「労働者の証言なくして重大災害の原因は探せない」民主労総、麗川NCCに官民合同の調査を要求 2022年2月24日 韓国の労災・安全衛生
8人の死傷者が発生した麗水の国家産業団地内の麗川NCCの爆発事故の調査に、現場の労働者と労組などが参加する民官合同調査団が必要だと、労働界は追求した。
麗水だけでなく、全国の国家産業団地の老朽化した設備で労災事故が続いているため、官民合同の調査委員会を構成して安全対策を立てるべきだという指摘も提起された。
「現場を最もよく知っているのは労働者」
民主労総は24日、『麗川NCC爆発事故の真相究明と責任者の処罰、重大災害対策樹立追求』記者会見を行い、「現場について最も詳しいのは労働者だ」と強調した。
彼らが最も憂慮したのは、今回の災害調査が雇用労働部と企業の間の形式的な書類の点検で終わる可能性だ。決して杞憂ではない。過去に、労組が参加していない災害調査で、事故を隠蔽しようとする試みが続いたためだ。
民主労総は「麗川NCCの合弁投資会社で、共同代表理事の一人でもある、DLケミカルの前身のテリム産業は、2013年の爆発事故当時、労働者が作業許可書なしに勝手に作業をして事故が起きたと主張したが、労組の現場調査で、作業許可書を発給していた事実が確認された」とし、「昨年12月、麗水産業団地内のイイル産業の爆発事故当時、労組の提起によって、作業許可書を捏造していた事実が明らかになった」と指摘した。
民主労総のヤン・ギョンス委員長は「労働者が現場の状況を最もよく知っている。直接事故の調査ができなければならない。そうしなければ、根本的な対策を作ることはできない。労働者を排除して事件を調査するということ自体が、現実を歪曲して隠すための手段」だと批判した。
今回の事故に関する労働部の説明会で、会社側が『作業マニュアル通りにやったのに、なぜ事故が起きたのか分からない』という態度を示したと、労働安全保健委員会のイ・テウィ委員長が話した。
イ委員長は「事故現場で労働者が直接にぶつかって経験する事例は、会社のマニュアルや労働部の安全指針通りに確認できない事案が数多くある。」「爆発した圧力機の製作年度は1987年だ。3~5年前の圧力器が、固定の施設として全国に2千器以上存在している。作業指示書だけで、爆弾のような施設物がどのように危険な作動をし、事故を誘発するのかを発見することはできない。作業者の証言が必要だ」と指摘した。続いて「安全管理者一人があちこちを追いかけながら、数え切れないほどの作業をしている。作業マニュアル通りにできない条件だ」とも話した。
続いて彼らは、元・下請の労働者や労組、労組が推薦する専門家などが参加する官民合同調査団が必要だと追求た。
民主労総は災害調査によって、△危険な半径の外に移動した後に圧力テストを実施しなかった理由、△30年間稼動した老朽熱交換器に発生する危険要因など、経営責任者の義務違反の関連、△安全要員の確保など、麗川NCC労組の要求に対する企業の履行計画と実施の可否、などを調査すべきだと指摘した。
労働部も重大災害調査では現場の労働者の声が重要だと強調してきた。アン・ギョンドク労働部長官は、安全保健に関する労働者の意見を黙認・放置するケースについて、厳正に調査すると、何度も明らかにしてきた。
しかし、今回の調査でも下請け労組が排除された状況だと、彼らは声を高めた。今回の事故死傷者8人のうち、7人が下請け労働者だ。
労働部は、重大災害処罰法の施行後、2人以上の死亡事故が発生した企業の全事業所を対象に特別監督を実施すると発表している。労働部の監督には、労働者代表・名誉産業安全監督官の参加、監督結果への署名などが規定されており、労働者代表は元・下請労組などのすべてを対象とするが、下請労組であるプラント労組麗水支部は参加を保障してもらっていないというのが労組側の説明だ。
「35年経った圧力器は全国に存在している」
全国の国家産業団地で労災事故が繰り返されている。今月17日、共に民主党のキム・フェジェ議員室が提出した『国家産業団地の事故統計』によると、過去6年間(2017-2022)で、20年以上の老朽化した産業団地で226人の死傷者が発生し、そのうち死者は99人に達する。特に、40年以上の産業団地での死亡者は66人で、全体の65%に達した。
イ・テウ委員長は「今回爆発した35年経った圧力器が、固定施設として全国に2千余り存在している、化学工場が密集する国家産業団地に行くと、今回の圧力器より強力な高圧タンクが並んでいる。化学製品や原料がラインを通って道路を横断している。他の施設まで爆発すれば、労働者を越えて地域全体の災難になる」と指摘した。
化学繊維食品労組のシン・ファンソプ委員長は「老朽設備関連の安全管理特別法を制定するよう要求してから20年が過ぎた」とし、「私の事業場では常に爆発・ガス露出事故が起きている。ただ、人命の被害があるかないかによって問題になるだけだ。戦争のような現場には、すでに30年以上も経った老朽化した設備が多い。爆発してガスが漏れれば、想像を絶するものだ」と警告した。
民主労総は「麗水などの国家産業団地に対する実態調査と改善対策は、ここ10年間全く行われていない」とし、国家産業団地の官民合同調査委員会を設置し、△老朽化した化学設備の実態、事故の現状、維持・補修の実態調査と対策、△請負契約、元・下請労働者の労働条件の実態調査と対策、△安全保健管理体系の実態と対策、などを調査すべきだと指摘した。
労働界の官民合同調査は無理な要求ではない。労働部は、17年のサムソン重工業のクレーン死亡事故後、連続して発生する造船業の下請け災害に、関連労使が推薦する民間の専門家が参加する特別調査委員会を立ち上げた。化学事故でもハンファトータルの爆発事故後、労働部、環境部、労組、専門家などで構成された民官合同調査団が運営された。その他にも、九宜駅のキム君死亡事故調査委員会、キム・ヨンギュン死亡事故以後に5つの発電会社を対象にした特別調査委員会などの先例がある。
2022年2月24日 民衆の声 カン・ソギョン記者