「産業現場の危険性、下請け労働者が一番よく知っている 2023年06月27日 韓国の労災・安全衛生

イギリス産業安全保健庁(HSE)傘下の研究機関科学研究センター(SRC)のアンドリュー・カラン機関長が、20日に<ハンギョレ>とインタビューをしている。/シン・ソヨン記者

「危険性評価の核心は管理者と労働者の協業です。一線の労働者こそが危険に曝されており、どのように効果的に軽減できるかを知る最上の主体だからです。」

マンチェスター大学のアンドリュー・カラン名誉教授は20日、<ハンギョレ>と会って、危険性評価への労働者の実質的な参加を強調した。カラン教授は、イギリス産業安全保健庁(HSE)に29年間勤務した後、現在は同機関の傘下研究科学研究センター(SRC)長を務めた、危険性評価の専門家だ。

危険性評価は、重大災害に関連した経営者処罰など、使用者責任の強化と同時に、産業安全体系を形成するもう一つの軸だ。事業主自らが労働者との対話等によって、事業場の危険要因を見付け、これを自律的に改善するようにする。重大災害処罰法の施行から1年半になった現在、実際現場で産業災害を減らすための最も重要な活動に挙げられる。韓国は2012年に、産業安全保健法に危険性評価制度を導入したが、企業の活用率は30%台に止まる。<ハンギョレ>が世界産業安全保健研究員が集まる国際会議体であるシェフィールド・グループ会議に参加するために訪れたカラン教授に会った理由だ。カラン教授はシェフィールド・グループの議長を務めている。

カラン教授は「危険性評価の過程で最も重要な成功要因は、職員と事業主の、危険に対する議論の質」と話した。昨年1月に施行された重大災害処罰法は、危険性評価を経営責任者の安全と保健確保義務の一つと規定し、これを行っていない状態で重大災害が発生すれば、責任者を処罰する。但し、処罰を避けるための品揃えだけに終わる危惧があるという懸念が絶えない。カラン教授は「危険性評価の体系を、単純に様式行為をする義務要件だけと見ると絶対に効果がない。構造化された対話手段にしなければならない」と話した。

特に、重大災害死亡の約70%が下請け労働者に集中している韓国の現実から、企業(元請け)が対話すべき相手として下請け労働者を挙げた。「『有害要因によって誰が影響を受けるのか』を質問することが、有意義な危険性評価の構造を作る。」「下請け労働者が安全保健イシューの成果を左右する主要な一員という点を認識して初めて、産業安全保健が改善される」と話した。

経営界を中心に『現場の混乱』を主張し、重大災害処罰法の改正要求が出てくる中で、カラン教授は「安全成果が良くなければ、事業成果も良くない」と話した。彼は「危険性評価が円滑になされなければ、事業の中断と人的浪費も防ぐことはできない。」「政府も、企業経営者が危険性評価制度を擁護し、危険性評価をキチンとする企業にインセンティブを与えるなどの方式を考えるべきだ」と付け加えた。

カラン教授の母国のイギリスは、1974年に危険性評価を核心的な内容に盛り込んだ産業安全保健法(HSWA)制定して5年目に、事故死亡万人率を30%(0.34人→0.24人)減らした。韓国も同じ変化を作り出すことができるだろうか? カラン教授は「諸般の文化が異なるために難しい質問」で、「イギリスは産業安全の変化と革新が必要な度に、堅実な根拠を基盤に制度を評価し、研究する文化があったために、このような変化を成し遂げることができた」と話した。

2023年6月27日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1097624.html