重大災害死亡・負傷者数が含まれた887社の実名公開/韓国の労災・安全衛生2025年11月18日

2022年から2024年までに発生した重大産業災害887件の元・下請け企業の名簿全体が公開された。特定期間中に重大災害が発生したすべての企業名簿が全面公開されたのは、今回が初めてだ。市民団体が雇用労働部を相手に起こした訴訟の成果だ。重大災害発生企業に対する周期的で具体的な情報公開が行われるべきだという指摘が提起されている。
市民団体『透明社会のための情報公開センター』は18日、労働部に情報公開請求をして受け取った「2022~2024年重大労働災害発生状況」を公開した。該当の資料には、重大災害処罰などに関する法律(重処法)の適用を受ける事業場で発生した重大労災の、発生日と発生地、事故類型と死亡・負傷者の数、元・下請け企業の実名が記されている。この間、労働部は、国会に関連資料を提出する時も、企業の名前を公開する事例は珍しかったが、該当資料には実名が全て公開されている。
情報公開センターが該当資料を受け取って公開するまでには、紆余曲折が多かった。情報公開センターは2023年3月、2022年に重大産業災害発生状況に対する情報公開請求を労働部が拒否すると訴訟を起こし、2023年10月にソウル行政裁判所での一審と、先月2日のソウル高裁の二審まで、全てで勝訴した。訴訟の過程で労働部は、該当情報の公開によって、重大災害関連の捜査の遂行が困難になる、或いは、重大災害発生の責任の有無と関係なく、社会的に烙印される虞れがあり、企業が公正な裁判を受ける権利を侵害しかねないとも主張した。しかし裁判所は、「情報に犯罪の予防・捜査・公訴提起などに関する捜査機密などが含まれているとは見難く、情報が公開されるからといって、捜査活動が萎縮するとは言い難い。」「企業の権利侵害の可能性は極めて抽象的なものに過ぎず、捜査機関の職務遂行困難の憂慮とも無関係だ」として、労働部の主張を全て排斥した。
労働部は上告を断念した。情報公開センターは4日、2022~2024年の重大産業災害企業名について再び情報公開請求し、労働部は14日に情報公開センターにPDFファイルの形で公開した。
労働部の上告断念と、重大労災発生企業名簿公開のような態度の変化は、李在明政府発足以後、重大労災根絶のための対策を出しているためだ。政府が9月15日に発表した労働安全総合対策には、『労災予防の主体としての労働者の権利保障』を目的に、労働者・市民の知る権利の問題として、重大災害発生企業名などを定期的に公開する法案を今年中に準備するという計画を発表した経緯がある。
労働部の関係者は「情報公開を請求した請求人に公開することと、対国民公表は別次元の問題」で、「重大災害発生企業名公開の適切な方法と手続きに悩んでいる」と明らかにした。現在も重大災害発生企業名簿を公開する法的な根拠がないわけではない。労働部は、重処法と施行令によって、法違反が裁判所の判決によって確定した企業に対し、一年に二回、企業の実名を含めた重大災害発生の事実を公表している。労働部の関係者は「法令改正に対しては、内部議論が進行中」と明らかにした。
情報公開センターは、重大災害の発生状況は、労働者と市民に重要な情報に該当するため、労働部が「きちんと」公開すべきだと主張する。訴訟で情報公開センターを代理したイム・ジャウン弁護士は「重大災害発生企業の名簿が確実に公開されてこそ労災に対する社会的な関心を維持でき、重大災害発生以後に、該当企業が労働者の安全保健を改善したのかを社会的に監視できる」と話した。キム・イェチャン情報公開センター活動家も「労働者の知る権利を保障し、求職者が安全な仕事場を選択できるように、より多くの重大災害関連の情報が透明に公開されなければならない。」「労働部が重大災害の情報を、誰でも簡単に利用できるように、定期的にデータで公開しなければならない」と強調した。
2025年11月18日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者


