掃除溶剤を使うと、目がシクシクして喉が痛い理由 2022年3月11日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/チョン・キフン記者

ビルの掃除労働者と食堂調理の労働者たちが使用するラックスと洗浄・消毒製品を、二つ以上混合して使用した場合に発生する塩素ガスが『許容不可能なレベルの危険』なレベルに達するという調査が出た。掃除労働者たちは、一日平均2、3種類の製品を3時間程度使っているが、これに対する安全保健教育や健康診断はキチンと行われておらず、対策が必要だという指摘だ。

  安全保健公団の産業安全保健研究院が最近公開した研究報告書『掃除労働者の化学物質曝露の実態及び健康被害事例研究』によると、市中の清掃溶剤100種から、呼吸器に影響を与える物質46種が確認された。研究チームが事業場で使用されている掃除溶剤を回収し、該当メーカーに物質安全保健の資料(MSDS)を要請して調べた結果、雇用労働部が曝露基準を設定した有害物質21種、管理対象物質12種、作業環境測定対象物質12種、特殊健康検診の対象物質5種に、発がん性物質が2種も出てきた。研究チームは曝露量を把握するため、公団の、国内の業種別の掃除労働者の5年分の作業環境測定資料の721件を分析したが、建物清掃業の場合、2-ブトクシエタノールが0.042±0.083ppm、塩酸が0.012±0.020ppm、水酸化ナトリウムが立方メートルあたり0.045±0.049mgなど、曝露基準の10%以下まで低かった。

  しかし、深層面接で、掃除労働者たちは洗浄剤や消毒剤を使用する時の、目・皮膚への刺激と呼吸器の症状を訴えるケースが多かった。研究チームは清掃溶剤と洗浄・消毒剤を混合して使用した時に発生する有害ガスが影響を与えたものと見て、実験室でラックスと清掃溶剤、洗浄剤などを混合して露出させた後に発生した蒸気を採取して分析した。その結果、クロロホルムは、曝露基準10ppmの10%未満と確認されたが、塩素は危険性評価で危険指数が『許可不可能なレベル』であることが判った。研究を担当した高麗大のビョン・サンフン教授(保健環境融合科学)は「建物清掃業で使用するラックスなど次亜塩素酸系の殺菌剤と硝酸・塩酸・クエン酸などが含まれた酸性洗浄剤を混合して使用する場合、塩素ガスが発生する」、「韓国の塩素曝露基準は0.5ppmと相当に高いため、曝露基準以下で管理は行われているが、米国のATSDR(毒性物質や疾病登録局)の毒性参考値は、これより遙かに低い、厳格な作業環境管理が必要だ」と指摘した。

  特に、「コロナ19」で防疫業務が増え、清掃労働者が短時間に多量の製品を使用して高濃度に曝される可能性もあり、事業所別の管理マニュアルが必要だと説明した。それだけでなく、手狭な休憩室に、掃除道具と掃除用剤を保管することが多く、休息中にもこのような有害物質に曝されかねないという憂慮が提起された。

2022年3月11日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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