より強固なアスベストからの労働者の保護-欧州議会ニュース 2021.10.20

・現在の職業曝露限界値を下げる必要がある。
・既知のすべてのアスベスト関連疾患が職業病として認識されるべきである。
・アスベストはEUで年間3万から9万人の死亡を引き起こしている。

EU(欧州連合)は、アスベストへの労働者の曝露を減らし、安全な方法で建物からアスベストを除去する必要がある、とMEP(欧州議会議員)らは、水曜日に採択された決議で言っている。

アスベストは、依然としてEUでもっとも重要な労働衛生上の課題のひとつであり続けている。このことを念頭に置いて、MEPは[欧州]委員会に対して、建物からすべてのアスベストを除去するための欧州戦略(ESRAA)を提示するよう求めている。この枠組みには、様々な種類のアスベスト繊維とその健康への悪影響の評価を含む、アスベストからの労働者の保護に関する新しい立法提案と現在の立法の最新化が含まれていなければならない。

最新の科学的アドバイスに従って、MEPは、現在の拘束力のある職業曝露限界値(OEL)を、現在の限界値である0.1繊維/cm3から0.001繊維/cm3に引き下げることを求めている。

建物の義務的なスクリーニング

「欧州の改修の波」、すなわち2030年までに3,500万棟の建物の改修に資金を提供するという委員会の計画に関連して、MEPは、緊急かつ義務的なアスベストのスクリーニングと、改修工事を開始する前に建物からアスベストを除去することを要求している。この義務の財政的及び管理的影響を軽減するために、利用可能なすべてのEU資金を割り当てる必要があり、また、移行期間を導入する必要がある。

MEPはまた、公共及び民間の建物でみつかったアスベストその他の有害物質の公的な全国デジタル登録の確立を求めている。枠組み指令では、これらの登録の最低基準を規定しなければならない。

職業病の認定と補償の最低基準

アスベスト関連疾患の多くの症例が職業病として認定されておらず、被災者から補償を奪っている。したがって、MEPは、すべての既知のアスベスト関連疾患を含むすべての職業病が認定されることを確保する立法提案と、被害者の補償の最低基準を求めている。

MEPはまた、潜伏期間の長い職業病の被害者を支援するためのオンブズパーソンを確立するための加盟国向けの提案を提出するよう委員会に求めている。

決議は、賛成675票で採択され。反対は2票、棄権は23票だった。

引 用

「ほこりっぽい天井や狭い地下室では、グリーンウェーブの一環として欧州の建物がクライメイトニュートラル(気候中立)に改修されるときに、建設労働者が今後10年間にわたって、過去10年間に大量に使用したアスベスト繊維にさらされるリスクがある。いますぐ行動が必要である!私は、欧州のグリーンな移行は安全な労働環境を確保しなければならないと断言する。仕事に行くことで誰も死んではならない」と、報告者のニコライ・ヴィルムセン(赤緑連合・デンマーク)は言う。

背 景

アスベストは、私たちの日常生活の多くの分野で、建築物その他の材料に世界中で使用されている非常に危険な発がん性物質である。これは、主に職業がんを介して、欧州連合で年間3万から9万人の死亡を引き起こしている。欧州で認定されている職業性がんの80%はアスベスト関連である。アスベストは、石綿肺、中皮腫、肺がんの原因であることが証明されており、後者はEUでもっとも一般的な職業病である。

https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20211014IPR14932/protect-workers-from-asbestos-more-robustly

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