「死んだ人はいるのに罰せられた人はいない」 2022年12月8日 韓国の労災・安全衛生

青年非正規職労働者・故金鎔均4周忌追悼委員会と正義党の主催で行われた『重大災害裁判、実態を知る』討論会/チョン・ギフン記者

「キョンドン建設は、私の父は1mの高さから墜落したと言いましたが、遺体はそうではないことを示していました。全身にあざと骨折を負い、右腕は骨が腕を突き抜けていました。そして腫れ上がった首が見えました。あ、だから父は意識を失ったんだ。酸素の供給ができずに脳死したんだ。」

釜山のキョンドン建設の工事現場で墜落して亡くなった下請け労働者・故チョン・スンギュさんの娘・スンナムさんの声が震えた。彼女は「法廷で『遺族に謝罪する考えがあるか』という問いに、キョンドン建設の現場所長が『法の判断に従う』と言った」とし、「キョンドン建設から『申し訳ない』という言葉をどうしても聞きたかった」と言った。チョン・スンナムさんは今でもきちんとした謝罪を聞いていない。6月、釜山地方裁判所はチョン・スンギュさんの事故で、業務上過失致死と産業安全保健法違反で裁判に付されたキョンドン建設と下請け業者・JM建設の関係者に、懲役6月、執行猶予1年を宣告した。

「重大災害処罰法が施行されたが、法的責任を負う経営責任者はいない」

「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の施行にも拘わらず、労働者の死亡事故に法的な責任を負う人は誰もいないという批判が強い。『重大災害裁判、実態を知る』証言大会は、重大災害処罰法施行以後も変わらない現場についての証言で溢れた。証言大会は正義党と故金鎔均4周忌追悼委員会が共催した。

チョン・スンギュさんの事件は、CCTVや目撃者がなく、真相究明は難航した。キョンドン建設側は、「1メートルの高さから墜落した」と主張した。その後、調査機関によって墜落の高さが変わった。釜山雇用労働庁は2.15メートル、安全保健公団は3.8メートル、釜山警察庁は4.2メートルと推定した。チョン・スンナムさんは、「正確な事故原因が分からなければ再捜査をすべきだが、会社側の労災調査票をそのまま提出する状況が繰り返された」と話した。事故直後、労働部が作業中止命令を出した後、故人が死亡した現場は完全に変わっていた。 チョン・スンナムさんは「釜山労働庁長の職印が押された『作業中止命令書』をあざ笑うかのように、事故当時にはなかった足場の安全ネットと手摺りが設置され、足場さえきちんと設置されていれば、父親は死ぬことはなかったが、キョンドン建設は裁判の中で『本人不注意』を主張し、故人を二度殺した」と主張した。

企業の「死んだ人のせい」を、裁判所はそのまま受け容れる

企業は労災死亡の原因を「死んだ人のせい」にし、裁判所がそれをそのまま受け容れる態度が、重大災害処罰法施行以後も依然として維持されているという批判が特に強かった。金属労組現代重工業支部は、2019年と2020年に発生した5件の重大災害に関し、現代重工業を産業安全保健法違反で告発した。蔚山地検は、5件の事件すべてで現代重工業のハン・ヨンソク代表取締役を不起訴処分にした。安全保健管理実行責任を事業部代表に委任し、労働者に対する具体的で直接的な注意義務を負担するとは見られないというのが理由だ。このうち4件は、事業部の代表が裁判に付されたが、検察の求刑が懲役1年(併合事件は2年)以上を越えていない。蔚山労災追放運動連合のヒョン・ミヒャン事務局長は、「裁判の中で会社側の弁護人は、死亡した労働者や同僚の労働者個人の過失に追い込むが、検察が死亡事故の原因と違法事項に効果的に対処できず、結果的に、事件の真相が究明されるどころか、隠蔽される結果がもたらされている」と批判した。

労働者が洗浄剤に含まれた有害物質のトリクロロメタンで急性中毒に罹り、肝毒性症状になったテフンR&Tも重大災害処罰法の疑惑を受けたが、検察は結局不起訴処分した。金属労組テフンR&T支会のキム・ジュンギ事務長は、「被災者が『私の体が証拠』と主張したが、法廷は証拠不十分だとした」とし、「事故の後、何の措置もしない会社に失望した労働者が退社している」と話した。

ソン・イクチャン弁護士は、「重大災害処罰法違反の疑いで初めて検察に送られたサムピョセメントは、依然として起訴もされておらず、重大市民災害事件の場合、送致されたかどうかさえ把握されていない」、「事件が送検される前の段階でも、数回補完捜査の指示が出されるが、このような過程を経て、すべての証拠を土台に起訴意見で送致される以上、検察の起訴が遅れる現象は理解し難い」と指摘した。

2022年12月8日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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