FDAがタルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定のための標準化された検査方法を要求する規則を提案/FDA News Release, USA, 2024.12.26

本日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、タルク含有化粧品のアスベストを検出及び同定するための標準的な検査方法を確立及び要求する規則案を発表した。この規則案が最終決定されれば、タルク含有化粧品を使用する消費者を有害なアスベストへの曝露から守ることができる。この提案は、2022年化粧品規制現代化法(MoCRA)セクション3505の要求事項を満たすための当局の作業の一環である。
「FDAは長年にわたり、汚染されたタルク含有化粧品中による、ヒトへの発がん物質として知られるアスベストへの消費者の曝露のリスクを低減する努力の一環として、タルク含有化粧品のアスベストのサンプリングと検査を行うとともに、連邦政府のパートナーと協力してきた」と、FDA化粧品・色彩事務所ディレクターのリンダ・カッツ博士(MD、MPH)は語る。「われわれはタルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定と関連した化学的証拠及び複雑な政治的諸問題を慎重に検討してきた。提案された検査技術は、タルク含有化粧品の安全性の確保に役立つ、アスベストを検出するための適切な方法であると確信している」。
タルクは、自然に生成する鉱物で、化粧品やモイスチャーなど他のパーソナルケア製品において、水分を吸収したり、こびりつきを防いだり、顔の化粧を不透明にしたり、製品の使用感を改善したりするなど、多くの用途がある。発がん性物質として知られるアスベストは、タルク鉱床と同じ種類の岩石に含まれており、採掘過程でタルクと切り離せない可能性がある。タルクがアスベストに汚染されている可能性があるため、タルク含有化粧品にアスベストが含まれているかどうかを検査することが重要である。
本規則案は、タルク含有化粧品の製造者に対して、アスベストの存在を検出及び同定するために、偏光顕微鏡法(PLM)(分散染色)及び透過型電子顕微鏡(TEM)/エネルギー分散型X線分析(EDS)/制限視野電子回折(SAED)の両方を含む分析アプローチを用いたアスベスト検査を要求する。製造者は代わりに、タルク供給者からの分析証明書に頼ることもできる。規則案は、規則の遵守を証明するための記録の保存を製造者に要求する規定を含んでいる。
規則案が最終決定された場合、製造者が規則の検査要件または記録保存要件のいずれかを遵守していない場合には、化粧品は連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)のもとで不良品とみなされる。規則案また、化粧品または化粧品に使用されるタルクにアスベストが存在する場合、その化粧品はFD&C法のもとで不良品となり、また、化粧品に使用されることを意図されたタルクにアスベストが存在する場合には、当該タルクはFD&C法のもとで不良品となるとしている。FDAはこの規則案についてパブリックコメントを奨励している。コメント期間は、連邦官報に掲載された日から90日後に終了する。コメント期間終了後、FDAは、最終規則を作成するにあたってコメントをレビュー及び考慮する。

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-proposes-rule-require-standardized-testing-methods-detecting-and-identifying-asbestos-talc

目次

規則案:タルクを含有する化粧品中のアスベストの検出及び同定のための検査方法/
Federal Register, USA, 2024.12.27

I. 要旨

A. 規則案の目的

本規則案は、タルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定のための標準化された検査方法を確立及び要求するための規則案及び最終規則の公布を義務づけた、2022年化粧品規制現代化法(MoCRA)にしたがったものである。この規則案が最終化されれば、タルク含有化粧品のアスベスト汚染の可能性があることから、それらの製品の使用者をアスベストへの有害な曝露から保護することにつながる。

B. 規則案の主な規定の概要


規則案は、最終決定された場合、タルク含有化粧品製造者が製品中のアスベストを検出及び同定するために使用を義務づけられる検査方法について記述している。規則案は、製造者に対して、偏光顕微鏡(PLM)(分散染色)及び透過型電子顕微鏡(TEM)/エネルギー分散型X線分析(EDS)/制限視野電子回折(SAED)の両方を用いて、タルク含有化粧品の各バッチまたはロットの代表サンプルをアスベストについて検査することを義務づける。
規則案はまた、製造者がタルク含有化粧品の製造にタルクを使用する前に、タルク化粧品原料の各バッチまたはロットごとに検査するか、または、タルクの検査に使用する分析方法にPLM及びTEM/EDS/SAEDの両方が含まれていることを条件に、適格なタルク供給者からの各バッチまたはロットごとの分析証明書に依拠するかの柔軟性を認める規定も含んでいる。アスベストを含有するタルク含有化粧品の製造及び流通を避けるために、化粧品製造時にタルクを添加する前にタルクを検査することが一般的な業界慣行であるというのが、業界代表者との議論及び会合に基づいたFDAの理解である。われわれはとりわけ、既存の業界慣行とこのアプローチの有用性に関するコメントを募集する。
さらに、規則案には、製造者が規則を遵守していることを証明するための記録を保存することを義務づける規定が含まれている。
最後に、規則案には、施行規定が含まれている。製造者が検査及び記録保存の両方の要件を遵守して操業しなかった場合には、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)のもとで当該製品は不良品とみなされる。さらに、アスベストが健康に悪影響を及ぼさないという確立された安全レベルはないため、FDAは、タルク含有化粧品中のアスベストがいかなるレベルであっても、これらの製品を使用者に害を及ぼす可能性があると判断している。そのため、規則案は、タルク含有化粧品、または化粧品に使用されるタルクにアスベストが存在する場合には、当該化粧品はFD&C法のもとで不良品となることを規則に成文化している。同様に、化粧品への使用を意図されたタルクにアスベストが存在する場合には、当該タルクはFD&C法のもとで不良品となる。
本規則案のすべての側面について、コメントを求める。

C. 法的権限

2022年12月29日に大統領は、MoCRAを含む2023年包括的歳出に署名した。なかでもMoCRAは、タルク含有化粧品中のアスベストを検出及び同定するための標準化された検査方法の確立及び要求することを義務づけた。われわれはまた、FD&C法セクション601(c)、セクション601(a)、及びセクション701(a)に基づいて、本規則を発行している。

D. 費用及び便益

本規則案が最終決定された場合、タルク中の汚染物質として存在する可能性のあるアスベストを検出及び同定するための標準化された検査方法を用いたタルク含有化粧品の検査を義務づける。便益には、アスベスト曝露の減少よる消費者の公衆衛生上の潜在的利益が含まれる。規則案により曝露が減少する範囲において、健康上の便益には、中皮腫、肺がん、喉頭がん、卵巣がんなどの疾病の減少が含まれる。これらの公衆衛生上の便益を定量化するデータがないため、代わりに定性的な議論を行う。さらに、リコールの減少によるタルク含有化粧品製造者への便益を定量化する。タルク供給者及び化粧品製造者が規則を読み、理解し、タルクのアスベスト検査を行うための費用を定量化する。われわれは、10年間における年換算の金銭化された便益は、7%の割引率で0.00万ドルから139万ドルの範囲であり、主な見積もりは0.06万ドルであり、3%の割引率で0.00万ドルから139万ドルの範囲であり、主な見積もりは0.06万ドルであると見積もった。年換算コストは、割引率7%では129万ドルから678万ドルで、主な見積もりは354万ドル、割引率3%では130万ドルから678万ドルで、主な見積もりは355万ドルであろう。

