中皮腫サポートキャラバン隊:ステイホームしながら展開中/中皮腫患者インタビュー動画に毎週中皮腫サロン

チキンケイ(中皮腫サポートキャラバン隊)

キャラバン隊報告
「明るく、元気に行こうぜ!」

皆さん初めまして。今月から誌面をお借りして、中皮腫サポートキャラバン隊(以下、キャラバン隊)の活動について報告していきますので、皆さんよろしくお願いします。
キャラバン隊と言われてもいったい何者なんだ?と言う方もおられると思いますので、はじめにキャラバン隊について少しおさらいをしておきます。

キャラバン隊とは?

キャラバン隊の誕生は、2017年5月まで遡ります。それは、くりちゃんこと栗田英司共同代表と、みぎちゃんこと右田孝雄共同代表、この2人の出会いからはじまりました。

当時くりちゃんは腹膜中皮腫17年目の患者で、中皮腫では一番の長期生存者でした。

一方、みぎちゃんは2016年7月に胸膜中皮腫を発症し、主治医から「余命2年」と宣告されました。どん底の心境ながら何か救ってくれる道はないかとネットを検索していても、予後の悪いことばかりしか載っていませんでした。そこでたまたま「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の連絡先を見つけて連絡するも、見当違いの回答が返ってきて「私には交わることのない場所だ」と当時決め付け、ブログで情報を得ることにしました。

その頃中皮腫患者は、診断後の余命が1年から2年と宣告され、体調も優れないことが多く、より良き情報を得ようとインターネット、書籍等を調べても、治療や療養、同じ中皮腫患者の情報を見つけるのが困難なうえ、積極的な気持ちになれる情報が少なく、患者さんをはじめ家族も同様に精神的にも追い込まれ、その多くが孤立しやすい環境にいました。

ブログを通して知り合ったみぎくりの2人はすぐに意気投合し、みぎちゃんの地元岬町、岬の見える丘の上で、中皮腫患者同士のピアサポート活動を誓い合ったのでした。

明るい希望を持つことができない患者さんと家族に対して、わずかながらでも希望と勇気を持ってもらいたいと思い「中皮腫サポートキャラバン隊」として、中皮腫患者自身が中皮腫患者のもとを訪れ、自らの経験と想いを分かち合い、中皮腫と診断されても「明るく、元気に行こうぜ」というメッセージを伝える、中皮腫ピアサポート活動を始めたのでした。

その後すぐに、キャラバン隊テーマソング・希望の道標で歌われているように、“おやじ2人にそそのかされた北の大地のアイドル”かなみん(田中奏実さん、胸膜中皮腫、北海道在住)が加わり、3人での全国ピアサポート行脚がはじまったのでした。
2020年5月現在、右田代表(みぎちゃん)のもと、活動に参加する患者さん、家族、事務局、総勢25名体制にプラスして全国の多くのサポーターの皆さんの支えで、日々活動の幅を広げています。

コロナ禍の影響をもろに
受けたキャラバン隊

キャラバン隊のピアサポート活動は、日本全国のみならず韓国やヨーロッパでの講演会や相談会と、ハードなスケジュールで活動してきました。くりちゃんいわく、ブレーキの壊れた機関車のごとく走ってきました。

ところが2020年、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、日本でも緊急事態宣言が発令されて、何とか感染の拡大を防ごうと、外出の自粛、3密の回避など日々の生活や経済にまで大きな影響が出ています。

そして、7月20日から開催予定だった東京オリンピックの1年間延期にはじまり、スポーツや芸能、多くのイベントが中止・延期せざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。
中皮腫サポートキャラバン隊の活動についても例外ではありませんでした。キャラバン隊の活動に係る多くの人たちが、中皮腫や肺がん等の呼吸器疾患患者さんたちです。講演会や相談会に来られる患者さん、家族の健康を最優先に考えて、止む無く3月からすべてのイベント、全国キャラバン活動を中止することとしたのでした。

コロナ禍で中止となった
全国キャラバン活動

  • 沖縄・2020年3月7日(土)中皮腫、肺がん、アスベスト疾患セミナー
  • 千葉/2020年3月14日(土)中皮腫と肺がんの「治験」と「ゲノム医療」(国立がん研究センター東病院)
  • 東京/2020年3月15日(日)絶対に諦めてはいけない「中皮腫」治療24時(国立がん研究センター)
  • 埼玉/2020年3月28日(土)中皮腫サポートキャラバン隊in秩父
  • 埼玉/2020年3月29日(日)中皮腫サポートキャラバン隊inさいたま
  • 三重/2020年4月11日(土)中皮腫サポートキャラバン隊in四日市

その他、兵庫医科大学中皮腫サロン、全国各拠点での中皮腫サロン等です。

ピアサポート at StayHome

「こんな時だから、やれることをどんどんやるだけや!」半ば開き直るかのようにそう言ったみぎちゃんは、オンラインを使ったピアサポート活動に取り組みました。

「今は、コロナの影響でキャラバン隊活動や、患者さんとの面会を自粛している。しかし、今状況下でも全国で療養を続けている中皮腫患者はたくさんいる。何とか励ませないか?」
みぎちゃんは、そんなことを考えているときに、キャラバン隊発足当時のことを思い出していました。

当時、くりちゃんが「全国の長期生存者や元気な患者を見つけてインタビューしよう。そして一冊の本を作ろう」と提案したことで、全国の長期生存者や元気な患者を探して全国行脚を始めたのでした。その後のインタビューは、くりちゃんの著書「もはやこれまで」の中で紹介されています。

そして今回はじまったのが、「コロナに負けるな!第1回ZOO
Mで中皮腫患者インタビュー」です。皆に直接会わなくてもオンラインで顔を見ながら話ができる。元気な患者さんのインタビューを公開して、それを全国の患者さんに見てもらいたい。少しでも励みになってもらいたい。

そのような思いではじめたZOOMで中皮腫患者インタビューは、すでに5回を数えて、全国の患者さん、家族を励まし続けています。

さらに、これまでは毎月第2水曜日に開催してきたZOOMサロンを、毎週水曜日と毎月第2土曜日に開催する事として、全国の患者さん、家族とつながって、助言・相談・交流を深めています。

明るく、元気にいこうぜ

みぎちゃんの、キャラバン隊代表としてのアイデアと行動力は、YouTubeやオンライン飲み会へと展開してきています。ZOOMを使用した、オンラインでつながり合った全国の患者さん、家族、キャラバン隊サポーターの表情は、皆明るさにあふれています。
とくに、不定期で開催されるオンライン飲み会では、患者さんがわずかな時間でも病気のことを忘れて笑顔のもと、明るく元気にしています。くりちゃんも笑っていることでしょう。

安全センター情報2020年7月号