昌原のトゥソン産業で16人が『急性トリクロロメタン(クロロホルム)中毒』重大災害処罰法施行後、初の職業性疾病 2022年2月18日 韓国の労災・安全衛生
昌原で、重大災害処罰法が施行されて以来初めて、職業性疾病による重大産業災害が発生した。雇用労働部は重大災害処罰法に違反したかどうかについて捜査に乗り出した。
雇用労働部・釜山地方雇用労働庁と昌原支庁は、昌原のエアコン部品メーカー『トゥソン産業』の従業員16人に、毒性物質の急性中毒による職業性疾病が発生した事実を確認し、証拠確保のために事務室を家宅捜索している。雇用労働部が今月10日に調査に着手し、作業環境測定や建康診断を命じた結果、16日に、71人の対象者のうち16人が急性中毒と判定された。労働部は判定が出た当日、トゥソン産業内での洗浄工程の作業中止を命令し、トゥソン産業の代表取締役と法人を産業安全保健法違反の疑いで立件した。また、重大災害処罰法に違反したかどうかを判断する調査にも着手した。
LG電子の社外協力会社であるトゥソン産業は、職業性疾病によって重大な産業災害が発生した初の事例だ。重大災害処罰法は、同一の有害要因で、施行令が定める職業性疾病者が、1年以内に3人以上発生した50人以上の事業場に適用される。トゥソン産業の常時労働者は257人だ。
<ハンギョレ>の取材を総合すると、この急性物質は重大災害処罰法施行令にある特殊健康診断対象有害因子の「トリクロロメタン」だと確認された。無色の揮発生液体の「トリクロロメタン」は、主に電子製品の部品の洗浄液として使われ、一定の数値以上になると肝臓の数値異常や損傷を誘発する。労働部の調査の結果、同事業場で検出されたトリクロロメタンは最高48.36ppmと確認された。曝露基準の8ppmの6倍に達する。この化合物は揮発性が強く、空気中から吸収されることが多い。トゥソン産業の職員にも、エアコン部品の洗浄液を使う過程で急性中毒が発症した。今月10日、ある職員が健康診断のために病院へ行ったところ、最初の症状が発見され、病院が急性中毒の症状を確認して雇用労働部に届け出たことで、職員全体の調査に拡大した。急性中毒疾病の判定を受けた職員の生命に別状はなく、治療を受けている。
トゥソン産業は、昨年10月から洗浄力の優れたトリクロロメタンを洗浄剤として使用している。産業安全保健法は、トリクロロメタンを使用する作業場に対して、作業環境測定を行って異物に対する曝露評価を行い、曝露基準を超過した場合、作業環境を改善をするように定めている。事業者は特殊検診によって労働者の身体の状態を周期的に観察し、化学物質が空気中に拡がることを防がなければならない。しかし、トゥソン産業は昨年10月に洗浄剤を変えた後、作業員にこの事実を知らせておらず、換気施設もキチンと整っていないという。
民主労総慶南本部は「今回の事故は単にトゥソン産業だけの問題ではない。元請け会社であるLG電子の安全保障に対する責任の所在を明確にするべきで、LG電子とすべての協力会社に対する全数調査を行うべきだ」と主張した。
雇用労働部は、トゥソン産業の本社から確保した資料を基に、産業安全保健法違反の容疑を把握する一方、経営責任者が安全保健措置の義務を果たしたかどうかについても捜査する方針だ。重大な産業災害が発生したからといって、直ちに法が適用されるわけではない。経営責任者が職業性疾病災害を予防するための措置を尽くしたのかを把握し、そうでない場合に適用できるからだ。雇用労働部は「重大な産業災害について迅速に捜査し、厳正に責任を究明する計画」だとした。
2022年2月18日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン、パク・テウ記者