II. 本文書における略語/一般的に使用される頭字語の表

略語・頭字語/意味
APA/行政手続法
CTFA/化粧品工業会
EDS/エネルギー分散型X線分析
EO/行政命令
EPA/環境保護庁
FD&C法/連邦食品医薬品化粧品法
IEC/国際電気標準会議
IR/赤外分光法
ISO/国際標準化機構
IWGACP/消費者製品中のアスベストに関する機関間ワーキンググループ
MoCRA/2022年化粧品規制現代化法
OIRA/情報・規制問題庁
OMB/行政管理・予算庁
PLM/偏光顕微鏡
SAED/制限視野電子回折
SEM/走査型電子顕微鏡
TEM/透過型電子顕微鏡
USP/米国薬局方
XRD/X線回折

III. 背景

A. はじめに

2022年12月29日に制定されたMoCRAは、タルク含有化粧品中のアスベストを検出及び同定するための標準化された検査方法を確立及び要求するための規則案及び最終規則の公布を義務づけている。

B. 規制の必要性

タルクは、様々な化粧品に使用されている。タルクは、天然に生成する含水ケイ酸マグネシウムとして採掘される。アスベストはタルク鉱床と同じ種類の岩石に含まれるため、商業用のタルク鉱山で発見されることがあり、採掘過程でタルクと切り離せない場合がある。その結果、化粧品に使用されるタルクには、タルク鉱床に近接して存在する蛇紋岩や角閃石鉱物由来のアスベスト繊維を含有することがある。
アスベストは、既知のヒト発がん物質であり、その健康リスクは十分に記録されている。アメリカ連邦政府機関、及び世界保健機関の間では、アスベスト曝露による健康への悪影響について確立された安全な閾値はないという一般的な合意がある。アスベストが健康への悪影響を引き起こさない確立された安全レベルはいため、タルク含有化粧品中のアスベストがいかなるレベルであっても、使用者に有害な影響を与える可能性がある。このため、われわれは、タルク含有化粧品中のアスベストの検査を実施し、そのような製品の検査結果がアスベストについて陽性である場合には、安全警告を発表している(https://www.fda.gov/cosmetics/cosmetics-recalls-alerts/fda-advises-consumers-stop-using-certain-cosmetic-products 参照)。また、化粧品は身体に塗布され、多くの人が日常的に使用するものであることから、化粧品中のアスベストは低レベルであっても懸念される。アスベストによる有害な影響のリスクは、発がん物質に繰り返し、長期間曝露することで高くなる。
タルク含有化粧品中のアスベストへの曝露の主な経路は吸入であるが、摂取や会陰曝露も起こる。吸入によるアスベストへの曝露は、炎症から胸膜疾患、石綿肺、肺がん、中皮腫などの疾患に至る後遺症を引き起こす可能性がある。これらの影響は急性に起こることはまれで、通常、1年または数十年後に起こる。アスベストは、吸入、摂取、会陰曝露によって体内に入ると、組織や臓器を通って二次曝露部位に移動し、そこで進行性の細胞損傷が起こり、喉頭、胃腸管、卵巣のがんなど、一次曝露部位から離れた身体の他の部位の病気につながる可能性がある。アスベストへの曝露と咽頭がん、胃がん、大腸がんとの間には正の相関が観察されている。
タルク含有化粧品の独立した検査の結果、アスベストの存在がみつかったことは、タルク鉱石中に存在する可能性のあるアスベストは、化粧品に使用するタルクを製造するための加工中に除去することが困難であることを示している。FDAは、PLM及びTEM/EDS/SAED顕微鏡法を用いて、様々なラボラトリーからアスベストを含有すると報告された製品のサンプリングを行うなど、タルク含有化粧品中のアスベストを監視している。例えば、2010年にFDAが委託したラボラトリーが、ボディパウダー、フェイスパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、チークを含む34のタルク含有化粧品パウダー製品、及び供給者からの化粧品に使用される原料としてのタルクのサンプルを検査し、PLM及びTEM/EDS/SAEDを用いてアスベストの汚染はみつからなかった。2019年にFDAの委託したラボラトリーが、PLM及びTEM/EDS/SAEDを用いて、ボディパウダー、フェイスパウダー、アイシャドウ、チーク、ブロンザー、フェイスメイクを含む52のタルク含有パウダー化粧品を検査した。2019年3月、6月、8月、10月、FDAは9つのタルク含有化粧品中にアスベストの存在を確認し、各社によって自主的にリコールされた。
タルク中のアスベスト検査についての既存の自主的なコンセンサス規格や公表されている検査方法を検討した結果、タルク含有化粧品中のアスベスト検査にラボラトリーがそのまま従うことができる標準化された検査方法はみつからなかった。具体的には、タルク中のアスベストを検査するために公表されている規格及び方法(すなわちタルクUSPモノグラフ及びCTFA J4-1法)は、電子顕微鏡をベースとした方法と比較して、特性と感度に欠点があることが長い間認識されている。さらに、もっとも感度の高い電子顕微鏡法を用いても、同じ製品を検査したラボラトリーで、アスベストの存在について異なる結論に達することがある。このような違いは、アスベスト繊維の検出及び同定に関する明確なガイドラインを提供する標準化された検査方法がないこと、及び試料にアスベストの均質性がないことに起因すると考えられる。タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの存在を判定するための標準化された検査方法がないため、多くの分析ラボラトリーは、大気中または建材中のアスベストの存在を判定するために開発及び公表された検査方法を結合及び/または適応させている。このことが、少なくとも部分的には、報告されているラボラトリーでの所見の不一致を説明している可能性がある。
本規則案が最終決定された場合、タルク含有化粧品の検査を義務づけ、また、そのような検査が、PLM及びTEM/EDS/SAED顕微鏡法の両方を用いて、タルク中に汚染物質として存在する可能性のあるアスベストを検出及び同定するために実施されることを義務づける。規則案はまた、結果が正確かつ一貫して解釈されることの確保に役立つために、アスベスト繊維を同定するための基準に画像を参照することを義務づける。アスベストの検出及び同定にこれら両方の検査方法を使用することは、どちらか一方の方法のみを使用する検査、またはまったく検査を行わないことと比較して、タルク含有化粧品中のアスベストの存在を検出する製造者の能力を大幅に向上させる。このような検査は、アスベストが検出された場合に、そのような製品の流通を防止するための措置を講じる製造者の能力を向上させることになる。

C. 規則策定の歴史

本規則案の策定にあたり、FDAは、タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定に関連した科学的根拠及び複雑な政治的諸問題を慎重に検討した。FDAの活動には、2018年秋の消費者製品中のアスベストに関する機関間ワーキンググループ(IWGACP)の形成、IWGACPの予備的な科学的意見が発表された、2020年2月の「タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの検査方法」と題した公開会議の開催が含まれた。その後、FDAは2022年1月に、IWGACPの最終的な科学的意見を白書及び関連技術付録)として発表し、いずれもピアレビューされた。IWGACPは、X線回折(XRD)または赤外(IR)分光法の後に、XRDまたはIRが角閃石または蛇紋石鉱物について陽性であった場合にPLMを行うことは、アスベストの存在を検出するのに十分な特性や感度を有していないと結論づけた。本規則案は、FDAがこれらの科学的意見を検討したことに一部基づいており、また、タルク及びタルク含有粧品中のアスベストの検査方法に関する公聴会での発表/コメント、及びその公聴会からのドケットへのコメントからも情報を得ている。また、FDAは、参考文献セクションに記載された科学文献で報告されているその他の研究、及びタルク含有化粧品の安全性を監督するFDAの科学的及び規制的経験にも依拠した。さらに、FDAは、タルク含有化粧品中のアスベストを検出及び同定するための標準化された検査方法を確立及び要求するための規制案を公布するようFDAに義務づけたMoCRAセクション3505にしたがって、本規則案を公布するものである。

