職場における熱中症日本の状況と情報

別掲図は、日本における2013~22年の「職場における熱中症による死傷者数の推移」である。令和4年の数字は5月29日に公表されたもので、以下のように解説されている。
「令和4年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、827人(前年比266人・47%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。また、熱中症による死亡者数は30人(前年比10人・50%増)であり、建設業(14人)や警備業(6人)で多く発生しています。死亡災害には、多くの事例で暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育を行っていませんでした。また、『休ませて様子を見ていたところ容態が急変した』、『倒れているところを発見された』など、熱中症発症時・緊急時の措置が適切になされていませんでした。」
厚生労働省の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)」ページに掲載されている(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html)。ここでは、第14次労働災害防止計画において、下記のとおり目標が設定されていること

  • アウトプット指標:熱中症災害防止のために暑さ指数を把握し活用している事業場の割合を2023年と比較して2027年までに増加させる。
  • アウトカム指標:増加が見込まれる熱中症による死亡者数の増加率※[当期計画期間中の総数を前期の同計画期間中の総数で除したもの]を第13次労働災害防止計画期間と比較して減少させる。

及び、3月3日制定、5月29日改訂の令和5年同キャンペーン実施要綱のほか、令和3年4月20日付け基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」等が掲載されている。
また、「職場における熱中症予防に用いる機器の適正な使用法等周知事業」の外部リンクとして「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」というサイトも設定されている(https://neccyusho.mhlw.go.jp/)。しかし、2023年に掲載された情報では、前記令和5年同キャンペーン実施要綱のほかは、5月18日掲載の「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」くらい。2022年は6本、2021年は10本の情報が掲載されているが、「世界の平均気温が観測史上最高を記録」する等のこの夏ここ数年の状況に危機感をいだいて発せられたような情報は見当たらないように思われる。
その点では、「熱中症予防のための情報・資料サイト」とそこからアクセスできる、他の厚生労働省の情報サイトや、環境省、気象庁、消防庁の情報サイトも同様なのではないだろうか。
あるいは上記にまだ掲載されていないだけで、この夏の職場における熱中症に関する速報なり、警報がすでに発せられている可能性もあるかもしれないが、危険にさらされている現場から動き出すことがもっとも重要である。

安全センター情報2023年10月号