韓電の下請労働者、集団作業中止権を初めて発動 2022年3月16日 韓国の労災・安全衛生

韓国電力の下請け労働者が電柱の昇降作業に作業中止権を発動した。電気作業で集団的な作業中止権の行使は今回が初めてだ。産業安全保健法によると、労災が発生する緊急な危険がある場合、労働者は作業を中止し、避難することができる。

労働者たちは、韓電が現場で適用できない安全基準を強行していると反発している。産業災害が発生した時に、「韓電は安全基準を用意したのに、協力会社と労働者が守らなかった」として、結局、責任を押し付けようとする下心ではないかという趣旨だ。

昨年、建設労組の主催で開かれた「労災死亡建設労働者458人合同慰霊祭」/資料写真

民主労総・建設労組・電気分科委員会は16日午前0時から、昇柱作業を巡って産安法第52条の作業中止権を発動するとした。電気が通じている活線はもちろん、電気が通じていない死線への昇降作業も拒否している。

韓電は今年1月に昇降作業を原則禁止した。昨年11月に発生した韓電の下請会社所属の故キム・ダウンさんの死亡事故対策の一環だった。当時、キム・ダウンさんの事故の原因は墜落死ではなく感電死だが、昇柱作業の全面中断はとんでもない解決策だと指摘された。

その後、活線車が進入できない場所で作業が行われる場合、協力会社は事前に韓電に公文書を送り、現場に派遣された韓電の監督者の安全指導の下で昇降作業を行うようにした。韓電が提示した安全作業の方法は腰と電柱にロープを巻く方法のスリングを利用し、エアマットやネットを設置して二次事故を防止するというものだ。

現場の労働者は、このようなやり方は現場で使いづらいと口を揃えている。

ソク・ウォンヒ電気分科委員長は「電柱は岩壁のように固定されていない。折れることもあるし倒れることもあるが、スリングを利用すると電柱と一緒に倒れろということにしかならない」と指摘した。オム・インス江原支部長は「狭い路地にエアマットやネットを設置するのは簡単ではなく、設置したとしても役に立たない。15メートルの電柱から墜落した場合に、半径2~3メートルのエアマットやネットの上に落ちることはほとんどない。中間には電線もあり、電柱に付けた電圧器もあるじゃないか」と説明した。

ソク・ウォンヒ委員長は「(韓電の安全指針のために、協力企業は)必要のない装備を強制的に購入させられている。こうして倉庫に放置されている装備が多い」と皮肉った。

このように現場と乖離した安全指針のためにほとんどの作業が中止されたと、ソク・ウォンヒ委員長は話した。「(1月の韓電の昇柱作業の全面禁止以降)三カ月程は仕事ができていない」とし、「働く人たちの生存権を奪う公企業のストだ」と批判した。オム・インス支部長は「江原道地域では、作業がほとんど中止された。住民からの相談などで必ず工事を行わなければならない極く少数の現場は2~3%にもならない」と話した。昇柱作業の中止が長期化する場合、失業や賃金低下になる可能性も提起された。

故キム・ダウン電気労働者の労災死亡追悼の記者会見の様子/民衆の声

労災事故が発生した時に韓電が責任を免れる手段として、机上の空論的な安全指針を作ったのではないかという疑いが濃い状態だ。労組が作業中止権を行使した決定的な理由だ。

オム・インス支部長は「韓電のすべての政策が一方的・強圧的に降りてくる。現場に適合しない安全基準を設けては、また新たな便法が作られる。その過程で事故が発生すれば、結局、労働者の責任として帰ってくる。『韓電は徹底した安全基準を作ったのに、協力会社や労働者が守らなかった』と、責任を押し付けられ、韓電だけが逃げてしまう」と話した。

重大災害企業処罰法に備えた安全管理対策として、韓電は作業中止権の全面保障を拡大すると公言した。建設労組電気分科委員会は、韓電に公文書で作業拒否権の行使を告知し、「安全が担保されない昇柱方式の強制の中断を求める」とした。

現場の労働者が提案する安全な昇柱作業の方法は、補助ロープを追加することだ。ソク・ウォンヒ委員長は「今は一本のロープだけで登っているが、補助ロープを追加すれば一本のロープが外れても大丈夫だ。電柱が転倒しても外しやすい。数十年間の経験から生まれた方法なので、現場での適用性が高い」と話した。

労組は、韓電が合理的で安全が保障される昇柱方式を協議するまで、すべての昇柱作業を拒否する方針だ。ソク・ウォンヒ委員長は「死にたい労働者はいない。韓電が安全が確保されていない方式を強制的に運営しているため、全面的な中止を求めている。安全は現場の労働者に答えがある。現場を反映した対策を立てなければならない」と話した。

オム・インス支部長は「事故の予防は十分な人員と時間だ。しかし韓電は、技能人材の養成、老朽化した設備の補強など、根本的、長期的に問題を解決しようとするのではなく、当面問題になった部分だけを見ようとしている」とした。

2022年3月16日 民衆の声 カン・ソギョン記者

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