オプジーボとヤーボイの併用療法の「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」への適応拡大承認申請~中皮腫治療の新たな前進

2020年10月27日、小野薬品は「オプジーボとヤーボイの併用療法 「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」への適応拡大に対する 製造販売承認事項一部変更承認申請」と題するリリースを発表した。

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン、以下、BMSKK)は、本日、ヒト型抗ヒト programmed cell death-1(PD-1)モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)とヒト型抗ヒトcytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4(CTLA-4)モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注液」(以下、ヤーボイ)の併用療法について、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する効能又は効果に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたのでお知らせします。

今回の承認申請は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法をプラチナ製剤を含む標準治療の化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験(CheckMate-743 試験)の中間解析の結果に基づいています。本解析において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、化学療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を達成しました。
本試験で認められたオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、本併用療法でこれまでに認められているものと一貫していました。

悪性胸膜中皮腫は、胸腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍です。日本では、悪性胸膜中皮腫の総患者数は約 2,000 人と推定されています*。その発症原因は職業環境及び生活環境から吸入した石綿(アスベスト)との関連が高く、石綿曝露から約 30~50 年という非常に長い期間を経て発症することが知られています。悪性胸膜中皮腫に対する初回薬物治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われています。今回の申請により、オプジーボとヤーボイの併用療法が悪性胸膜中皮腫の患者さんにとって新たな治療選択肢の一つとなるものと期待されています。

小野薬品リリース 研究開発2020.10.27
オプジーボとヤーボイの併用療法「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」への適応拡大に対する製造販売承認事項一部変更承認申請(296KB)

中皮腫は、アスベストに特異的な「がん」として知られており、予後不良の希少がんである。希少がんであることもあり、治療法の開発がなかなか進まず、リリースにあるように、一次治療では胸膜中皮腫における ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法 だけが標準療法であり、かつ、2年前から胸膜中皮腫の二次治療におけるオプジーボの保険適用が加わったが、化学療法はオプションはいぜんとして限られている。

ところが、最近、腹膜など胸膜以外のオプジーボの医師主導治験が兵庫医大で開始されるなど、中皮脾腫治療に前向きな展開が現れてきた。

今回の承認申請は、こうした流れをさらに前進させるものとして注目されており、中皮腫サポートキャラバン隊や関係患者団体、学会が早期承認を要請する方向で準備していると伝えられている。

アスベスト被害の中でも、特に予後が悪いといわれてきた中皮腫患者の治療が少しでも前進していることを歓迎すると共に、さらに加速させるための支援活動が求められている。