労働界、「国民統合を強調する尹当選者は 具体的な労働政策を提示さなければ」 2022年3月13日 韓国の労災・安全衛生
職場で命を失う人が一年に800人を超え、非正規職労働者の割合が過去最高に跳ね上がった状況でも、第20代大統領選挙は始終「労働失踪」という評価の中で行われた。特に、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領当選者は「週120時間労働」「手足の労働はアフリカでも」と言った発言で、時代錯誤的な労働観を示して批判をされてきた。労働界は尹錫悦当選者が選挙期間に現した企業寄り、規制緩和一辺倒の認識に懸念を示しながら「具体的な労働政策を出せ」と要求した。
今年1月27日から重大災害処罰法が施行される中、建設労働者は重大災害法の後退を最も懸念している。尹錫悦当選者が大統領選挙期間中に、重大災害法を巡って、施行令の改正による迂回修正の意思を示してきたためだ。尹錫悦当選者は各種の企業家との懇談会で「(重大災害処罰法は)企業家の経営意志を萎縮させる強いメッセージを与える法」で、「企業を経営する方々が意欲を失わないよう、関連施行令などをよく整備して、合理的に執行されるようにする」という立場を明らかにしてきた。
民主労総・全国建設労働組合は12日に声明を出し、「建設労働者の生命を奪って利益を上げようとする建設会社に、いつまで、何の制裁も受けずに『自由市場』を営ませるようにするのか」と糾弾した。続いて「政府がするべきことは、単に建設会社の利潤だけではなく、国民の生命を守ることだ」とし、重大災害処罰法の拡大・強化と建設安全特別法の制定を追求した。
重大災害処罰法の施行後の一カ月半の間に、重大災害処罰法の適用事業場(常時労働者50人以上・建設業は工事金額50億ウォン以上)だけで死亡事故が17件発生し、23人が死亡した。13日にも、ソウルの首都圏広域急行鉄道(GTX)A路線5工区の建設現場で、下請け会社に所属する30代の労働者が、電線を地上から地下に下ろす作業をしていたところ、落ちてきた電線ドラムの下敷きになって死亡した。重大災害事故が繰り返し発生する事業場も多い。現代製鉄では重大災害処罰法の施行以後、関連事業場で2件の死亡事故が、わずか3日の間に起こった。
現在、労働基準法の適用除外対象になっている5人未満の事業所にも労働基準法を適用すべきだという声も出ている。民主労総・民主労働研究院が、広域市・道別に、5人未満の事業体の労働者の特性と労働条件を分析した結果、大部分が女性、非正規職、55歳以上の高齢層だった。それらの月平均賃金は181万ウォンで、全労働者(275万ウォン)の35%も低い。10人中3人は最低賃金にも達していない。
民主労働研究院は「政府は5人未満の事業体の労働者に勤労基準法を全面適用し、最低賃金違反の監視・監督を強化すべきだ」とし、「労働条件を改善するために、女性・非正規職・高齢労働者など、脆弱階層の権利保護と労働条件改善のための条例の制定・改正などが必要だ」とした。
民主労総は「(尹錫悦当選者が)労働界と市民社会の政策質疑に応じないために具体的な労働政策と公約をキチンと把握することができないが、『週120時間労働』などの発言を見ると、労働者・民衆の暮らしがもっと厳しくなることが予想され、惨めな思いだ」とし、「尹錫悦当選者は、今、具体的な労働政策を提示すべきだ。当選したのだから現場の声を聴こうとする姿勢が必要だ」と注文した。
2022年3月13日 京郷新聞 ユ・ソンヒ記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202203131427001