建設給付金法改正を求める/国会●全国連絡会らが集会&シンポジウム

2023年12月6日、建設アスベスト訴訟全国連絡会と首都圏建設アスベスト訴訟統一本部が衆議院第1議員会館大会議室において、「建設アスベスト給付金法改正を求める政策提言集会&シンポジウム」を開催し、議員・秘書ら31名を含めて約300名が参加した。

前半の政策提言集会では、北川誠太郎・首都圏統一本部事務局長が「建設アスベスト訴訟の到達点と今後の課題」について提起。神奈川1陣差戻審で東京高裁の和解勧奨に唯一ノザワが応じて5月19日に原告4人との間で初めて和解が成立。5月31日には、他の4社に賠償金支払いを命じた判決が下された。6月30日には、12社に賠償金の支払いを命じる大阪2・3陣大阪地裁判決があった(2023年8月号参照)。10月10日には東京1陣差戻審が結審したが、東京高裁は再び原告と被告双方に和解を勧奨し、和解協議の場を設定するとした。東京1陣は原告数が多く影響も大きいと考えられるなかで、原告側は、解体改修作業者原告は判決を選択し、他は基本的に和解を検討する方針で望んでいる。

他方で、建材メーカーへの働きかけも継続しているが、ニチアス、MMK、日東紡績、日鉄ケミカル&マテリアル、ノザワ、日本インシュレーションは交渉に応じたものの、A&Aマテリアルなど数社は代理人すら合わないとする態度を撮り続けている。和解に応じたのはノザワだけで、基金制度による解決に対しては、「1社だけでは判断できない」「国から言われれば検討する」など、消極的、否定的な態度にとどまっている。

厚生労働省との継続協議、経済産業省とも2回の交渉したが、リーダーシップを取るには至っていない。

全国連絡会は、2020年に「建設工事従事者に対する石綿被害補償基金制度~私たちの提案~」を公表しているが、最高裁判決と建設アスベスト給付金法の成立、その後2年間の状況を踏まえて、この日あらためて、「給付金法改正提案~私たちの提案~」(すべての建設アスベスト被害者を対象とし、建材メーカーも拠出する建設アスベスト給付金法の改正を)を提案した。

政策集会&シンポジウムも踏まえて提案を確定させたうえで、年明けからその実現に向けた取り組みを本格化すると表明した。

その後、埼玉原告の大阪春子さん、東京原告の勝田幸子さん、千葉原告の川本陽子さん、神奈川原告の大園キヨさん、大阪原告の高木敏子さんから、訴えが行われた。

後半のシンポジウムは、清水謙一・全国連絡会事務局長、吉村良一・立命館大学名誉教授、関礼子・立教大学教授をシンポジストとして、前記提案が紹介された後、その内容を深めていく内容であった。

【建設アスベスト訴訟弁護団】建設アスベスト給付金法改正を求める政策提言集会&シンポジウム

当日の様子はYouTube動画で視聴することができる。

安全センター情報2024年3月号