重大災害の危険性が高まる二次電池工程、予防対策には「穴」 2023年12月17日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

火災・爆発事故の危険が大きい二次電池が労働者の生命も脅かしている。二次電池用素材の製造工程で重大災害が発生しているにも拘わらず、安全予防対策はきちんと用意されておらず、懸念の声が高い。

<毎日労働ニュース>の取材を総合すれば、二次電池用陰極剤の素材として使われるシリコンパウダー製造業者の㈱MGエネルギーで、15日に発生した爆発事故で労働者2人が死亡し、2人が負傷した。雇用労働部はMGエネルギーに特別監督を実施し、二次電池生産の類似の工程がある業者六ヶ所に緊急点検を始めた。

事故は15日に牙山市のMGエネルギーの工場で発生した。労働者が粉末貯蔵庫(サイロ)の中を清掃していたところ、火災・爆発が発生し、作業に参加していた労働者1人が現場で死亡した。重傷を負った労働者2人の内1人も16日に亡くなった。後の1人は軽傷だ。今回の災害で亡くなったり怪我をした労働者4人のうち3人は、MGエネルギーと請負契約を結んだ清掃業者所属の労働者で、現場で亡くなった労働者はMGエネルギーの所属だ。

労働部は事故現場に作業中止命令を出し、火災・爆発事故の原因と産業安全保健法違反の有無を調査中だ。該当の事業場は常時勤労者が5人で、「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)は適用されない。

シリコンパウダーは二次電池用シリコン陰極剤の製造に使われ、最近関心を集めている新素材だ。しかし、シリコンパウダーの可燃危険性は未だ良く知られていない状況だ。

労働部の関係者は「未だ火災原因は究明されていない。」「シリコンパウダー自体に可燃危険の素地があると見られ、シリコンパウダーを多く製造する業者六ヶ所を先ず緊急点検し、予防しようと思う」と話した。充電と放電が可能な二次電池は、陽極と陰極、充電物質の電解質で構成されているが、化学的な反応性のために火災・爆発事故の危険が大きい。2019年に忠清北道の二次電池用の前駆体生産工場のマンガン溶解槽の爆発事故で、2人が火傷を負ったこともある。

リュ・ギョンヒ産業安全保健本部長はこの日事故現場を訪問し、「産業安全保健法違反の有無について厳正に捜査し、適正に責任を問う」と話した。

2023年12月17日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者

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