D. 参照による取り込み

われわれは、行政手続法(APA)、5 U.S.C. 552(a)及び 1 CFR part 51にしたがって、連邦官報ディレクターの承認を得て、コンセンサス規格から以下の附属書を参照により取り込むことを提案する。

  • ISO 22262-1:2012(E)の附属書D「環境大気-バルク材-第1部:商用バルク材中のアスベストのサンプリング及び定性的判定」、初版、2012年7月1日。
  • ISO 10312:2019(E)の附属書C「環境大気-アスベスト繊維の判定-直接移送透過型電子顕微鏡法」第2版、2019年10月10日。具体的には、ISO 10312:2019(E)の附属書Cの図C.1の使用を求める。

国際標準化機構(ISO)は、各国の標準化機関が加盟する独立した非政府の国際機関である。ISO 22262-1:2012(E)及びISO 10312:2019(E)の概要については、本文書のセクションV.Cを参照されたい。[資料の入手先情報省略]
FDAは、ISO 22262-1:2012(E)及びISO 10312:2019(E)の特定の附属書を参照により組み込むことを提案する。これらの基準に今後、特定の付属文書に影響を与える改訂が行われた場合は、変更の影響を判断し、この提案された規則が最終的に確定した場合に修正が必要かどうかを決定するために評価を行う必要がある。必要かつ適切であると判断された場合には、FDAは、APA(5 U.S.C. 553)に従って最終規則を更新し、1 CFR part 51にしたがって参照による組み込みに対する変更の承認を取得するだろう。

IV. 法的権限[省略]

V. 規則案の記述

われわれは、「タルク含有化粧品についての要求事項」と題したサブチャプターGにパート730を追加することにより、連邦規則集タイトル21のチャプター1を改正することを提案する。最終決定された場合、「タルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定のための検査方法」と題した提案された§730.3は、MoCRAセクション3505、FD&C法セクション601及び701に従って、タルク中に汚染物質として存在する可能性のあるアスベストを検出及び同定するための標準化された検査方法を用いたタルク含有化粧品の検査を義務づけることになる。

A. 本セクションの対象となるのは誰か?(提案されたセクション730.3(a))

われわれは、本規則に基づく要求事項がタルク含有化粧品のすべての製造者に適用することを提案する。MoCRAのセクション3505は、FD&C法のセクション613(a)に基づき、FD&C法のチャプターV(医薬品及び器具)の要求事項の対象となる特定の化粧品及び施設に対して提供される適用除外には含まれないことに留意する。したがって、医薬品でもある化粧品など、FD&C法チャプターVの要求事項の対象となる化粧品は、本規則案の対象となる。

B. 本セクションにはどのような定義が適用されるか?(提案されたセクション730.3(b))

本規則の目的のために、われわれは、「アスベスト」及び 「代表サンプル 」という2つの用語を定義することを提案する。アスベストとは、一定の鉱物が結晶化する際に生じる独特のアスベスト様形態[asbestiform]を指す。われわれは、「アスベスト」を、アモサイト、クリソタイル、クロシドライト、アスベスト様トレモライト、アクチノライト、 アンソフィライト、ウィンチャイト、リヒテライト、及びアスベスト様晶癖のその他の角閃石鉱物を指すと定義する。アスベスト様晶癖とは、最終的に有害な吸入可能な細い繊維の形成につながる成長癖であると考える。
本規則案におけるアスベストを定義するにあたっては、他の連邦機関の諸規則における特定の定義を含め、公表されている多くのアスベストの定義が考慮された。一般的に、公表されているアスベストの定義は、商業的または鉱物学的のいずれかに分類することができる。商業的用途の場合、アスベストという用語は、そのユニークな特性のために、また、特定の地域に豊富に存在するために、採掘が商業的に可能であるために評価されている6つの鉱物を包含している。他の連邦アスベスト規制で検出及び同定の対象とされている6種類の商業用鉱物は、蛇紋石鉱物のクリソタイル及び以下の5種類の角閃石鉱物である:「アモサイト」(カミングトナイト-グニュネル・アスベスト)、クロシドライト(リーベカイト・アスベスト)、トレモライト・アスベスト、アクチノライト・アスベスト、アンソフィライト・アスベスト。厳密な鉱物学的意味では、アスベストはまた、角閃石または蛇紋石のグループに属し、成長のアスベスト様晶癖に起因する独特の繊維状形態を有するものとして、識別可能な鉱物を指す。したがって、他の連邦規制におけるアスベストの商業的定義には、提案された検査方法を用いて検出及び同定される可能性のあるすべての有害なアスベスト様角閃石鉱物が含まれていないため、タルク及びルク含有化粧品に鉱物学的なアスベストの定義を適用することを提案する。
タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの同定に鉱物学的アプローチを適用するにあたって、われわれは、アスベストの定義に6種類の商業用鉱物にウィンチャイト及びリヒテライトを加えることを提案する。ウィンチャイト及びリヒテライトは、一定の地域から採取されたタルクのサンプルから同定されており、また、その他の鉱物中の不純物としてのアスベスト様のウィンチャイト及びリヒテライトは、商業用のアスベストの種類と同じ疾患に関連していることが確認されている。
われわれはまた、アスベストの定義に「その他のアスベスト様角閃石鉱物」を含めることを提案する。すべてのアスベスト様角閃石鉱物の包含は、過去50年にわたって蓄積されてきた、アスベスト様角閃石の粒子形態と健康への悪影響との関連性を示す知見に基づいている。われわれの提案は、角閃石は化学組成がきわめて多様であり、また、タルクと関連してみつかった角閃石アスベスト鉱物には、化学組成の微妙な違いが観察されているという認識にも基づいている。
化粧品中のすべての種類の角閃石鉱物が、アスベスト様形態と一致するサイズ及び形状の繊維を放出する可能性があるため、アスベストの定義に「その他のアスベスト様角閃石鉱物」を含めることで、鉱物命名法が将来的に変更された場合でも、タルク含有化粧品中のアスベストの検査で、これらの繊維がアスベストとして検出及び同定されることの確保に役立つ。
われわれは、「代表サンプル」を、無作為抽出などの合理的な基準に基づいて抽出された複数のユニットで構成され、サンプル対象を正確に反映するよう意図されたサンプルと定義することを提案する。「代表サンプル」を構成するために必要なユニットの正確な数を指定するのではなく、この定義により、サンプル対象を確実に反映するよう、あらゆる検査状況において適切なサンプル量を決定する柔軟性が企業に提供される。この定義は、他の製品分野における「代表サンプル」を定義するFDAの現行規制とほぼ同一である(21 CFR 210.3(b)(2)及び106.3参照)。
提案された定義について、製造者にとって十分明確であるかどうか、コメントを求める。

