政府の「重大災害法揺さぶり」が本格化・・・・施行令改正に 2022年6月16日 韓国の労災・安全衛生

1月29日、サムピョ産の業採石場で発生した重大労働災害に対して、厳正処罰を求める民主労総の記者会見が2月3日、サムピョ産業の楊州事業所前で行われている。/ヤン・ジュ、キム・ヘユン記者

尹錫悦政府が「重大災害処罰に関する法律」(重大災害法)の緩和を『新政府経済政策方向』によって公式化した。「国民の力」が10日、経営責任者の処罰減軽を目的とする法律改正案を発議したのに続き、政府が施行令の改正に取り組むとしたことで、施行されて5ヶ月にもならない重大災害法の揺さぶりが本格化するものと見られる。

16日、政府が発表した経済政策方向によれば、『企業の経営活動を萎縮させる法的な不確実性を迅速に解消』の課題に、重大災害法施行令の改正が含まれた。「経営責任者の義務の明確化のための施行令改正など」によって、「災害予防の実効性を向上し、現場の隘路を改善」するということだ。推進の日程は来月からだ。

重大災害法は50人以上の事業場(建設業は工事金額50億ウォン以上)で、経営責任者に安全保健確保義務を課し、これを履行せずに重大労働災害が発生した場合、経営責任者を処罰するとした法律だ。企業はこの重大災害法が曖昧で、企業の負担が過度だとし、重大災害法と施行令の改正を要求してきた。例えば経営責任者の「安全保健管理体系構築義務」が包括的で、明確性の原則に反するということだ。特に、尹錫悦政府の発足後の先月15日には、代表理事ではなく最高安全責任者(CSO)等を「経営責任者」と見られるようにして欲しいという施行令の改正建議書を提出した経緯がある。

チュ・ギョンホ経済副首相兼企画財政部長官が16日、新政府の経済政策方向を発表している。/シン・ソヨン記者

しかし、事業場ごとに危険要因が余りにも多様であるため、政府が一々予防措置を指定することは難しく、通常、企業は規制が細部的であれば過度だと主張してきた。これを考慮して、重大災害法は人事・予算権限がある経営責任者に、安全・保健確保義務を賦課し、自ら有害・危険要因を探して労災を予防するよう規定した。放送通信大学のチェ・ジョンハク教授(刑法)は「現在、産業安全保健法令の条項は1千個を越えるが、産業現場・技術の変化で具体的に規定できないことが存在し、今後も同様だろう」と、経営界の無理な要求を批判した。

最近、パク・デチュル国民の力議員が発議した重大災害法改正案も、経営責任者の安全保健確保義務を緩和する内容だ。法務部長官が告示した重大災害予防に関する基準をキチンと守っていると認証されれば、重大労働災害が発生しても、処罰を免れたり減軽したりするという趣旨だ。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全室長は「重大災害が発生した大企業のほとんどは、安全・環境認証を受けた企業だが、重大災害が発生した後に労働部が勤労監督をすると、数百件の産業安全保健法違反事項が摘発されている」とし、「労災予防ではなく、ひたすら企業の処罰免除だけに没頭する厚顔無恥な行動だ」と話した。

労働界は、重大災害法施行令改正の動きを警告した。民主労総は先月17日「施行令の改悪による法の無力化を引き続き推進するなら、労働者市民と共に強力な闘いで対抗する」と明らかにした。韓国労総も15日に声明を出し、「改悪阻止のために強力に闘う」と明らかにした。

2022年6月16日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1047279.html