今年の事故死亡者が初の500人台に/労働部、「重大災害法の効果」には触れず 2023年12月28日 韓国の労災・安全衛生

今年一年間の労災事故による死亡者数が歴代最小の500人台を記録すると予想される。政府は、労使が自ら危険要因を発掘・改善する「危険性評価」を中心に自己規律予防体系を構築するようにしたことが、死亡者の減少に繋がったと自賛した。安全保健の専門家の間では、昨年1月から施行された重大災害処罰法の効果と見る余地もあるという分析も出ている。50人未満の事業場(建設業は工事金額50億ウォン未満)に対する重大災害法の適用の「二年追加猶予」を推進中の政府は、重大災害法の効果に関する評価はしなかった。

雇用労働部は28日「最近3~4年間は600~700人台で推移していた調査対象事故死亡者数が、歴代初めて500人台を記録する見通しだ」と明らかにした。労働部は来年1月中に正確な数値を発表する予定だ。

労働部は、「今回の成果は産業安全保健政策のパラダイムを『自己規律と厳重責任』に切り替え、有害・危険要因を自ら発掘・改善する危険性評価中心に現場の変化を促進するなど、画期的な重大災害削減の努力を続けてきた結果」と説明した。

労働部は今年、オープンチャットルームによって全国の事故情報を共有する「重大災害サイレン」、最近6年間の4400件余りの事故死亡事例を分析した情報提供、重大災害事故白書の発刊等で「現場オーダーメード型災害予防情報公開」の基礎も準備したと明らかにした。但し、労働部は報道資料で、事故死亡者の減少に関して、重大災害法には言及しなかった。

労働界と安全保健の専門家たちは、昨年1月の重大災害法の施行後、50人以上の事業所(50人未満の事業所は来年1月から適用)では毎年事故死亡者が少しずつ減っているのだから、重大災害法が事故死亡者の減少に影響を与えた可能性があると見ている。

労働部が20日にホームページに公開した『2022年産業災害状況分析冊子』によれば、昨年、災害調査対象の事故死亡者の内、50人以上の事業場での死亡者(確定統計)は247人だ。今年1月の暫定統計基準で、昨年の50人以上の事業場での死亡者は256人で、前年(248人)よりも8人増えたが、確定統計基準では1人減った。今年第1~第3四半期でも、50人以上の事業場での死亡者は、昨年同期より10人減った。

仕事と環境健康センターのリュ・ヒョンチョル理事長は「労働部の評価とは異なり、自己規律予防体系は安全保健管理の全般的な体質と文化の改造を前提とするものであるため、一年目で政策効果を出すのは難しい」と話した。更に「重大災害法が施行されてから約2年になり、遅いけれども起訴と処罰が行われているという点で、重大災害法の効果が現れていると見る余地が大きい。それでも労働部は、重大災害法の政策効果についての評価には、言及さえしなかった」と指摘した。

労働界は事故死亡者の減少が自己規律予防体系のためだという労働部の解釈を「我田引水」だと批判した。韓国労総は、「重大災害法の効果にはできる限り目を瞑って、『画期的な重大災害削減努力を持続してきた結果』という自画自賛をしていて、呆れるしかない」と評価した。これより前、イ・ジョンシク労働部長官は27日の党政協議会で、「この三年間、政府は50人未満の企業の安全保健管理体系構築の支援に全力を尽くしてきたが、来年1月27日から50人未満の企業に重大災害法を適用するには十分ではなかったということを認めざるを得ない」と話している。

2023年12月28日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202312281200011