[全州リサイクリングタウン爆発事故]全州市長、重大災害で自治体長が「1号起訴」されるか[全州リサイクリングタウン爆発事故]/韓国の労災・安全衛生2024年07月10日
5月に全州リサイクリングタウンの爆発事故で労働者5人が負傷したり死亡した中、ウ・ボムギ全州市長が地方自治体長で初めて重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)違反の疑惑で裁判にかけられるかに関心が集まっている。市長はリサイクルタウンを実質的に支配・運営・管理する責任者として名指しされている。
民間投資事業の実質的な責任者は『自治体首長』
毎日労働ニュースの取材を総合すれば、光州地方雇用労働庁と警察の捜査は、リサイクルタウンの運営会社であるソンウ建設を中心に進められているという。警察はソンウ建設の安全管理者を業務上過失致傷の疑いで立件した。
全州リサイクリングタウンの爆発事故は5月2日午後、ソンウ建設所属の労働者5人が、飲食物廃水沈殿物配管の交換作業をしている途中、メタンガス漏れによって発生した。微生物の投入で不純物が発酵し、累積されたメタンガスが、配管の交換作業時に発生したスパークによって爆発が起きたものと見られる。労働者5人は全身火傷などの重傷を負い、1人が先月18日、治療中に亡くなった。
事故の責任者を突き詰めるためには、先ずリサイクルタウンの所有と運営主体をチェックしなければならない。全州市に施設所有権があるが、工事費を投資した全州リサイクリングエネルギー㈱が事業施行権を持っている。収益型民間投資事業(BTO)方式だ。全州リサイクリングエネルギーは、テヨン建設、TSKウォーター(現・エコビットウォーター)、ハンベク総合建設、ソンウ建設などの出資で設立され、施設の運営を委託されている。現在の運営会社はソンウ建設だ。
全州市と全州リサイクリングエネルギーが締結した実施協約を見れば、市長が重大災害処罰法違反の疑いで起訴される可能性は少なくないと見られる。全州市がリサイクルタウンを実質的に支配・運営・管理する責任があると解釈される内容が盛り込まれているからだ。重大災害処罰法5条は、地方自治体長を含む元請け事業主の安全・保健確保義務を規定しながら、実質的に支配・運営・管理する「責任」がある場合に限定している。実際に支配・運営・管理したかを明確にするという意味だ。
実施協約上、全州市は毎年事業施行者から、各種事業の状況資料の提出・報告を受けなければならない。また、施設の維持管理・運営計画を事業施行者から提出させて承認しなければならない。合わせて、施設の機能維持のために、補修・改良・改築などの施行を指示でき、事業施行者は直ちにこれを履行しなければならない。
雇用労働部・検察の判断基準である△経営責任者など、指示権の影響力、△業務と非常状況などの報告体系の存否、△施設・設備の所有権、などを確認しても、市長は責任を免れないものとみられる。全州市が昨年7月、事業施行者の飲・廃水の搬入を中止したのは指示権の代表的な事例であり、事故直後に事故収拾本部などを構成したことは、業務・非常状況報告体系の代表的な事例として挙げられる。
共同受給に隠れた「真の社長」
共同受給の形式に隠れて、テヨン建設のチェ・クムラク代表が逃げ出そうとしているという指摘も出ている。実施協約上、テヨン建設、エコビットウォーター・ハンベク総合建設・ソンウ建設が共同受給者だ。 雇用や安全保健問題が発生した時に誰が責任を負うのかは、具体的に明示されていない。運営会社は委託形態なので別にある。テヨン建設の子会社のエコビットウォーターが運営会社だったが、今年からソンウ建設に変わった。
チェ・クムラク代表が実質的に運営しているという情況がある。4社の裏面契約である「共同受給運営協約書」によると、共同受給体の代表者はテヨン建設だ。テヨン建設は共同運営会社の中で52.5%の持分を持っているが、エコビットウォーターの持分10%を加えれば、運営委員会の決定を左右するレベルだ。テヨン建設は昨年「全州市総合リサイクルタウン労使政委員会」の会社側代表として参加した。これに対してはワークアウトに入ったテヨン建設がソンウ建設を「隠れ蓑社長」として前面に出したのではないか、という疑惑が提起されている。
4社が必要に応じて言葉を変えているという指摘が出ている。民主労総全北本部付設の全北労働政策研究院のカン・ムンシク研究委員は「ソンウ建設に運営会社を変更時に、専門性がないという指摘に対して、共同受給なので大丈夫だと言ったが、事故が発生すると、主管運営会社はソンウ建設だったと言っている。」「共同受給形態を後盾にして、真の社長は逃げ出して、隠れ蓑社長を前面に出す」と批判した。
「ソンウ建設、しっぽ切りはダメ」
全州市長とチェ・クムラク代表が、具体的に重大災害処罰法と産業安全保健法に違反している情況も提起されている。核心は、事業場の危険性評価が形式的にされていたということだ。重大災害処罰法施行令は、危険性評価を実施さえすれば、安全保健確保義務を果たしたとしている。但し、関連の労働部の告示によって、危険性評価の際に評価対象の作業者を参加させなければならない。しかし、リサイクルタウンの2020~2022年の危険性評価報告書をみると、評価対象作業者は参加していなかった。2022年の危険性評価には、参加者として管理者などの名前が記されている。2023年の「全州総合リサイクルタウン労働条件実態調査」研究によれば、調査対象者31人の内15人は、危険性評価を知らないと答えた。危険性評価に参加したという回答は3人に過ぎなかった。その上、事故が発生した飲食物廃水処理配管交換作業は危険性評価から漏れていた。
これによって、2023~2024年の危険性評価に飲食物工程作業者が参加したのか、特に、この事件の被災者が危険性評価に参加したのかを捜査すべきだという指摘が出ている。
全北地域の30余りの市民社会団体が集まった「全州リサイクリングタウン運営正常化と解雇者復職のための共同対策委員会」はこの日、雇用労働部全州支庁に、全州市長とチェ・クムラク代表が重大災害処罰法などに違反しているとして告発状を提出した。「ソンウ建設のしっぽ切りは重大災害処罰法の立法趣旨毀損」とし、「捜査当局は市長とチェ・クムラク代表を直ちに召還捜査し、起訴せよ」と要求した。
2024年7月10日 毎日労働ニュース カン・ソクヨン記者
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