欧州(ヨーロッパ)の労働組合はアスベスト(石綿)と鉛誘導体の限界値の改訂を要求-2021年2月16日 欧州労働組合連合(ETUC)

労働におけるアスベスト指令 2009/148/EC及び化学的因子指令 98/24/ECの改訂に関する社会パートナーとの協議の第1ステージに対する対応として、欧州労働組合連合(ETUC)は欧州委員会に対して、アスベスト及び鉛とその化合物についての職業曝露限界(OEL)を下方修正するよう要求している。

ETUCによれば、現在欧州連合で実施されているアスベストについてのOEL(0.1繊維/cm3)は、曝露する労働者に十分な保護を提供していない。国際労働衛生委員会(ICOH)の専門家による勧告*に基づいて、ETUCはすべてのEU加盟国について0.001繊維/cm3、現在EU27加盟国で最低のオランダの値の半分、の限界値の確立を求めている。欧州の労働組合の意見では、OELの改訂は欧州におけるアスベストの根絶を目的としたよりはばひろい計画の一部でなければならない。その他必要な措置のなかでもETUCはとりわけ、各欧州諸国におけるアスベストが使用されている建物の登録制度の確立、及び曝露労働者のための訓練とアスベストによる職業病の認定・補償支払いの改善を求めている。アスベストはEUにおける少なくとも年47,000件の職業がん死亡の原因になっていることを覚えておく必要がある。

鉛とその化合物は生殖毒性物質、すなわち曝露する男女に生殖の問題を引き起こす。そのようなものとして鉛とその化合物は化学的因子指令の対象であり、義務的なOELと生物学的限界値(BLV)が設定された唯一の有害物質である。現行のEUの限界値(150 µg/m3及び血液中700 µg)は1980年代初めに設定されたもので、それ以来改訂されていない。ETUCは、高いレベルの健康保護の確保と労働における男女の平等な取り扱い保証の観点から、これらの限界値を厳しくすることを要求している。欧州化学物質機関(ECHA)の意見のなかで最近提案された血液中150 µgの鉛というBLVは、出産可能年齢の女性の子を保護するのに十分ではないことから、本質的に差別的である。

ETUCはまた、生殖毒性物質に曝露する労働者に関連するリスクに対するCADによる保護のレベルが低いことを批判するとともに、ドイツとフランスを含め8つのEU加盟国の国内法令がすでに行っているように、そのような物質を発がん性・変異原性物質指令の対象とする要求を繰り返している。最後にこれも大事なことだが、ETUCは、ポリウレタンフォームの生産にひろく使用される物質で、職業性喘息を引き起こす、ジイソシアネートについてのOELの化学物質指令のなかでの設定を要求している。

* 古谷杉郎他「グローバル・アスベスト・ディザスター」にリンクを貼ってある。
原文:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29772681/
日本語訳:https://joshrc.net/wp-content/uploads/2020/04/joshrc201811.pdf#page=51

出典は、https://www.etui.org/news/unions-call-updated-limit-values-asbestos-and-lead-derivatives

〇アスベスト指令・化学的因子指令見直しの協議-欧州委員会 2020.12.17 C(2020)8944 final
〇アスベスト指令・化学的因子指令見直しの意見-欧州労働組合連合(ETUC) 2021.2.9