C. どのような検査方法を使用しなければならないのか?(提案されたセクション730.3(c))

われわれは、タルク含有化粧品の製造者に対して、PLM(分散染色)及びTEM/EDS/SAEDを使用したアスベスト検査を義務づけることを提案する。PLM及びTEM/EDS/SAEDを合わせて使用するという要求事項は、偽陰性検査結果をもたらす可能性があるという、タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの分析の領域におけるPLMの限界を認める確立された科学的見解と一致している。このような限界は、例えば、化粧品工業会(CTFA)の方法J4-1「化粧品用タルク中のアスベスト様角閃石鉱物」、 アスベストについてのタルクUS薬局方モノグラフ(タルクUSP)検査を改正するためのNotice of Intent、及び「タルク含有化粧品中のアスベストの検査方法に関するIWGACPの科学的見解」などがある。以下に述べる理由により、われわれは、TEM/EDS/SAEDの追加使用は、PLM単独では得られない感度及び特性を確保できると判断した。
われわれは、製造者はPLM及びTEM/EDS/SAEDを含む分析的アプローチを使用しなければならないと提案する。TEM/EDS/SAED及びPLMは補完的な方法であり、異なる粒子(サイズの範囲)について異なる情報を提供する。PLMの倍率はTEM/EDS/SAEDよりも約2桁低いものの、TEM/EDS/SAED分析用のサンプルを準備する場合と比較して、PLMはより大量のサンプルを分析することができる。したがって、より微細な繊維の検出が可能なTEMと、より大量なサンプルの検査が可能なPLMを組み合わせることで、アスベストを検出する可能性がもっとも高くなる。そのため、両方の方法を使用しなければならないことを提案するものである。
PLM検査については、アスベストの検出及び同定は、光学結晶特性(すなわち、色及び多色性、屈折率、複屈折、消光特性、伸長符号)と粒子形態を、指定された参照におけるアスベストについてのデータ及び画像との比較に基づいて行うことが求められる。具体的には、われわれは、アスベスト粒子を同定するための視覚的な補助として、ISO 22262-1:2012(E)(附属書D)のアスベストのPLM画像を参照することを求める。TEM/EDS/SAEDについては、アスベストの検出及び同定は、元素の組成、粒子の結晶構造、及び粒子の形態を、指定された参照のアスベストのデータ及び画像と比較に基づいて行うことが求められる。具体的には、われわれは、TEM/EDS/SAEDによるアスベスト分析については、様々なアスベスト構造(すなわち粒子)を分類するための視覚的な補助として、アスベストISO 10312:2019(E)(附属書Cの図C.1))の画像を参照することを求める。
本規則案の策定にあたり、われわれは、タルクのアスベスト検査のための既存の自主的なコンセンサス基準が、タルク含有化粧品中のアスベストの検出及び同定のための標準化された検査方法として、規則案に含めるのに適しているかどうかを検討した。本規則案の目的のために、ISO/国際電気標準会議(IEC)のガイド2:2004「標準化及び関連活動-一般用語」に沿って、われわれは、標準とは、特定の状況において最適な程度を達成することを目的として、共通かつ反復的な使用のために、活動またはその結果について、ルール、ガイドライン、または特性を規定する文書であって、コンセンサスによって確立され、認定された機関によって承認されたであると考える。基準のうち、われわれは、自主的コンセンサス基準とは、厳格なコンセンサス原則にしたがって基準開発組織によって策定または採用されたものであると考える。これらを総合的に考慮し、われわれは、国内または国際的に認知された基準策定組織によって確立された公表済みのアスベスト検査方法をレビューすることによって、既存の自主的コンセンサス基準を評価した。これらの検査方法は、アスベストが存在することが知られている非常に限定的または特殊な状況のみに適用されるのが一般的である。
これらの基準に加えて、タルクのアスベスト検査について、コンセンサスによって策定または採用されたものではないものなど、その他の既存の公表済みの方法についても評価した。以下に述べるように、本規則案の作成時にFDAによってレビューされた、消費者向け製品中の原料としての「タルク」に適用されるものを含め、そのような公表済みの基準及び方法のなかで、タルクまたはタルク含有化粧品中のアスベストを検査するための適切な標準化された検査方法として全面的に認められるものはみつからなかった
「化粧品用タルク中のアスベスト様角閃石鉱物」と題されたCTFAの方法(J4-1)及びアスベストについてのタルクUSP検査は、それぞれ化粧品及び医薬品に使用されるタルク中のアスベストを検査するための唯一の公表されている方法である。以下に説明するように、われわれは、これらの方法は本規則案の目的のためには適していないと結論づけた。
J4-1法は、化粧品成分として使用されるタルク中のアスベストについてのPLM検査方法として開発されたものであり、タルクを含有する化粧品を検査するために使用されることを意図したものではない。そのため、J4-1は、アスベストの検出及び同定を妨げる可能性のある化粧品成分を除去するためのサンプル準備の方法を含んでいない。
また、J4-1は、化粧品の材料として使用されるタルク中のアスベストの検査に関して、重大な欠点がある。第1に、その標題が示すように、これはあくまでアスベスト様角閃石鉱物の検査を意図としたものであって、クリソタイル・アスベストの検査を意図したものではない。プロトコルを再検討したところ、クリソタイルを検査したり、クリソタイルを適切な感度で検出するのに有用であるとは認められなかった。第2に、J4-1プロトコルは、まずタルクをX線回折分析(XRD)で角閃石についてスクリーニングすることを求めている。J4-1は、サンプルがXRDスクリーニングで最初に角閃石を含むことが判明した場合にのみ、その後、PLMでアスベスト様角閃石について検査することが求められる。J4-1プロトコルに記載されているように、XRDスクリーニング法では、角閃石の公称検出限界は質量で0.5%である。したがって、質量で0.5%未満のアスベストを含むタルクの場合、タルク1グラムあたり数十億本ものアスベスト繊維が潜在的に存在する可能性があるにもかかわらず、アスベストは検出されないことになる。要約すると、追加の顕微鏡分析を行わずにXRDに頼ることは、いかなるレベルのクリソタイル・アスベストに対して、または0.5%未満のレベルの角閃石アスベストを含むタルクに対して、偽陰性の結果につながる可能性がある。
タルクのXRD検査が陽性反応であった場合、当該タルクはPLMでその角閃石がアスベスト様であるかどうか検査されなければならない。FDAは、PLM法だけでは、化粧品に使用されることが意図されたタルク及びタルク含有化粧品中に、存在する可能性があるレベルで、クリソタイルまたはアスベスト様角閃石鉱物を検出できるだけの十分な感度を提供できないのと懸念している。タルク及びタルク含有化粧品中のアスベスト鉱物粒子は、PLMのみで検出及び同定できないほど小さい場合がある。PLMと合わせてTEM/EDS/SAEDを使用することで、化粧品中の使用を意図されたタルク及び当該タルクを原料として製造された化粧品中に存在するクリソタイル及びアスベスト様角閃石の検出を向上させることを意図している。
われわれはまた、角閃石及び蛇紋石についてスクリーニングするためのオプション手順の組み合わせも含んだ、3つの手順を含む、現在のタルクUSPモノグラフ(アスベストについてのタルクUSP検査)に記載されている「アスベストの非存在」と題した検査も評価した。現行のタルクUSP検査では、分析者は、手順1-赤外分光法(IR)(同定検査-一般章USP<191>)-または手順2-XRD[X線粉末回折法(XRPD)による結晶性及び部分結晶性固体の特性-一般章 USP<941>]のいずれかを実施するオプションを与えられている。選択した手順で陽性の結果が出た場合には、サンプルがアスベストの非存在のための要件を満たしているとみなされるかどうかを確認するために、光学顕微鏡(光学顕微鏡-一般章USP<776>)が実施されなければならない。XRD法の公称検出限界は0.5%未満であり、IR法の公称検出限界は1%未満であると思われる。J4-1法について前述したように、XRD、またはUSP法におけるものとしてのIRを用いたスクリーニングに頼る場合には、追加の顕微鏡分析を行わないと、偽陰性の結果につながる可能性がある。さらに、USP<776>で規定されている光学顕微鏡法では、偏光顕微鏡の使用は要求されていない。偏光顕微鏡を使用しなければ、監察される特性が欠如するため、タルクまたはタルク含有化粧品中の鉱物粒子の存在の誤同定につながる可能性がある。
