6ヵ月間に重大災害法適用事業場で労災117件、起訴は1件 2022年7月27日 韓国の労災・安全衛生

重大災害予防と安全権実現のための学者・専門家ネットワークの会員たちが7日、大統領執務室の近くの戦争記念館の前で、重大災害処罰などに関する法律の厳正な執行を促す記者会見を行っている。/キム・チャンギル記者

1月27日、「重大災害処罰法」(重大災害法)が施行されて以後、6ヶ月間に法適用事業場(常時勤労者50人以上または工事給額50億ウォン以上)で発生した重大災害は117件だ。124人が死亡し、29人が有毒物質中毒になった。雇用労働部はこの内14件を起訴意見で送検し、検察は16人が有毒物質に中毒になったトゥソン産業だけを起訴した。テフンR&Tは不起訴処分とし、「重大災害法適用1号」として知られたサムピョ産業など12件は未だに捜査中だ。

労働界と市民社会団体は、重大災害の発生に対する検察の捜査の意志が微弱だと指摘している。特に、労働部が起訴意見を付けたが、検察が不起訴の判断をしたテフンR&T事件が、今後の重大災害事件で「ガイドライン」になることを憂慮している。

検察は先月27日、13人の職業性疾病者が発生したテフンR&Tの法人と経営責任者に対して、重大災害法の無嫌疑処分を行った。局所排気装置が正しく機能していなかったにも拘わらず、安全・保健に関する従事員の意見を聴取し、有害・危険要因を確認して改善中だった、という会社側の主張を受け容れた。

テフンR&Tは昨年3月、外部機関である仁済大学校釜山白病院から、局所排気装置のうち、手動の洗浄部分の風速が不十分だという改善勧告を受けていた。同年9月には、労働者が「洗浄剤の匂いが酷い」と会社に問題を提起した。会社はその後「局所排気装置の一部を補修」し、「段階的に改善措置を執っていた」と主張した。テフンR&Tは事故が発生(2月)した以後の3月に、産業安全保健公団の作業環境測定を受け、ここで「局所排気装置の性能が適正」であることが判ったと話した。検察は会社側の主張を認めた。作業環境改善の費用として用意した9億7000万ウォンが用途に合わせて執行されたかについては、「明確に判断しにくい」とした。

重大災害法施行令に明示された「有害・危険要因の確認と改善がなされているかを半期(6ヶ月)に一回以上点検した後、必要な措置をせよ」という規定も反映した。検察は危険性評価で確認された危険要因の一部が、たとえ改善されていなかったとしても、半期が到来する前に重大災害が発生し、履行の有無を客観的に判断しにくい特殊性を勘案すべきだと話した。また、安全保健管理責任者などの業務を忠実に遂行したか否かを明確に判断することも難しいと話した。

テフンR&Tで急性肝中毒の被害を受けたカン・ジフン(30)さん(仮名)は、災害の発生から5ヵ月が過ぎた現在も、依然として全身のじんましんで苦しんでいる。写真はカンさんの腕(左)と肩/カン・ジフンさん提供

テフンR&Tで急性肝中毒の被害を受けたカン・ジフン(30)さん(仮名)は、災害の発生から5ヵ月が過ぎた現在も、依然として全身のじんましんで苦しんでいる。写真はカンさんの腕(左)と肩/カン・ジフンさん提供

韓国放送通信大学法学部のチェ・ジョンハク教授は「危険性評価といった安全保健管理体系が形式的に整っている場合と、実質的に作動して改善措置をした場合は、区別されるべきだ」とし、「経営責任者が安全保健義務である現場点検をどれだけ頻繁に行い、それに伴う改善措置を実質的に履行したのか、具体的に検討すべきだ」と話した。

民主労総は労働市民社会団体と共に、8月に「重大災害共同対応機構(仮称・重大災害OUT運動本部)」を設立して対応することにした。民主労総のチョン・ジェヒョン労働安全保健部長は「重大災害発生以後、起訴や裁判の状況に対する対応、厳正処罰の必要性に対する議論をしていく予定」とし、「経営界と政府、執権与党の重大災害法の無力化に対する対応方針も立てる計画」と説明した。

2022年7月27日 京郷新聞 ユ・ソンヒ記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202207271539001