三豊惨事遺族63.3%「鬱憤障害」・・・心理支援は16.7%のみ／韓国の労災・安全衛生2025年6月27日
502人が死亡し937人が負傷した、三豊（サムプン）百貨店の崩壊惨事から今年で30年になる。しかし、依然として苦痛の中で生きている遺族たちの現実は無視されていた。30年振りに行われた遺族の実態調査は、苦痛が止まっていないことを統計で確認させた。遺族10人のうち、6人以上が「外傷後鬱憤障害(ＰＴＥＤ)」の臨床基準を超え、半分以上は家族内の葛藤と失職を経験した。それでも政府の心理支援を受けた遺族は6人に1人に過ぎなかった。
三豊百貨店崩壊惨事遺族会と災難被害者権利センター『私たち一緒に』は27日、惨事30周忌を迎え、実態調査の結果を盛り込んだ報道資料を発表した。彼らは29日、「三豊百貨店崩壊惨事慰霊塔」の前で『三豊百貨店崩壊惨事30周忌遺族実態調査結果発表』記者会見を行う予定だ。
今回の調査は、遺族会保有の連絡先180人のうち、アンケートに応じた30人を対象に、郵便方式で行われ、ＰＴＥＤ症状、事案別被害実態、哀悼の実践、などを中心に分析された。
専門家の心理支援を受けられなかった遺族が83.3%
遺族の心理状態を診断した結果、全体の63.3%がＰＴＥＤ尺度上の臨床基準以上であることが判った。反復的な事故、怒り、無気力感、などが依然として高い水準を示し、鬱憤情緒は現在までも続いていた。しかし、回答者の83.3%は惨事以降、一度も専門家の心理支援を受けることができなかった。
現在も長期的な心理的な苦痛を経験する遺族が63.3%に達したが、心理支援の必要性を『積極的に認識』した比率は30%に止まった。苦痛が外部に現れず、認識されない、構造的な問題を表わす部分だ。
遺族全員、政府の対応に「否定的」
惨事当時、政府とマスコミの対応も俎上に挙げられた。『情報提供と被害者の声の反映が適切だったか』に対する質問に、遺族の半分以上(56.7%)が強い否定を示した。特に責任者の処罰については、回答者全員が「適切ではなかった」と答え、その内73.3%は『非常に否定的』と答えた。
三豊百貨店惨事20周忌だった2015年6月29日、ソウル良才洞市民の森に用意された三豊百貨店慰霊塔を訪れた遺族たちが参拝している。三豊百貨店惨事は1995年、構造診断なしに設計と他のデパートに変更された後も不法拡張などが原因で崩壊し1千人余り以上の死傷者が発生した。
当時、「補償が十分だったか」という項目でも、否定的な回答が46.5%で、肯定的な回答（28.6%）を圧倒した。遺族たちは協議のない一方的な合意と金銭外の支援の不在を指摘した。
家族関係と生計にも深刻な影響があった。回答者の半分近く（48.3%）は、惨事後、家族間の葛藤を経験し、失業状態に置かれた遺族も21.7%に達した。
追悼空間の再構成が急がれる・・・公共の責任で管理しなければならない
遺族たちは哀悼の場所と共同体さえ完全に用意されなかったと口を揃えた。現在、追悼空間に対する満足度は低く、回答者の73.4%は「再構成が必要だ」と答えた。管理方式については、「公共の持続的な管理」（60.0%）、「政府・自治体の責任強化」（50.0%）が高かった。
三豊遺族会と『私たち一緒に』は現在、遺骸が放置されていた蘭芝島の夕焼け公園に追慕碑を建てるための署名運動を行っている。「追悼碑は単なる構造物ではなく、失念と忘却を止めるための社会的な約束であり、国家責任の象徴」ということだ。
一方、追悼式についても回答者の75%が、「意味深く感じられなかった」とし、政府と地方自治体の制度的支援が必要だという声が続いた。
遺族86.7%「三豊参事、記憶にない」
調査に回答した遺族の86.7%は「三豊惨事は韓国社会で十分に記憶されていない」と感じていた。 惨事の記憶は個人だけに押し付けられ、社会は忘却で一貫した。遺族たちは「惨事関連のニュースを見る度に。度々30年前に戻る苦痛を体験する」とし、自身を責めたり社会を恨んだりすることになると話した。それでも遺族たちは『記憶の約束』と『再発防止の誓い』をあきらめなかった。
三豊遺族会は「国と社会は、これ以上哀悼の責任を個人に転嫁してはならない」と強調し、「政府の公式謝罪、追悼場所の再整備、心理支援制度改善なによって被害者を大事に記憶しておかなければならない」と明らかにした。
2025年6月27日 民衆の声 クォン・ジョンスル記者