アスベストの非存在についての検査における感度と特性の不足に関する懸念を受け、USPは2つの専門家パネルを連続して組織して、アスベストについてのタルクUSP検査の改善策を策定した。各専門家パネルは、タルクUSP検査におけるIR、XRD、及び光学顕微鏡法に関する懸念を強調した。これら2つの専門家パネルの取り組みの集大成として、2022年3月にUSPは、感度及び特性の面で依然として限界があることを踏まえ、「アスベストの非存在」検査の名称を「アスベストについての検査」に変更することを目的とした提案を「薬局方フォーラム」に発表した。また、提案は、オプションのIR検査を削除し、蛇紋石の検出を妨げる干渉に対処するためにXRD検査を改善し、アスベストの検出及び同定に偏光を使用することを求めるよう光学顕微鏡検査を改善することで、分析アプローチを改善することを目的としている。
最後に、USPが提案したプロトコルは、XRD検査が陰性であったとしても、分析者にPLMを使用することを求める。このタルクUSPモノグラフの改訂案に対応するため、USPは2つの新しい一般章を発行した。一般章<901>ではXRD及びPLMの分析手順が詳細に説明され、補足的な一般情報章<1901>にはPLMで検出されたクリソタイル及びトレモライト・アスベストの画像が含まれている。さらに、<901>の説明において、USPは、PLM法を補完する電子顕微鏡検査法を開発するために、第3のタルク専門家パネルの招集を提案した。これは、アスベストについてのプロトコルの感度及び特性をさらに向上させることを約束するものだった。しかし、前述のとおり、感度及び特性の改善が実証されているにもかかわらず、<901>及び<1901>の章で説明されている(すなわちTEM/EDS/SAEDを使用しない)XRD及びPLM技術を使用して、化粧品製造に使用されるタルク中のアスベストの検出及び同定能力は依然として限定的である。
FDAは、原料タルク及びタルク含有化粧品中にみつかる可能性のあるクリソタイル及び角閃石アスベスト鉱物の粒子の多くはPLMでは検出できないため、PLMに加えてTEM/EDS/SAEDの使用を義務づけることを提案する。透過型電子顕微鏡(TEM/EDS/SAED)及び走査型電子顕微鏡(SEM/EDS)を含め、電子顕微鏡は、PLMの解像度の限界を克服し、きわめて小さなアスベスト繊維を検出する能力をもっている。TEM/EDS/SAEDによって日常的に特性評価できる最小の繊維幅は0.04μm程度であり、これはクリソタイルの単繊維の典型的な幅に相当する。SEM/EDSは、TEM/EDS/SAEDを補完するアプローチとして、角閃石鉱物の粒子形態に関する追加情報を提供することができる。しかし、クリソタイル及び角閃石鉱物の同定に役立つ高品質のSAEDパターンを得るという点でSEM/EDSには限界があるため、SEM/EDSはTEM/EDS/SAEDの代替ではなく補完的な技術とみなされるにすぎない。包括的な評価を行うため、IWGACPは、標準化されたアプローチの開発には光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を含めるべきであると勧告した。したがって、タルク含有化粧品の製造者に、PLM(光学顕微鏡)及びTEM/EDS/SAED(電子顕微鏡)を使用したアスベストについての検査を義務づけるFDAの提案は、検査アプローチに関するIWGACPの科学的意見第1及び第3に沿ったものである。
2019年以降、FDAの委託したラボラトリーは、単一のサンプル分割区画中の1本のアスベスト繊維を確実に検出できるTEM/EDS/SAED法を用いて、200以上のタルク含有化粧品のサンプルを検査し、提案された方法に必要な信頼性を提供している。2019年から2023年にかけてFDAの委託したラボラトリーが実施した化粧品サンプルの検査に関するすべてのラボラトリー報告書は、FDAのウェブサイト(https://www.fda.gov/news-events/fda-brief/fda-brief-fda-releases-final-report-talc-containing-cosmetic-products-tested-asbestos)に掲載されている。これらの報告書では、TEM/EDS/SAEDで検出及び同定できる最小のアスベスト繊維の推定検出限界値が示され、TEM/EDS/SAEDによる定量限界値は4本と推定されている。
検出限界及び定量限界の計算は、TEMグリッド上で分析者が観察するサンプルの量に依存し、これはサンプル準備の方法に基づいている。サンプルの種類によって、ラボラトリーがTEM/EDS/SAED用にサンプルを準備する方法が異なることを認識したうえで、われわれは、タルクまたはタルク含有化粧品をアスベストについて検査する場合、少なくとも0.1マイクログラムのタルクまたはタルク含有化粧品を、サンプルが均一に分布するTEMグリッド上で観察することを義務づけることを提案する。自身及び他の契約ラボラトリーとの議論に基いて、われわれは、この要求事項はTEM/EDS/SAED顕微鏡検査に精通したアスベスト検査ラボラトリーの一般的な慣行と一致するものであり、ラボラトリー間の整合性を確保するのに役立つと確信している。
FDAの委託したラボラトリーによる200以上のサンプルの検査により、タルク0.1マイクログラムあたり1つのアスベスト粒子(すなわち繊維)を検出するTEM/EDS/SAED法の感度が実証され。さらに、われわれが提案する最低0.1マイクログラムのサンプルを分析するという要求事項のもとで、アスベスト繊維1本の検出は、タルクまたはタルク含有化粧品1グラム当たり推定107本の繊維に相当し、質量で約10−5パーセントのアスベストとなる。したがって、われわれは、サンプル中のアスベスト繊維を1本検出できる限界値は、サンプルがアスベストについて陽性とみなされるべきかどうかを判断する適切な基準であると考える。タルクまたはタルク含有化粧品中のアスベストを検査する際、適切なネガティブコントロール(ラボラトリーブランクの使用)により、検出されたアスベスト繊維1本が真の陽性所見であることを保証することができる。
われわれは、FDAが、定量限界値をサンプルが陽性であると判断する基準として使用することに留意する。しかし、FDAの過去の検査データ及び上述の方法の感度、正確性、精度に関する現在のより深い理解に基づき、われわれは、単一のアスベスト繊維の検出に対応する検出限界値をサンプルが陽性であると判断する基準として使用することを提案する。この要求事項案に関するコメントを求める。
FDAは、タルク及びタルク含有化粧品中のアスベストの同定ぼための参照[標準]物質の開発には、重大な課題があることを認めている。FDAは、アスベスト繊維及び繊維束の形態を示す印刷された画像または図が、特定の公表されたアスベスト検査基準、とくにアスベストが存在することがわかっている状況に対処するために作成されたものに記載されていることを見いだし、比較のための視覚的な補助として有用であると判断した。例えば、ISO 22262-1:2012(E)は、耐火及び断熱材などの商業用バルク材を製造するために添加されたアスベストを検出及び同定するためのPLMの使用方法を規定している(附属書Aを参照)。アスベストの形態に関しては、ISO 22262-1:2012(E)の付録Dに、クリソタイル及びアスベスト様状角閃石の有用なPLM画像が含まれていると思われる。ISO 13012:2019(E)は、以前に設置されたアスベスト断熱材の除去作業中の建物の内部大気を含む、広範囲の環境大気状況における大気中のアスベスト繊維及び構造の同定のためのTEM/EDS/SAED法を規定している。ISO 10312:2019(E)の附属書Cの図C.1には、TEM/EDS/SAEDによって検出及び同定されたアスベストの形態に関する有用な描写が含まれていると思われる。そのため、FDAは、分析者が、アスベストを検出及び同定するのを支援するために、これらの画像の使用を義務づけることを提案する。

