12日連続勤務のあとで死亡 ソウル医療院の清掃労働者に産災(労災)認定 2021年2月23日 韓国の労災・安全衛生
12日間連続して働き、肺炎で亡くなったソウル医療院の清掃労働者の死亡が、1年8ヶ月振りに産業災害と認定された。
勤労福祉公団は2019年6月5日に亡くなったソウル市傘下のソウル医療院の美化員・シム(当時60才)さんの死亡を、業務上疾病(産災)と認めたと明らかにした。シムさんは2019年6月4日に出勤したが早退し、自宅で激しい嘔吐をして鼻血を流して倒れ、ソウル医療院に入院したが、翌日に亡くなった。死亡原因は肺炎だった。
民主労総公共輸送労組医療連帯本部・ソウル地域支部は、シムさんが亡くなる前の12日間、一日も休まずに働いた過労状態にあり、病院の廃棄物に感染して死亡したと主張してきた。しかしソウル市は、シムさんが12日連続して働いたという事実を否認し、医療廃棄物感染の可能性もなく、シムさんの基底疾患が死亡原因だと主張した。
労組によれば、業務上疾病の判定の過程で、職業環境研究院と公団は、シムさんの死亡は医療廃棄物の感染との関連性が高いと判断した。シムさんが肺炎桿菌に感染し、白血球の急激な減少と肺炎を発症したための敗血症で死亡し、この感染は病院の廃棄物の運搬・荷役・分離などに因る可能性がある、という理由からだ。また、一般的に、廃棄物処理作業者は肺炎桿菌を含む様々な細菌に高い濃度で曝露するが、シムさんは常に病院の廃棄物を扱う業務を行い、軍手の上からビニール手袋をして、廃棄物を一つひとつ分離していたことも産災認定の根拠になった。また、高圧滅菌器を随時設置して使うなど、感染の危険が高い労働環境だった点も産災認定の理由になった。公団と職業環境研究院は、シムさんが連続勤務で肉体的な疲労が過重だったことも、業務遂行中に急性感染した原因と見た。
労組は「感染への曝露が高い環境での死亡事件ということが、国家機関から認められた」とし、「ソウル医療院は過ちを認めて、遺族と同僚の職員に謝罪し、労働尊重の現場を作ることを約束すべきだ」と指摘した。
2021年2月23日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者