第一スレート板橋工場で4人目の石綿被害(肺がん)下請運送会社でも/東京
東京都板橋区坂下にあった第一スレート(株)板橋工場では、1940年11月から1983年12月に廃止するまでの43年間、石綿スレートを製造していた。同社では、2017年度以前に2名の労働者が肺がん(死亡)で、1名が石綿肺(石綿救済法)で労災認定されている(厚生労働省発表)。
昨年7月、同社専属の下請運送会社で働いていたKさん(故人)の遺族から相談を受けた。
2000年4月にKさんは肺がんで亡くなった(80歳)。現役時代は運送会社のトラック運転手として約30年間働いた。第一スレート板橋工場内に出入りし、石綿スレート製品在トラックに積み込み、トラックを運転して取引先や工事現場に製品在納品していた。年金の被保険者記録を確認したところ、一時期、第一スレートにも在籍していたこともわかった。そのうえKさんの妻は、第一スレートの事務職として働き、工場内の居室に家族で暮らしていたこともあったと言う。
亡くなった当時の病院に問い合わせたものの、19年前のカルテや画像フィルムはすでに廃棄されており、医学的資料はほとんど残っていなかった。とはいえ、第一スレート板橋工場はまぎれもない石綿製品製造業であり、すでに3名の認定者を出している。下請運送会社のKさんは石綿スレートの運搬作業に従事したなかで石綿ばく露したはずである。Kさんは石綿関連の肺がんで亡くなったと考えられる。
昨年7月、遺族は中央労基署に石綿救済法による特別遺族一時金の請求をした。東京労働局石綿班は医学的資料が乏しいことを理由に、本省協議事案にしたため調査に時間がかかったが、今年2月、やっと支給決定の通知が届いた。
第一スレート板橋工場の石綿被害は下請労働者に連鎖している。潜在する第一スレート関連の石綿被害の掘り起こしに取組んでいかねばならない。
記事/問合せ先:東京労働安全衛生センター
安全センター情報2020年10月