D. サンプルがアスベストについて陽性と判定されるのはどのような場合か?(提案されたセクション730.3(d))

われわれは、製造者に対しては、PLM及びTEM/EDS/SAED の両方を使用してアスベストの検査を行うことを義務づけることを提案する。いずれかの方法を使用してアスベストが検出された場合には、当該サンプルはアスベスト陽性とみなされる必要がある。前述のとおり、サンプルがアスベスト陽性と判定されるのは、アスベストの検出限界が基準となる。したがって、セクション730.3(c)で要求されているとおりにサンプルを検査した際にアスベストが検出された場合、当該サンプルはアスベストについて陽性とみなさなければならないと提案する。

E. タルク含有化粧品中のアスベストを検出及び特定するための最終製品検査の実施に代わる方法はあるか?(提案されたセクション730.3(e))

われわれは、タルク含有化粧品の製造にタルクを使用する前に、タルクを検査するか、またはタルクの供給者による分析証明書に依拠するかという柔軟性を製造者に与えることを提案する。このような証明書に依拠する製造者は、規則の検査の要求事項を満たすことになる。製造者がタルクの分析証明書に依拠することを選択した場合、製造者は、セクション730.3(f)に従って供給者のアスベストについての検査の結果を検証することにより、供給者の分析証明書の信頼性を確立及び維持することで、供給者を適格としなければならない。化粧品の原料として使用されることを意図されたタルクの検査は、アスベストを含有する化粧品の製造を防止するのに役立つことができる。そのため、FDAは、タルク含有化粧品の製造者に対して、提案された要求事項を遵守たし、タルク含有化粧品がアスベストを含有するる可能性を最小限に抑えることができるよう、柔軟かつ効果的な検査方法を提示している。

F. 検査はどの程度の頻度で実施しなければならないのか?(提案されたセクション730.3(f))

われわれは、少なくとも、各タルク含有化粧品またはタルク材料の各バッチまたはロットの代表サンプルについて、製造業者はセクション730.3(c) にしたがってアスベストについて検査を実施すべきであると提案する。製造者がセクション730.3(e) にしたがって供給者の分析証明書に依拠する場合、製造業者は少なくとも、供給者の最初の分析証明書を受領した時点、及びその後毎年、セクション730.3(c) で要求されているとおり、製造者または別のラボラトリーによる検査に基づく報告されたアスベスト検査結果の信頼性を検証しなければならない。

G. 提案された記録/記録保持の要求事項(提案第されたセクション730.3(g))

記録の要求事項のセクションは、アスベストの検査記録を保持するにあたり、生データを含む検査データを示すこと、及びサンプルの検査方法を詳細に記述することを製造者に義務づける。生データには、製造者または検査ラボがしたがう標準化された方法、及び品質保証についての製造者または検査ラボの要求事項に従って、製造者またはその他のアスベスト検査ラボが使用する顕微鏡画像、スペクトル、回折パターン及びベンチシートが含まれる。製造者がタルク供給者の分析証明書に依拠することを選択した場合、記録には、最終製品の製造に使用されたタルクの検査について供給者から受け取ったすべての分析証明書、及び製造者が、セクション730.3(f)にしたがって供給者のアスベスト検査結果を検証することにより、供給者の分析証明書の信頼性を確立及び維持することで、供給者の適格性をどのように評価したかの文書が含まれなければならない。
本セクションではまた、FDAの認定代理人の要請に応じて、1営業日以内に記録を閲覧及び複写できるようにすること、また、記録は英語で作成するか、または要請に応じて英語の翻訳を用意することも義務づけられる。本セクションのもとで必要とされる記録は、当該の記録が作成された日から3年間保存されなければならない。FDAは、本セクションで製造者が記録を保存する期間が、規則の順守を確保するうえで十分であるかどうかについてコメントを募集している。具体的には、化粧品に使用されたタルクが検査され時と、当該化粧品が消費者に届く時との間の長さに関する具体的コメント、及び消費者が化粧品を保存または使用する期間についての具体的コメントである。FDAは通常、監督中に記録保管要求事項の遵守状況を確認する。したがって、記録保存の期間は、監督期間の見積もりを考慮して決定される。FDAは、年間で比較的少数の製品をサンプリングして、タルク含有化粧品中のアスベストについて監視し、「理由に基づく」監督を実施している。そのため、FDAは、記録が作成されてからFDAが記録の提出を要請するまでの期間を最長3年と見積もっている。
記録は、関連するメタデータ及び監査証跡を含め、原本または、フォトコピー、マイクロフィルム、マイクロフィッシュまたはその他の複製など、データの内容と意味を保持するコピー)として保存される。電子記録は、21 CFR part 11 に準拠することが求められる。削減技術が使用されている場合、監督時にFDAが容易にアクセスできる適切なリーダー、コンピュータ、及び複写機器を用意すべきである。別の場所から原本または、コンピュータまたはその他の電子手段によるものを含め、真正なコピーとして即時に取得できる文書及び記録は、FDAがこれらの記録を入手できるという要求事項を満たすことになる。また、記録は事業所で提供するのではなく、要請に応じて電子的に、または1営業日以内に記録を届ける他の配送方法でFDAに送付することを義務づけることを提案する。FDAによる遠隔アクセスは、FDAが製造者の事業所を訪問する場合と比較して、製造者にとって比較的負担が少ないと考える。

H. 提案された執行規定(提案されたセクション730.3条(h)、(i)、及び(j))

製造者は、分析及び適格証明書、検証文書を含め、検査記録を、記録が作成されてから3年間保管することが義務づけられる。製造者は、要請があった場合、1営業日以内に、これらの記録を電子的手段を含め、われわれに提出することを義務づけられる。タルク含有化粧品中のアスベストについての検査をしなかったり、または検査記録を保管しなかったりした場合には、当該製品はFD&C法セクション601(c)のもとで不良品とみなされる。さらに、タルク含有化粧品、または化粧品の製品に使用されるタルク中にアスベストが存在する場合には、当該化粧品はFD&C法セクション601(a)のもとで不良品となる。同様に、化粧品に使用されることを意図されたタルク中にアスベストが存在する場合には、当該タルクはFD&C法セクション601(a)のもとで不良品となる。最後に、アスベストの存在の確認、例えばFDAに代わって実施された検査による確認は、同様に検査されたタルクまたはタルク含有化粧品がFD&C法セクション601(a)に違反する不良品であることを意味する。不良品である粧品を州際通商に持ち込むことは、FD&C法セクション301(a)のもとで禁止されている行為である。

VI. 発効予定日

われわれは、本提案に基づき発行される可能性のある最終規則は、連邦官報への最終規則の掲載日から30日後に発効するものと提案する。

VII. 影響に関する予備的経済分析[省略]

VIII. 環境影響分析

われわれは、21 CFR 25.30(h)に基づき、本措置は個別にまたは累積的に人間環境に著しい影響を及ぼすものではないと判断した。したがって、環境アセスメントも環境影響評価書も必要ない。

IX. 1995年ペーパーワーク削減法[以下省略]

X. 連邦主義

XI. インディアンの部族政府との協議及び調整

XII. 参考文献

連邦規則集第21編(21 CFR)
パート730 タルク含有化粧品についての要求事項
サブパートA 検査方法
セクション730.3 タルク含有化粧品製品に含まれるアスベストを検出及び同定するための検査方法

