「小さな事業場の労働者の生命も民生」 2023年12月04日 韓国の労災・安全衛生
政府と「国民の力」が50人未満の事業場に「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の適用を更に二年猶予しようとし、労働界が「無力化の試みを中断せよ」と反発した。
「労働者の民生はどこへ行ったのか」
民主労総は4日に記者懇談会を行い、重大災害処罰法の猶予を決めた政府与党を批判した。韓国労総もこの日声明を出し、「労働者が安全で健康に働く権利を単純に人数で差別することは、政府と国会がすべきことではない」とし、「重大災害処罰法の50人未満の事業場への適用猶予推進を直ちに中止せよ」と明らかにした。
2021年1月26日に制定された重大災害処罰法は、附則で「50人未満の事業場は公布後三年が経過した日から施行する」と明示している。これに伴い、2024年1月27日から、50人未満の事業場に対しても法が適用される。しかし政府与党は3日、高位協議会を開き、80万の中小企業では準備がされていないとし、9月に国民の力のイム・ウィジャ議員が発議した重大災害処罰法改正案を推進する意思を明らかにした。改正案には、50人未満の事業場への重大災害処罰法の適用猶予を更に二年に延長する内容が盛り込まれた。
民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は、「党政は50人未満の事業主の処罰を回避するために『民生』という言葉を使った。」「50人未満の事業場の労働者の民生はどこに行ったのか」と反問した。更に、「この三年間(2020年~2022年)間の労災死亡者6375人の63%が50人未満事業場労働者であり、事故死亡者2584人では、50人未満の事業場の労働者が80%を占めている。」「50人未満の事業場に適用猶予を延長することは、『耐えれば良い』という認識を拡散させ、法を丸ごと無力化する改悪の推進だ」と批判した。
『準備ができていない』という政府の主張は嘘
民主労総は「80万社の中小企業で準備ができていない」という党政の主張は、「設計された実態調査に基づいた主張」として一蹴した。中小企業中央会が5月に発表した「中小企業重大災害処罰法評価と安全管理実態調査結果報告書」によれば、5人以上50人未満の事業場の在職者250人を対象にしたアンケート調査で、59.2%の回答者が「2024年1月27日までに、重大災害処罰法の遵守は可能」と答えた。しかし、中小企業中央会が8月に発表した「50人未満重大災害処罰法対応実態と事例調査報告書」では、5人以上50人未満の中小企業の在職者892人の80%が、「重大災害処罰法の施行準備ができていない」とした調査結果が出ている。同じ調査機関、似たような質問から、全く異なる結果が導き出されたのだ。
チェ・ミョンソン室長は「5月に発表された調査は、業種と地域を按配したが、8月に発表した調査は製造業が大部分で、役員中心のアンケート調査だった。」「適用猶予延長を要求するための実態調査が設計されたようだ」と、疑問を提起した。
民主労総は「共に民主党の適用猶予延長議論は、総選挙を前にした政治取引」とも批判した。民主党のホン・イクピョ院内代表は、「政府の公式謝罪、法施行のための準備計画と予算支援案、二年猶予後に必ず施行するという政府と経済団体の立場の公開、という三つの条件を前提に、猶予案を処理できる」と表明したことがある。
チェ・ミョンソン室長は「議論の前提条件として提示した政府の対策と予算の支援対策は、範囲と限界の提示がなく、80万中小企業事業場の準備が一定程度でなければならないという基準もない。」「労働界との対話もなく、民主党が適用猶予のための前提条件を発表したことは非常に遺憾」と話した。
民主労総は5日に国会の前で決議大会を行い、国会前での座り込みを始める計画だ。
2023年12月4日 毎日労働ニュース チョン・ソヒ記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=218630