必要がある」と説明した。「自己搾取的な労働に誘導するプラットフォームのインセンティブ、プロモーション制度は、新規の労働者が流入することによって、従来の配達労働者の目標達成を更に難しくし、競争をより一層拡大させる効果がある」と分析した。

同時に、心理的にも脆弱で高い労災の危険に曝された配達労働者の作業環境全般をしっかり見るべきだと強調した。また、このような作業環境をコントロールし、設計するのが「アプリケーション」すなわちアルゴリズムだと話した。

パク・スミン研究委員は「ニューヨーク州では、物流センター労働者保護法を導入し、労働者に与えられた割当量を書面で公示し、働く速度に対するデータを公開するようにしている。」「割当量未達成による処罰は禁止され、アルゴリズムの作動による生産性の基準は、労働法に符合することを要求している」と説明した。

はんだ付け式の安全保健システムを全面見直すべきだ

労災の1位を占める配達業労働者を保護する法令が足りないという指摘も出た。安全保健規則の673条は、配達労働者に対する安全措置を明示している。しかし、配達労働者は結果的に、休憩施設、猛暑対策、顧客応対時の勤労者保護などに関する法の適用を受けていない。配達労働者を産業安全保健法や安全保健規則に明示された労働者として扱わず、673条に限って、配達従業員という名前で別途に分類をしたためだ。専門家は、このような「はんだ付け式」の処方では、急速に変化するプラットフォーム産業の死角地帯に置かれた労働者を保護できないと強調した。

職業環境医学専門医の韓国労働安全保健研究所のチェ・ミン常任活動家は、「労災保険法上の専属性が廃止されたように、産業安全保健法上の専属性の基準も廃止すべきだ」とし、「労災保険法であれ、安全保健規則であれ、職種を制限するやり方の安全保健体系を根本的に改編すべきだ」と強調した。

配達業に対する積極的な勤労監督と産業安全関連の行政統計に、配達労働者を含ませる政府の積極的な施策も注文した。

「プラットフォーム労働の希望探し」のオ・ミンギュ執行責任者は「労災1位業種に、勤労監督、産業安全監督が一度もない。」「政府は『勤労基準法上の勤労者ではない』という言い訳だけをしている」と批判し、「雇用労働部が毎月発表する雇用行政統計で見た労働市場動向資料からも、150万人の代行運転手、配達労働者が除外されている。」「雇用保険と労災保険に加入した人たちを、統計分析さえしないということは深刻な問題だ」と付け加えた。

配達業の労災が深刻な問題に浮上した以上、危険性の評価ができるように労災分析が必要だという意見も提起された。

オ・ミンギュ執行責任者は「昨年、配達プラットフォーム3社で発生した労災、2400件余りに対する事故分類が行われているのかを、労働部に訊きたい。」「事故類型、事故要因、平均経歴など、労災事故に対する基礎調査が行われていなければ、事故予防に必要な危険性の評価はできない」と強調した。

2023年10月25日 毎日労働ニュース チョン・ソヒ記者

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