(a) 本セクションの対象者は誰か?あなたがタルク含有化粧品を製造する場合は、本セクションの対象となる。

(b) 本セクションに適用される定義は何か?本セクションの目的のために:
(1) アスベストとは、アモサイト、クリソタイル、クロシドライト;アスベスト様トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト、ウィンチテイト、リヒターテイト、及びその他のアスベスト様角閃石鉱物を意味する。
(2) 代表サンプルとは、無作為抽出など、合理的な基準に基づいて抽出された多数の単位から構成され、サンプルが正確にサンプリング対象物質を反映することを目的とするサンプルを意味する。

(c) あなたはどのような検査方法を使用しなければならないか?(1)偏光顕微鏡(PLM)(分散染色)、及び透過型電子顕微鏡(TEM)/エネルギー分散型X線分析(EDS)/制限視野電子回折(SAED)の両方を含む分析アプローチを使用しなければならない。あなたは、タルク含有化粧品の各バッチまたはロットの代表サンプル、またはタルク含有化粧品に組み込まれるタルク原料の各バッチまたはロットの代表サンプルに対して検査を実施しなければならない。
(i) PLM法の使用。アスベストの検出及び同定は、ISO 22262-1:2012(E)の附属書Dに記載されているアスベストのデータ及び画像と、光学結晶特性(すなわち色及び多色性、屈折率、複屈折、消光特性並びに伸長特性)及び粒子形態の比較に基づかなければならない。アスベストのPLM分析には、ISO 22262-1:2012(E)(附属書D)のアスベストの画像が、分析者を補助する視覚資料として使用されなければならない。
(ii) TEM/EDS/SAED法の使用。あなたは、サンプルが均一に分布しているTEMグリッド上の少なくとも0.1μgのタルクを含む領域を検査しなければならない。アスベストの検出及び同定は、元素組成、粒子の結晶構造、及び粒子の形態とISO 10312:2019(E)の附属書Cの図C.1に記載されるアスベストのデータ及び画像との比較に基づかなければならない。ISO 10312:2019(E)(附属書Cの図C.1)のアスベストの画像が、分析者を補助する視覚資料として使用されなければならない。

(2) [留保]
(d) サンプルがアスベストについて陽性と判定されるのはどのような場合か?本セクションのパラグラフ(c)で要求されているように、PLMの使用に基づいてアスベストが検出された場合、またはTEM/EDS/SAEDの使用に基づいてアスベストが検出された場合、サンプルはアスベストについて陽性とみなされなければならず、したがって当該サンプルで表される物質にはアスベストが存在するものとみなされなければならない。

(e) あなたのタルク含有化粧品中のアスベストを検出及び同定するための最終製品検査を行うことに対する代替手段はあるか?あなたが、タルク含有化粧品製品を製造し、当該製品を市場に出す前にタルク含有化粧品品中のアスベストを検出及び同定するための検査を行わない場合、タルク含有化粧品の製造にタルクを使用する前に、あなたの製品中のすべてのタルクが、本セクションのパラグラフ(c)に従って検査されていなければならない。あなたは、本セクションのパラグラフ(f)に従って、供給者のアスベストについての検査の結果を検証することにより、供給者の分析証明書の信頼性を確立及び維持することで供給者を適格とする場合には、タルク原料のの供給者による分析証明書に依拠することができる。分析証明書には、少なくとも以下が記載されていなければならない。
(1) 供給者が、本セクションのパラグラフ(c)に規定されているように、PLM及びTEM/EDS/SAEDの両方を含む分析的アプローチを使用していること。及び
(2) 分析証明書は、製造者が購入したタルクに固有のものであり、検査対象のタルクのロットまたはバッチ番号、検査が実施された日付または日付の範囲、及び各検査の結果を特定していること。

(f) 検査はどの程度の頻度で実施しなければならないか?少なくとも、あなたは、各タルク含有化粧品またはタルク原料の各バッチまたはロットの代表サンプルについて、本セクションのパラフラフ(c)にしたがってアスベストについて検査を実施しなければならない。あなたが、本セクションのパラグラフ(e)に従って供給者ーの分析証明書に依拠する場合は、少なくとも、供給者の最初の分析証明書を受領した時点で、また、その後は毎年、本セクションのパラグラフ(c)で要求されているとおり、あなたまたはその他のラボラトリーによる検査に基づく報告されたアスベスト検査結果の信頼性を検証しなければならない。

(g) どのような記録が保存されなければならないか?あなたは、生データを含め、検査データを示す、アスベストの検査記録を保存しなければならない。記録は、あなたの製品または製品中に使用されるタルクのサンプルがどのように検査されたか、使用された検査方法、検査結果について詳細に説明しなければならない。生データには、顕微鏡画像、スペクトル、回折パターン、及びベンチシートが含まれていなければならない。あなたが、供給者の分析証明書に依拠する場合には、記録は、最終製品に使用されたタルクの検査のために供給者から受け取った分析証明書、及び本セクションのパラグラフ(f)にしたがってアスベストについての供給者の検査の結果の検証を通じて、供給者の分析証明書の信頼性を確立及び維持することによって、供給者をどのように適格としたかについての文書が含まれていなければならない。あなたは、そのような記録を、作成日から最低3年間保存しなければならない。本サブパートで要求されるすべての記録は、要請に応じて、監督及び複写のために、1営業日以内にFDAの認定代表者に提供しなければならない。FDAの要請があった場合には、英語以外の言語で作成された記録の英語訳を、合理的な期間内に提供しなければならない。
(1) 記録は、原本、真正な写し(フォトコピーまたは原本の正確な複製など)、または電子記録として保存されなければならない。
(2) 電子記録は、本章パート11を遵守しなければならない。
(3) 文書及び記録は、原本または真正な写しとして入手し、FDAによる監督中にFDAが容易にアクセスできる機器を使用して、FDAがコンピュータまたはその他の電子的手段でコピーできるようにしておかなければならない。FDAから書面で要求があった場合には、あなたの事業所で記録を閲覧できるようにするのではなく、電子送信または1営業日以内に記録が届く別の手段で記録を送信しなければならない。

(h) アスベストについてタルク原料またはタルク含有製品を検査せず、またはタルク原料供給者からの分析証明書に依拠せず、若しくは検証しなかった場合、どのような結果が生じるか?製造者が本セクションのパラグラフ(c)に従ってタルク原料またはタルク含有製品を検査しなかった場合、当該製品は連邦食品・医薬品・化粧品法セクション601(c)のもとで不良品とみなされる。

(i) 記録保存の要求事項を遵守しなかった場合、どのような結果が生じるか?製造者が本セクションのパラグラフ(g) の要求事項を遵守して業務を行わなかった場合、当該化粧品は連邦食品・医薬品・化粧品法セクション601(c)のもとで不良品とみなされる。

(j) タルク含有化粧品、または当該化粧品に使用されたタルク、若しくは化粧品に使用することが意図されたタルク中にアスベストが存在する場合、どのような結果が生じるか?タルク含有化粧品または当該化粧品に使用されたタルクにアスベストが存在する場合、当該化粧品は連邦食品・医薬品・化粧品法セクション601(a)のもとで不良品となる。化粧品に使用することが意図されたタルク中にアスベストが存在する場合、当該タルクは連邦食品・医薬品・化粧品法セクション601(a)のもとで不良品となる。

