「好況」の造船所、労働者には「墓場」・・・今年だけで12人死亡/韓国の労災・安全衛生 2024年05月14日
受注が好調な造船所で労働者の死亡事故が続出している。
13日に釜山市のある造船所で火災が発生し、2人が死亡した。午後2時23分にテソン造船の造船所で建造中のコンテナ船内のガス漏れで、爆発と同時に火災が発生した。この事故で30代のベトナム移住労働者1人が死亡し、韓国人労働者1人も火傷を負って病院に運ばれたが死亡した。
10日にも木浦の現代三湖重工業で、フジツボ除去のために潜水作業をしていた22才の青年下請け労働者が死亡した。死亡前日の9日の午前と午後に潜水作業をして意識を失い、病院に運ばれたが、結局目を開けることができなかった。
統営支庁管轄の造船所だけで8人が命を失う
潜水作業中の労働者が死亡した日、固城郡の錦江重工業で、船舶構造物のブロックが倒れる事故が発生して労働者2人が圧死した。1人はカンボジア出身の移住労働者だった。造船所が集る慶尚南道の巨済・統営・高城では、金剛重工業の重大災害を含めて今年だけで8人の労働者が造船所で命を失った。
現代重工業蔚山造船所でも2月12日、海洋構造物である「浮遊式原油生産設備(FPS)」の上部で設備を移動する作業中に構造物の一部が崩れて下請け労働者が下敷きになり、1人が死亡し1人が重傷を負う事故が発生した。
労働界は最近続いている造船業の死亡労災に関して、政府の特別勤労監督と使用者の処罰を要求している。金属労組が把握している今年の造船所での労災事故による死亡者は12人に達する。
「現代三湖重工業、フジツボで死亡」潜水作業は二人一組の法令違反」
金属労組光州全南支部と民主労総霊岩郡支部はこの日、雇用労働部木浦支庁前で記者会見を行い「労働部は特別勤労監督を実施し、現代三湖重工業の元・下請けの使用者を厳重に処罰せよ」と要求した。
労組は、現場の安全措置が不十分で、応急措置もまともにできなかったために発生した重大災害だと主張した。特に、今回の潜水作業が産業安全保健法と産業安全保健基準に関する規則(安全保健規則)に違反していたと説明した。「潜水作業者2人当りに、補助作業者と連絡を担当する監視人を1人ずつ配置しなければならないが、9日の作業当時、作業現場の人員は、潜水作業者4人と監視人1人だけだった。」「潜水作業指揮、監督者もいなかったし、2人いなければならない監視員も1人だけだったうえに、それさえも空調設備を担当していて、監視者の役割をするのは難しかった」と指摘した。
船舶の二重係留による安全対策も樹立されていなかったとした。労組は「ドルフィン岸壁(陸地と相当な距離にある海上に船舶が係留して荷役できるように作った構造物)と船舶の間の衝突防止のエアフェンダー(緩衝装置)が設置されており、岸壁の向い側には船舶2隻が係留中であり、船舶の間にもエアフェンダーがあった。」「エアフェンダーのせいで監視人は被災者の状態を確認できず、救助時にもエアフェンダーを260~280メートル下に、水面から潜水状態に移し、ゴールデンタイムを逃すほかはない条件だった」と説明した。 「緊急通報も問題が明らかになった」と指摘した。労組は「監視人が応急申告を真っ先にせず、下請け業者の代表に先に連絡をした」と主張した。
労組は「安全措置の不十分な状況から見ると、今回の事故は重大災害であり、安全措置なしに潜水作業をさせたのは生産第一主義がもたらした事故であり、造船業の多段階下請け構造と危険の外注化が原因となった構造的な事故だ」と指摘した。
現代三湖重工業では昨年も下請け労働者3人が労災で死亡している。労組は「今回の事故は下請け業者だけでなく、産業安全保健法と重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)によって現代三湖重工業の責任がより大きい」とし、「それでも現代三湖重工業は遺族に対し責任ある姿勢を見せていない」と批判した。遺族は葬儀を先送りし、事故の真相究明と元・下請け使用者の公式謝罪を要求していると伝えられた。
2024年造船所重大災害(死亡事故)現況
- 2024.1.12 ハンファオーシャンでガス爆発、1人死亡
- 2024.1.18、サムソン重工業で階段からの墜落事故、1人死亡
- 2024.1.24 ハンファオーシャンで潜水作業中に1人死亡
- 2024. 2. 5. HSGソンドン造船海洋でクレーンが転倒、1人死亡
- 2024.2.12.現代重工業原油生産設備の鉄製構造物の崩壊で1人死亡1人重態
- 2024年4月27日、巨済市のある造船所(会社名は報道されていない)で2人死亡
- 2024年5月9日、固城郡の金剛重工業でブロックが転倒、2人死亡
- 2024年5月9日、現代三湖重工業で下請け業者のダイバーが1人死亡
- 2024年5月13日、テソン造船の爆発事故でベトナム人労働者1人、韓国人1人が死亡(消防隊員が救助作業中に負傷)
<資料:金属労組>
2024年5月14日 毎日労働ニュース イ・ジェ記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=221527