18メートルの木が頭に「ドーン」中央行政機関の重大災害処罰法適用第1号・・・・山林庁の死の「森づくり」 2022年5月4日 韓国の労災・安全衛生

一人の作業者が伐刀(立っている樹を切り倒す)作業をしている。/山林庁ホームページ

山林庁の国有林「森づくり事業」の過程で、伐採作業をしていた労働者二人が死亡していた事実が少し遅れて確認された。これによって、山林庁は「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害法)の適用を受ける第一号中央行政機関になった。

3日、国会・農林畜産食品海洋水産委員会のウィ・ソンゴン議員(共に民主党)と環境労働委員会のカン・ウンミ議員(正義党)が、山林庁と雇用労働部からそれぞれ提出された資料を総合すると、2月14日、慶北の奉化で栄州国有林管理所の「森づくり事業」をしていた『国有林第7営林団(樹木の伐採・搬出などをする林業技能人の組織)』所属のAさん(64)が、作業中に頭を負傷して死亡する災害が発生していた。当時、同僚の作業者が伐採した15mの木が既に切られ、別の木に掛かっていた18mの木の上に乗った。Aさんはこの18mの木が頭に当たって病院に運ばれたが、3月6日に死亡した。2月25日にも、江原道の洪川で「森づくり事業」をしていた国有林営林団員のBさんが、伐採中の木が頭に当たって死亡した。Bさんは、他の作業者が切り取った木が、意図していなかった方向に転がってしまったため、被害に遭った。

労働部は、洪川の事故のケースでは、事業主の産業安全保健法(産安法)違反の疑いがないと見て、内偵だけで終結する方針だが、奉化の事故は、安全規則を守らずに事故が発生したと見て、捜査を進めている。産業安全保健基準に関する規則は、伐採作業をする時、切り取る木の高さの直線距離で2倍に当たる範囲内での他の作業を禁止し、木が別の木に引っ掛かって空中に浮いている場合は、下では他の作業ができないようにしているが、これを守らずに事故が発生したということだ。これを受け、労働部はAさんを雇用した事業主である営林団長を産安法違反の疑いで立件し、請負事業主の山林庁を、重大災害法違反で立件するかのどうかを検討している。

重大災害法は民間企業だけでなく、中央行政機関と地方自治体にも例外なく適用される。先月8日には慶尚南道の泗川市でも、伐採作業中に市庁が直接雇用した期間制の労働者が死亡し、重大災害法の捜査対象になった。今回の事故が発生した「森づくり事業」も山林庁が国有林営林団に請負わせた事業で、事業が実施された場所も「国有林」なので、労働部は重大災害法が適用されると判断している。労働部はこの間、民間大企業で重大災害が発生した場合、事故概要・措置事項などをメディアに知らせてきたが、山林庁の事故に関しては、「営林団の契約構造などの法理の検討が必要だ」という理由で具体的に明らかにしてこなかった。カン・ウンミ議員は、「中央行政機関であるほど、より厳格な基準を適用すべきであるにも拘わらず、労働部がこれを隠したことは深刻な問題」とした。

今回の事故によって、山林庁は安全保健管理体系の構築・履行の可否について本格的な捜査を受けるものと見られる。山林庁の27の国有林管理所は、森で木を切り取って植える「森づくり事業」を、区域別に分けて全国142ヵ所の営林団に請け負わせている。急な山の斜面で、10mを越える木を切り取ることが主な作業内容で、チェンソー、刈払機などの装備を作動させて負傷したり、伐採した木に当たって怪我をしたり、蜂に刺されて怪我をするなど、有害・危険要因が多い作業だ。特に、山奥で作業が行われるために、負傷者の緊急移送も難しく、事故の予防が一層強調される。

そのために事業主の安全保健措置が当然必要だが、大部分の国有林は、個人事業者である営林団長が10人内外の労働者を雇用して運営する構造なので、労災予防能力が低くならざるを得ない。働いた期間によって請負費が支給されるのではなく、仕事を早く終えれば人件費が少なく、多くの利潤を得ることができるということも、脆弱な安全管理を誘発する。昌信大学のナム・ギフン教授(消防防災学)は、「営林団の規模が零細で、従事者の年齢帯が60代で高齢である上に、作業環境が余りにも劣悪で、安全規則もきちんと守られていないために事故が多く発生していると見られる」とし、「山林庁が、営林団に産業安全保健管理費をもっと多く支給し、人件費の支給構造と応急処置の対応レベルの向上などの支援が必要だ」と話した。

元請け格の山林庁もやはり安全管理に責任があるが、山林庁自らが従事者の安全確保のための規定も守っていなかったと見られる。最近の山林庁の自主監査結果によると、国有林管理所が「森づくり事業」など、山林事業の施行前の安全管理計画書、施行後に安全総合報告書を提出しなかったり、従事者の安全確保のために支給される産業安全保健管理費の執行をきちんと確認しなかったという事実が指摘されたりしている。

このような事情のためか、国有林営林団の労災は絶えない。2020年に国有林営林団で発生した労災(療養承認基準)は59件(死亡1人)で、同年末現在の営林団員が1375人であることを勘案すれば、災害率は4.3%に達する。2020年の林業の平均災害率が1.02%であることを勘案すれば非常に高い数値だ。昨年は6月までに33件の労災が発生し、死亡者も1人いた。今年も先月26日までに死亡2人を含めて計6件の労働災害が発生した。

山林庁は3月6日の死亡事故以後、3月9日~15日の全国の「森づくり事業」を全面中断し、安全教育を実施し、現場点検を強化した。山林庁の関係者は<ハンギョレ新聞>に「労働部の捜査に誠実に応じている」。「重大災害法施行以後、マニュアルによって安全保健管理体系構築し、主要な事業の危険要因の分析と改善対策を作るために委託研究を発注するなど、労災予防のために最善を尽くしている」と明らかにした。

2022年5月4日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1041498.html