『50人未満』への重大災害法適用猶予・・・長官は「苦悩中」 2023年10月12日 韓国の労災・安全衛生

雇用労働部のイ・ジョンシク長官が12日、国会・環境労働委員会で行われた雇用労働部への国政監査で、議員の質疑に答えている。/聯合ニュース

雇用労働部のイ・ジョンシク長官が国政監査で、「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)を来年1月から50人未満の事業場にも拡大適用する方案に、猶予の可能性を示した。

イ・ジョンシク長官は12日、国会・環境労働委員会の国政監査に出席し、50人未満の事業場に対する重大災害処罰法の適用について「慎重に考えなければならないという労・使と専門家たちの意見があり、私たちも悩んでいる。」「私たちは予算や人材などの支援を増やしたが、(拡大適用対象の)83万の事業場の内、40万の事業場に対しては時間が必要ではないかと思う」と話した。昨年1月に施行された重大災害処罰法は、猶予期間を経て、50人以上の事業場には、2024年1月27日から適用される。

この日、「共に民主党」のチン・ソンジュン議員が「労働災害の80%以上が小規模事業場で発生しているではないか。努力が不充分でも(50人未満の事業場への適用を)先送りすることはできないのではないか」と質問すると、長官は「そうだ」と答えながら、「皮肉なことに、昨年と今年の統計を見ると、(重大災害処罰法の)適用事業場では(重大災害事件が)減少したり、同様な水準だが、(50人未満の事業場は、重大災害処罰法が)適用されていないにも拘わらず、むしろ重大災害は減っている」と話した。

これに関連して、与党「国民の力」の環境労働委員会幹事のイム・イジャ議員が先月、50人未満の事業場への重大災害処罰法の適用を、更に二年猶予するとした改正案を代表発議した。但し、多数の議席を持つ民主党が合意しなければ、処理は難しい。来年4月の総選挙で国民の力が過半数を占めれば、状況は逆転しかねない。

この日、国政監査台に上がった企業の代表たちは、労災発生の責任から逃げ回った。シャニーのイ・ガンソプ代表理事は、8月にSPC系列のシャニー製パン工場で発生した労働者の挟まれ死亡事故に関する責任の有無を尋ねる民主党のユン・ゴンヨン議員の質問に対し、「現在捜査中の事案に対して、ここで断定的にどちらの責任だと申し上げることは適切ではないようだ」と話した。コストコ・コリアのチョ・ミンス代表も、6月に猛暑の中で働いていた30代の労働者が死亡した事件に関し、当時の劣悪な労働環境を指摘した民主党のイ・ハクヨン議員の質問に「話したこととはかなり異なる部分がある」と主張した。

国会の外では、最近災害が続いているクパン・ロジスティクスサービス代表の国政監査の証人不採用に抗議する全国宅配労働組合が、100時間の徹夜座り込みを始めた。宅配労組は記者会見で「国民の力がクーパンの代表らの証人採択に反対して環境労働委員会での証人採択が不発に終わり、現在、国土交通委員会の証人採択も断言できない状況だ。」「クーパンが社会的合意に違反して強要する週60時間の超過勤務、分類作業の強要、労組弾圧などに、明確に警告しなければならず、そのために、(与党は)クパン代表の証人採択に応じなければならない」と主張した。

2023年10月12日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1111902.html