「成果の圧力が生んだ殺人」・・・入社1年で自死したサムソン電子の研究員、遺族が「労災」申請/韓国の労災・安全衛生2026年05月06日

サムソン電子で半導体研究員として働き、入社1年で命を絶ったキム・チヨプさんの遺族が、6日に労働災害を申請した。遺族は、サムソン電子が高帯域幅メモリ(HBM)半導体の開発で不振に陥っていた状況で、過度な「成果圧力」を掛けたことによるストレスが原因で死に至ったと主張している。
キム・チヨプさんの遺族は6日、労働福祉公団華城支部に故人の産業災害の認定を求める申請書を提出した。遺族によると、キム・チヨプさんは大学院で新素材工学を専攻し、2024年4月にサムソン電子メモリ事業部華城事業所に入社した。故人は当時、サムソン電子の経営陣が例外的に謝罪文を発表するなど、業績不振に苦しんでいたHBM開発業務に関わっていたが、昨年3月に亡くなった。
遺族側は、キム・チヨプさんが会社からHBM開発の成果を求める圧力を受けたために死亡したのは、労災に該当すると主張した。遺族や「半導体労働者の健康と人権を守り」(パノリム)などの市民団体は、この日サムソン電子の本社前で記者会見を行い、関連する状況や記録を公開した。
遺族側によると、故人の業務メモには「会社の廃業」「私は問題の多い人です」「早く早く早く」などと記されていた。極度の業務ストレスが想像できる内容だと主張した。『嫌がらせ』『待機命令』『解雇』など、雇用不安を示す表現もあった。
故人のSNSや診療記録には「上手くやろうとしているのに、間違っている」「パート長の期待に応えられていない」といった内容が残っていた。故人は昨年2月に精神科でうつ病の所見があるとされ、治療を勧められた。その年の3月には、会社の人事部の勧めで社内のメンタルヘルスクリニックで診療を受けた。
故人は昨年3月にチーム・プロジェクトを発表した後、SNSに「痕跡も残さず消えたい」という文書を残し、自宅で死亡しているのが見付かった。遺族は故人が亡くなってから1年以上、労災であることを証明するために、故人のインターネットの検索履歴などの関連資料を収集してきた。

息子の写真を持って記者会見に参加したキム・ヨングさんは、「息子がSNSに残した文章は単なる感情表現ではなく、限界に達した人が出す構造的な信号だった」と話した。「息子の死は個人の問題ではなく、サムソン電子の業績圧力が作り出した構造的な殺人だ」と主張した。
遺族側の代理人のイ・ソンミン労務士は記者会見で、「入社後、故人の診療記録を見ると、わずか数か月の間に抗うつ薬の服用量が日増しに増加し、不安や睡眠障害といった症状で、薬が追加された」と明らかにした。彼は「労災の判断で重要なのは、業務過程で経験したストレスとそれに伴う精神的な苦痛の有無だ」とした。
サムソン電子の関係者は記者との電話で、遺族の労災申請について「特別な立場にはない」と話した。この関係者は「相談日誌などの関連資料は、遺族に誠意を持って提供している」と話した。
2026年5月6日 京郷新聞 ウ・ヘリム記者


