死亡事故上位10社のうち7社が「大型建設会社」···起訴された企業は「0」/韓国の労災・安全衛生2025年8月11日

重大災害処罰法の施行後、三年間で最も多くの死亡事故が発生した企業10社のうち7社が大型建設会社であることが判った。しかし重大災害処罰法違反の疑いで起訴された所はまだ一ヶ所もない。
11日、雇用労働部が国会に提出した『重大災害処罰法捜査着手事業場状況』によれば、2022年1月の法施行以後、3月までの事故発生件数基準で1位は大宇建設と韓国電力公社(各11件)だ。続いて現代建設(10件)、ロッテ建設(9件)、現代エンジニアリング、DLE&C(8件)、ハナ・オーシャン、ケリョン建設産業(7件)、韓国鉄道公社・山林庁(6件)の順だ。該当事業場で発生した死亡事故の内、労働部が捜査に『着手』」した基準で作成された集計だ。
これらの中で、大宇建設・現代建設・ロッテ建設・現代エンジニアリング、DLE&C、ハナ・オーシャン、ケリョン建設産業は、全て施工能力評価基準で上位圏に属する大型建設会社だ。大宇建設は昨年だけで6件の死亡事故が発生して7人が死亡し、現代エンジニアリングは今年に入って3月までに三件の死亡事故が発生して6人が死亡した。今年に入ってだけで四件の死亡事故が発生したポスコE&Cを対して李在明大統領が「未必の故意による殺人」とし、関係部署に「免許取り消しを検討せよ」と言及した点を念頭に置けば免許取り消し対象が一つや二つではないわけだ。
大手建設会社で発生した死亡事故は、概ね後進国型の事故だった。具体的には2022年1月から3月までの約三年二ヶ月間、これら七ヶ建設会社で発生した死亡事故60件中、落下(26件)·衝突(13件)·下敷き(6件)·挟み(4件)·刺され(3件)のような52件が通常事故だった。基本的な安全措置さえ執られていれば、防げる事故だったという意味だ。
一つの例として昨年6月、ケリョン建設産業のソウル市麻浦区の現場では開口部の鉄板の蓋が開口部に落ち、その下で働いていた下請け業者の管理者の頭に当たって死亡した。開口部のカバーを設置する時は、ひっくり返ったり落ちたりしないようにしなければならないという産業安全保健規則が守られたとすれば、発生しなかった事故だ。
しかし建設会社は事故原因を『作業者のせい』にする傾向がある。国土交通部が運営する『建設工事安全管理総合情報網』(CSI)で死亡事故申告内訳を見れば、七大建設会社は死亡事故の内の27件に対して『作業者の不安全な行動』や『不注意』を事故原因と指定した。国土交通部の指針に従い、建設会社は事故発生から6時間以内にこれを国土交通部に申告しなければならない。建設労組のチョン・ジェヒ労働安全保健室長は「現場労働者の話を聞いてみれば、元請けの管理不十分で発生する事故が多いのに、あまりにも簡単に労働者の不注意を責める傾向がある」と話した。
これらの建設会社の中で重大災害処罰法違反の疑いで起訴された所は一ヶ所もない。労働部と検察の重大災害処罰法の捜査が長期化し、似たような死亡事故が続いて発生しているわけだ。特に、このような捜査の長期化は、繰り返す重大災害事故に対する加重処罰そのものを困難にする。現行の重大災害処罰法は、該当法違反で確定判決を受けた後、五年内に重大災害を犯した場合には、加重処罰をするよう定めている。
江原大法学専門大学院のチョン・ヒョンベ教授(労働法)は「前政権には、重大災害処罰法を速かに処理すべきだという意志自体がなかった。」「新政権は、検事の管轄区域を広域化し、専門担当チームを置き、起訴を決める最小限の基準を作ってシステム化しなければ、捜査速度は速くならない」と明らかにした。
2025年8月11日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者 ナム・ジヒョン記者