会社は有機溶剤中毒を否定するも労災認定/ 岐阜

岐阜・大垣の日電精密工業KK(従業員400人、携帯やDVDレコーダーなどの電子部品製造)で10年働いていたTさんが、頭痛、めまい、食欲不振で休業したのが2007年1月。名古屋労災職業病研究会に相談に来て、休
業に入り、2~3か月ですっかりよくなった。

労災申請後、3月末で退職したが、12月に労災認定をかちとった。有給休暇で休み、最後の3日分の休業補償と治療費が出たただけで金額的にはたいしたことはなかったが、内容では会社の主張(職場の有機溶剤の環
境は基準値内で心配ない、有機溶剤の特殊健診でも他に調子の悪い人はいない)を完全に論破したものだった。

2月3日に、労職研事務所で20余名が参加して報告集会が持たれた。最初に本人からの報告。2004年頃に、プレスの洗浄機が大型のものから小型に変わり、打ち抜き油も噴霧式となり、プレスと同時に洗浄を行うようになってから、症状が出たという。以前は、洗浄液が室内に漏れないで作業していたのが、打ち抜き油とともに高温で外に揮発するようになり、局所排気もなくなり、全体換気も全くない。電子部品の細かな作業なので、埃を嫌って窓が常に閉じられていたことがあげられた。打ち抜き油(これには微量のキシレン含有)と洗浄液の複合的な作用で、他の仲間も頭痛やめまいを訴えていた。
自分は辞めたが、職場の状況はほとんど変わらず、そのことが心残りと話した。

ついで、主治医として意見書を書いた杉浦裕医師から、意見書に則った説明があった。
大垣労基署からは、「職場の環境測定で(キシレンが)基準値以下のこと、有機溶剤健診で職場の他の人は全く異常がないこと、そのような状況でなぜ有機溶剤中毒
と判断できるのか」という、予断と偏見に満ちた依頼だったことをあげ、打ち抜き油に1%くらいしか含有されないキシレンの尿中代謝産物が検出されたことは、大
量に吸っていたことを逆に証明していること、他の同僚の尿中にもキシレン曝露を示す尿中代謝産物が認められ症状もあったこと、全体換気や局所排気が全くなかったこと、などを明らかにしたと報告した。

意見交換では、トヨタの期間工をしていた労働者が、大手でも、有機溶剤の職場の学習はきわめていい加減だった。溶剤の槽の掃除をしたが、マスクや換気はなく、頭がくらくらして倒れそうだった」と報告。また、「親戚が町工場で有機溶剤のドラム缶を使用しているが、まったく換気もなく、危険という意識もない。どうしたものか」という相談もあった。
中小だけでなく、大手でもおざなりな対策という現実が明らかになったと思う。

名古屋労災職業病研究会

安全センター情報2008年5月号