29年間火を消して白血病に罹った消防士・・・裁判所「業務上の疾病認定」/韓国の労災・安全衛生2025年12月14日

ソウル行政裁判所庁舎。 京郷新聞の資料写真

29年間火災鎮圧業務をして白血病の診断を受けた消防士が、裁判所から業務と疾病の関連性を認められた。

法曹界によると、ソウル行政裁判所が最近、Aさんが人事革新処長に起こした公務上療養不承認処分取り消し訴訟で、原告勝訴判決を行った。

Aさんは出動隊員、出動部署長、消防署長などとして勤務し、2021年に急性骨髄性白血病の診断を受け、人事革新処に療養給付を請求した。しかし、人事処はAさんが火災鎮圧・救助業務を2年2ヶ月ほど行い、この業務を担当して約22年が過ぎた後で白血病に罹ったもので公務上の因果関係が認められないとし、公務上の療養不承認処分を行った。

これに対しAさんは「消防公務員として勤めながら、個人保護装具が十分に普及していない状態で火災現場への出動業務を行って、ベンゼンなどの有害物質に持続的にばく露した」として訴訟を起こした。

裁判所は「Aさんが消防公務員として勤務し、発病原因となる有害物質に長期間ばく露されたことで白血病を発病することになったと推断できる。」「公務と白血病の間に相当な因果関係が認められると見るのが妥当だ」とAさんの手を挙げた。

裁判所は、Aさんが火災鎮圧を指揮する幹部として勤務し、一線の消防隊員と同様に有害物質に曝されたと見た。続けて「Aさんが現場に出動して業務を行った」という同僚消防士たちの陳述などを総合して「Aさんが主に行政業務だけをしてきた」という人事処の主張を受け容れなかった。

裁判所は「Aさんの実際の出動件数が1047件にしかならないとしても、様々な事情に照らしてみれば、Aさんが少なくとも数百件の火災現場に出動し、火災鎮圧業務などを行ったことは十分に認めることができる」と判示した。

続けて、「現場指揮官は、一線隊員たちと同じように火災現場の中心部と非常に隣接した位置で業務を行うことが確認できる点などに照らしてみれば、Aさんは現場指揮をしながら、相当な量の有害物質にばく露されたと見られる」とした。また「Aさんが消防公務員として勤務する前に関連の疾病を患ったとか、家族歴・遺伝子があると見るに値する資料もない」とした。職業環境医学科の専門医が、公務と白血病の間の業務関連性があると見ることができるという意見を明らかにしたことも判決に引用した。

2025年12月14日 京郷新聞 イム・ヒョンギョン記者

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