3人のベトナム人技能実習生を除染作業に従事させた会社を提訴: 福島地裁郡山支部

9月2日、福島県内で除染作業に従事させられたベトナム人技能実習生の3人の男性が、雇主の(株)日和田に対して損害賠償請求の裁判を福島地裁郡山支部に提訴した。原告の3人のベトナム青年はすでに帰国しているため、9月4日、厚生労働省の記者クラブで、代理人弁護土、全統一労働組合、東京労働安全衛生センター、技能実習生権利ネットワーク、移住者と連帯する全国ネットワークが記者会見を行った。

除染作業に1年間前後従事

ベトナム人技能実習だったGさん、Tさん、Lさん3人は、2015年7月に来日、同年8月から福島県郡山市の建設会社、(株)日和田で技能実習をはじめた。
3人の技能実習は、鉄筋施工、型枠施工だったが、2016年8月から2018年3月にかけて、郡山市と本宮市の住宅地や森林での除染作業、さらには当時、避難指示解除準備地域内であり、一般の立ち入りが禁止されていた浪江町での下水道配管工事に従事させられた。支援団体の調査では、Gさん320日、Tさん425日、Lさん306日間、除染業務と浪江町での配管工事に従事している。

法違反だらけの除染作業

除染業務を行う事業者は、除染電離則1)に基づき、除染作業に従事する作業者に対して特別教育を実施し、放射線被ぱくの危険性や防護対策等についての知識や実習経験を提供しなければならない。しかし実際は、厚生労働省の特別教育用の動画を彼らに視聴させただけだった。
また、除染特別地域2)で避難指示解散準備区域だった浪江町での配管工事業務は、特定線量下業務3)に該当していた可能性があるにもかかわらず、特別教育を行わず、彼らの被ばく線量も記録していなかった。そもそも法務省に提出した技能実習計画とはまったく関係がない除染業務や配管工事に従事させたのは明らかな不正行為である。そのため会社は、法務省から技能実習生の受入れ停止処分(3年間)を受けた。

不誠実団交から提訴へ

3人が加入した全統一労組は団体交渉を通じて、会社が十分な事前教育者行わず、実習計画や麗用契約に反して除染業務の被ばく労働に従事させたことについて、謝罪と補償を要求した。また、浪江町での就労の実態、被ばく線量、元請事業者と請負関係に関する情報提供を求めた。しかし、2度にわたる団交を通じても会社は組合の要求を拒否。東京都労働委員会への斡旋も拒否したため、2019年1月、不当労働行為救済の申し立ても行った。会社は、誠実に話し合いで解決する意思がまったく見られない。実習期間が終了した3人はベトナムに掃国したが、会社の責任を追及するため裁判を提訴する意志を弁護団、支援団体に託した。
ぜひ技能実習生の除染被ばく労働裁判にご注目ください。

1) 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則
2) 除染特別地域等 放射性物質汚染対策処理特措法に規定する「除染特別地域」
3) 特定線量下業務 除染特別地域等内にあって、事故由来放射性物質による平均空間線量率が25μSv/h(マイクロシーベルト毎時)を超える場所で事業者が行う、除染などの業務以外の業務

東京労働安全衛生センター

安全センター情報2020年1・2月号