全泰壱(チョンテイル)三法運動-特に、勤労基準法改正、労働組合法改正の意義について/中村猛 韓国の労災・安全衛生

全泰壱三法は、5人未満事業場まで法を適用する内容の勤労基準法改正案、特殊雇用・間接雇用労働者に労働三権を保障するようにした労働組合および労働関係調整法(労組法)改正案、そして、重大災害企業処罰法制定案です。

日本法と対比すると

日本の労働基準法では

労働基準法は労働者をひとりでも雇用する場合,すべての事業者に労働基準法は適用されます。

ただし,同居の親族のみを使用する会社や,家事使用人,公務員,船員については例外とされています。

韓国の勤労基準法では

第11条(1)で、この法律は、常時5人以上の勤労者を使用するすべての事業又は事業場に適用する。

ただし、同居する親族のみを使用する事業又は事業場及び家事使用人に対しては、適用しない。

です。

勤基法の改正請願案は、5人未満事業場の労働者保護が目的。現行の勤基法11条(適用範囲)によれば、「この法は常時5人以上の勤労者を使うすべての事業または、事業場に適用する。」とする。

5人未満事業場で働く労働者は、勤労時間・有給休暇・経営上解雇手続きなどで不当なことにあっても訴える方法がない。5人未満事業体は全体の60%以上だ。民主労組は5人未満事業場労働者を358万6千人と推定している

日本の労働組合法では

第2条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。

一、職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの

二、団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。

三、共済事業その他福利事業のみを目的とするもの

四、主として政治運動又は社会運動を目的とするもの

第3条(労働者)この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

韓国の、労働組合および労働関係調整法(労組法)では

第2条 この法律で使用する用語の定義は、次の通りとする。

1、「勤労者」とは、職業の種類を問わず、賃金・給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

2、「使用者」とは、事業主、事業の経営担当者又はその事業の勤労者に関する自公について事業主のために行動する者をいう。

4、「労働組合」とは、勤労者が主体となつて自主的に団結し、勤労条件の維持改善その他勤労者の経済的・社会的な地位の向上を図ることを目的に組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左のいずれかに該当する場合には、労働組合とはみなさない。(以下は日本法と同文)

労組法の改正願案は法2条(定義)に明示された『勤労者』の定義を「自身でない他の人の業務のために労務を提供し、該当事業主または労務受給者から代価を受けて生活する人」とし、特殊雇用労働者が労組法の適用を受けるようにしなければならないという提案で、『使用者』の定義も『勤労者の勤労条件に対して事実上の影響力または、支配力を行使する者』までを含ませて、間接雇用労働者が元請け使用者と交渉する権利を保障する内容が入れられた。

民主労総は間接雇用労働者数を346万5千人余り、特殊雇用労働者数を220万9千人余りと集計している。勤労基準法・労組法改正案はキム・ジェハ民主労総非常対策委員長が請願人になっている。