労災死亡事故が再び急増・・・「無理な工事期間短縮のせい」 2022年7月28日 韓国の労災・安全衛生
重大災害処罰法の施行以後の5ヶ月間で減少傾向を見せていた死亡事故が、6ヶ月目の7月に入って急増した。雇用労働部は、最近、原材料価格の引き上げで建設工事の期限が無理に短縮され、それに相応しい安全措置が伴わなかったためと分析した。
労働部は7月1~21日の労災死亡事故が、前年同期の30件から11件増えた41件発生したと明らかにした。昨年は建設業で15件、製造業で8件、その他業種で7件だったが、今年は建設業で20件、製造業で12件、その他で9件に増えた。
この内、特に重大災害法の適用を受ける50人以上(建設業は工事金額50億ウォン以上)の事業場の死亡事故が、昨年の8件から今年は23件へと、15件も急増した点が目立つ。1月27日に重大災害法が施行された以後、6月までに50人以上の事業場の死亡事故は87件で、昨年同期の109件より22件(20.2%)減った。しかし、7月21日の数値で見ると、計115件で、昨年同期より5件(4.2%)の減少に止まった。
重大災害法の適用を受ける企業で増えた15件の内、建設業が8件、廃棄物業者などその他業種が6件、製造業が1件で、建設業での死亡者が増えた。
労働部は最近の原材料価格の上昇で、建設会社が人件費を少しでも減らそうとして工事期間を無理に短縮し、安全措置を正しく行わなかったために事故が増えたと見ている。労働部の関係者は「同時に色々な作業をする下請け企業等に対しては、元請けが作業時期と内容、安全保健措置などを確認し調整すべきだが、工期短縮の圧力で、そのような安全措置義務が正しく守られていない」と説明した。
一部では新政府の『重大災害法揺さぶり』によって、早くも災害予防効果が鈍くなったのではないかという憂慮も出ている。重大災害法は1月27日に施行され、80ヶ余りの企業を捜査しているが、現在までの実際の起訴事例は、労働者の集団間中毒事故があったトゥソン産業の1件しかない。尹錫悦政府と与党が法の見直しを示唆し、改正案も提出している状態だ。
民主労総全国建設労働組合のチョン・ジェヒ労働安全室長はこれについて、「7月に発生した事故を見ると、安全措置がきちんとしていないために発生した事故はそれほど多くなく、信号手の配置など、現場の安全管理が不十分で発生した事故の方が多い」、「現場は依然として警戒心を持っているが、安全力量の蓄積に時間がかかっている」と分析した。労働部は主要建設会社と最近5年間の死亡事故を発生させた企業を対象に、チェックリストとガイドラインを公文書として配布する計画だ。
一方、労働部は、今年上半期に9506ヶ所の事業場に対して産業安全保健点検・監督を実施した結果、4419ヶ所(46.5%)で法違反事項(1万1993件)を摘発した。事業主が法に定められた最小限の安全保健措置義務も果たしていない企業が、3682社(38.7%)で最も多く、事業場の安全管理システムが杜撰な企業が2863社(30.1%)でその後に続いた。
2022年7月28日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者