(k) 参照による組み込み。本パラグラフ(k)に掲載された資料は、5 U.S.C. 552(a)及び1 CFR part 51のもとで、連邦官報ディレクターの承認を得て、参照により本セクションに組み込まれる。承認された資料はすべて、食品医薬品局及び国立公文書記録管理局(NARA)で閲覧可能である。[連絡先情報等省略]資料は、国際標準化機構(ISO)から入手できるかもしれない。[入手先情報等省略]
(1) ISO 22262-1:2012(E)、「環境大気-バルク材-第1部:商用バルク材中のアスベストのサンプリング及び定性的判定」、附属書D、商用材料におけるPLM及び分散染色によるアスベストの同定、初版、2012年7月1日。
(2) ISO 10312:2019(E)、 「環境大気-アスベスト繊維の判定-直接移送透過型電子顕微鏡法」、附属書C、構造計数基準、図C.1、第2版、2019年10月10日。

https://www.federalregister.gov/documents/2024/12/27/2024-30544/testing-methods-for-detecting-and-identifying-asbestos-in-talc-containing-cosmetic-products
※https://joshrc.net/archives/category/talc
も参照されたい。

【安全センター情報の関連記事】

※以上を含め、https://joshrc.net/archives/category/talc 参照。

アスベストに関連した使用及びリスク

アスベストは自然に生成する繊維状の鉱物である。アスベストは歴史的には、20世紀半ばに建設における耐火材として使用されたが、他にも、塩素や苛性ソーダの製造に使用される隔膜、ガスケット、ブレーキ、セメント水道管や、床タイル、断熱材、屋根板、テクスチャードペイントなどの建築資材など、様々な用途でも広く使用された。
攪乱されるとアスベスト繊維が空気中に飛散し、それが人の肺に吸入されると、石綿肺(肺疾患の一種)及び中皮腫(腹腔膜のがん)や肺がん、卵巣がん、喉頭がんなどのを引き起こす可能性がある。
前政権下で、EPAは、進行[継続]中の使用のみをレビューすることによって、アスベストに関するTSCAリスク評価の範囲を狭め、遺産使用や廃棄に関する検討を除外した。クリソタイルアスベストのみが現在も使用されているため、他の繊維の種類は当初は考慮されなかった。しかし、2019年に裁判所が、同庁は「遺産使用」と「関連する廃棄」をTSCAの「使用条件」の定義から違法に除外したとの判決を下し、その結果、アスベストに関する同庁の当初のレビュー(「第1部」)を「第2部」リスク評価で補足する必要が生じた。
EPAは、2020年12月にクリソタイルアスベストの進行中の使用に関するリスク評価の第1部を完了し、2024年3月にクリソタイルアスベストの継続使用を禁止する規則を最終決定した。
第2部リスク評価は、クリソタイル(白石綿)に加え、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの5種類の繊維、リビー角閃石アスベスト、及びアスベスト含有タルクを考慮している。 リスク評価の第2部でEPAは、アスベストの遺産使用と関連する廃棄を評価した。アスベストは古い学校の建物にも見られることがある。一般的に、人々がアスベストに曝露する可能性があるのは、アスベスト含有物質が何らかのかたちで取り扱われたり、損傷を受けたりして、アスベスト繊維が空気中に飛散する場合だけである。例えば、古い建物の断熱材にアスベストが存在していても、アスベスト含有断熱材が攪乱されなければ、そのアスベストは当該建物内や近隣で生活したり働いたりする人々にとってリスクを生じさせない。
第2部リスク評価においてEPAは、アスベストへの曝露につながるアスベストの遺産使用は、アスベストによってもたらされる不合理なリスクに著しく寄与していると判定した。EPAは、解体作業に日常的に従事する建設労働者など、アスベスト含有物質の切断、研磨または研削作業に日常的に従事する労働者について、もっとも高いアスベスト曝露の可能性があると予期している。消防士などの緊急対応者も、火災その他の緊急事態により建物内のアスベスト物質が攪乱させられて、アスベスト曝露につながるリスクにさらされる可能性がある。このようなアスベスト使用の遺産状況は、衣服に付着したアスベスト繊維を家庭内に持ち込む可能性のある曝露労働者の家族やアスベスト含有物質が関わるDIY住宅リフォームやその他のプロジェクトに従事する人々、さらには解体やリフォームなどアスベスト繊維の飛散を引き起こす作業の近くに住む人々にも健康リスクをもたらす。
EPAのリスクに関する知見は、アスベスト含有物質が家屋や学校にあるからといって、誰もが健康被害を受けるという意味ではない。アスベストは、それが攪乱されない限り、古い学校の建物に通う生徒やそこで働く人々に対してリスクをもたらすことはない。
EPAは、タルクにアスベストが含まれるパーソナルケア製品など、TSCAの対象外である製品に微量[trace amounts]に意図せず含まれるアスベストによる曝露については評価していない。EPAの微量アスベストに関する知見は、TSCAの対象外であるアスベストの使用に関する結論に外挿されるべきではない。アスベストリスクに関するさらに詳しい情報は:https://www.epa.gov/asbestos/learn-about-asbestos を参照されたい。
EPAは、環境に対する不合理な被害リスクはないと判断している。

次のステップ

EPAは、アスベストの遺産使用及び関連する廃棄によってもたらされる不合理なリスクに対処するためのリスク管理プロセスを開始する。EPAは、特定されたリスクから人々を守るためにTSCAセクション6に基づく規則の提案を公表する予定である。

追加情報

不合理なリスクに著しく寄与する使用の状態:

  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:建設及び建築資材:紙製品;金属製品;石こう、セメント、ガラス、セラミック製品
  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:機械類、機械器具、電気/電子製品
  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:その他の機械類、機械器具、電子/電子製品
  • 産業/商業使用:家具、清掃、ケア用品:建設及び建築資材:織物、繊維、及びアパレル
  • 産業/商業使用:家具、清掃、ケア用品:家具及び調度品:石、石膏、セメント、ガラス、陶磁器製品、金属製品、及びゴム製品
  • 消費者使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:建設及び建築資材:紙製品、金属製品、石、石膏、セメント、ガラス、及び陶磁器製品
  • 廃棄

不合理なリスクに著しく寄与しない使用の状態:

  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:充填材及びパテ
  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:溶剤系/水系塗料
  • 産業/商業使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:電気電池及び蓄電池
  • 産業/商業使用:包装、紙、プラスチック-包装(食品包装を除く):ゴム製品及びプラスチック製品
  • 産業用/商業使用:自動車、燃料、農業、屋外用製品:芝生及び庭の手入れ用品
  • 産業用/商業使用:非石綿商品の採掘
  • 産業用/商業使用:実験室用化学品
  • 産業用/商業使用:その他の用途:人工物
  • 産業用/商業使用:その他の用途:航空宇宙用途
  • 消費者使用:建設、塗装、電気、及び金属製品:機械、機械器具、電気/電子製品
  • 消費者使用:建築、塗装、電気、及び金属製品:充填材及びパテ
  • 消費者使用:建築、塗装、電気、及び金属製品:溶剤系/水系塗料
  • 消費者使用:家具、クリーニング、ケア用品:建設資材及び建築資材、布地、織物、衣類を含む
  • 消費者使用:家具、クリーニング、ケア用品:家具及び調度品:石材、石膏、セメント、ガラス、及びセラミック製品;金属製品;またはゴム製品
  • 消費者使用:包装紙、プラスチック、玩具、ホビー用品:包装(食品包装を除く):ゴム製品;プラスチック製品
  • 消費者使用:包装紙、プラスチック、玩具、ホビー用品:子供用玩具(及び子供専用用品):織物、繊維製品、衣類;またはプラスチック製品(硬質)
  • 消費者使用:その他の用途:人工物
  • 消費者使用:自動車、燃料、農業、屋外用製品:芝生及び庭の手入れ用品

https://www.epa.gov/chemicals-under-tsca/epa-finalizes-part-2-tsca-risk-evaluation-asbestos#:~:text=The%20part%202%20risk%20evaluation,and%20associated%20disposals%20of%20asbestos.

安全センター情報2025年1・2月号