追悼式には行かず 「重大災害法」で、今死んでいく人を助けます 2020年12月11日 韓国の労災・安全衛生

故キム・ヨンギュンさんのお母さん・キム・ミスクさんが11日、重大災害企業処罰法の制定を求めて国会本庁の前で断食座り込みをしている。/パク・ジョンシク記者

11日の昼12時、国会本庁前。キム・ミスクさんは『重大災害企業処罰法直ちに制定要求断食者・キム・ミスク(故キム・ヨンギュンのオモニ)』と書かれたゼッケンを胸に着け、冷たい床にふとん座布団を敷いた。隣には黄色いパーカーを着たカン・ウンミ正義党院内代表が『今日も誰かが帰ってこれませんでした』と書かれたプラカードを持ち、放送界の『超長時間労働』の現実を告発して、2016年10月に極端な選択をしたイ・ハンビッ・ディレクターのお父さんイ・ヨングァンさんも座った。

これら3人と民主労総のイ・サンジン副委員長の4人が、この日から重大災害企業処罰法(重大災害法)の制定を要求して無期限断食を始めた。背後には、正義党が21代国会の第1号法案として重大災害法を発議した6月11日以後に、産業災害によって『退勤できなかった労働者』の数が記録された。この日までで598人だった。キム・ミスクさんはこの日の午前に行われた記者会見で、「毎日のように、ヨンギュンのように挟まれて死に、窒息して死に、感電して死に、過労で死に、化学薬品の中毒で死ぬ。余りにも多くの人が死ぬ。どうか、もう死ぬのはいい加減にして。」「食事を抜いたことがないので恐いし、ちゃんとできないかも知れない。しかし、私の切迫した思いで他の人を生かすことができるのなら、私にできる最後の手段」と話した。

記者会見が終わって、<ハンギョレ>と会ったキムさんは、「口だけの約束」をする政治家たちを強く糾弾した。キム・ヨンギュンさんの死の後の2年間に、産業安全保健法改正と重大災害法の立法を巡って、数多くの政治家たちの約束がキムさんの目と耳をかすめて行った。しかし、今年1月16日から施行された改正産安法は「(重要な争点が)すべて除外され、人を生かすことができない、そのような法」になった。依然として危険作業を下請けさせるのに大きな制約はなく、元請けの安全責任も軽い。「産安法に『ヨンギュン法』という(名前を)付けたが、『ヨンギュンのいないヨンギュン法』で、ヨンギュンをもう一度騙した法だと思います。」

重大災害法も同じだ。8月に共に民主党の党代表に就任した時から重大災害法の制定を約束したイ・ナギョン代表は、相変らず「重大災害を予防し、その責任を強化する方法を、最大限早い時期に制定する」(10日フェイスブック)という言葉だけ繰り返している。共に民主党のチェ・インホ首席スポークスマンは、今日、党最高委員会を終えた後「最大限、今回の臨時国会内に常任委を通過させることを目標に、深みのある議論が行われる」と言ったが、キムさんは首を横に振った。「(共に民主党の政策委議長の)ハン・ジョンエ議員が『省けるものは省こう』と言ったので、非常に心配しています。政治家たちは、言うだけは言っておこうというやり方です。人が亡くなれば、毎日葬儀室に来て冥福を祈りますが、すべてショーのようです。本当に冥福を祈ろうとするのなら、法律を作って(死を)止めなければならないと思います。」

故キム・ヨンギュンさんのお母さん・キム・ミスクさんとカン・ウンミ正義党院内代表、イ・ハンビッ・ディレクターのお父さんのイ・ヨングァンさん(左から)が11日、重大災害企業処罰法の制定を求めて国会本庁の前で断食座り込みをしている。/キム・ギョンホ専任記者

キムさんは当初、断食まで選択する積もりはなかった。普段、彼女は産災事故が発生すると、遺族たちを訪ねて「無条件に合意せず、何がどうなったのか頑張って知りなさい。食事もちゃんとして、そうしなければ身体が持ちません」というお願いをしてきた。しかし、今回は自分が食を断つという選択に追い込まれた。「野宿座り込みをしてもダメですから。今年中に(重大災害法を立法)できなければ、この法は今までのように、進める人が誰もいなくなるでしょう。」

キムさんは7日から国会本会議場のロテンドホールの前で座り込みをしてきた。前日、忠南の泰安火力で行われた『キム・ヨンギュン2周忌追悼式』にも参加せず、国会での場所を守った。キムさんは「追悼式も私には重要だが、今でも毎日死んでいく人たちを生かすことの方がもっと緊急な問題」で、「ヨンギュンもそれを望んでいる」と話した。しかし、9日に終了した21代国会で初の定期国会では、重大災害法は議論さえされなかった。

「今回も重大災害法が粗末に扱われれば、ヨンギュンに、どのようにこの国を説明して良いのか分かりません。私は何をしたと言えるでしょうか。ヨンギュンがこのようにしているママを見た時『ママ、いくら何でもダメだよ』と言いそうな気がします。こうして、死んでも安らかにママを見られないヨンギュンに、申し訳ない気持ちで一杯です。」キムさんの目頭が赤く染まり始めた。

2020年12月11日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン、ジョン・ファンボン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/973859.html