重大災害の1割が公共部門で発生・・・非正規職・下請けに集中 2022年11月9日 韓国の労災・安全衛生
「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害法)の施行以後、重大労災10件の内1件は公共部門で発生したことが分かった。事故は期間制・下請け労働者に集中しているが、『模範使用者』であるべき公共部門が、十分な労働者の安全確保措置を執っていないのではないかと指摘されている。
『ハンギョレ』の取材を総合すると、1月27日の重大災害法施行以後、8日までに、中央行政機関・地方自治体・公共機関で発生した重大労災は18件で、18人が亡くなった。同期間に発生した重大労災は183件(202人死亡)で、公共部門での発生率が9.8%に達する。統計庁の公共部門の雇用統計によれば、2020年の公共部門全体での雇用比重は11.2%だが、公共部門は災害率が高い建設業・製造業などを直接行わないだけでなく、事務職の比率が高いことを考慮すれば、9.8%は低い数値ではない。
機関別の発生状況を見ると、中央省庁傘下の公共機関が9件で最も多く、地方自治体(教育庁を含む)8件、中央行政機関は1件だった。重大災害死亡者18人の内、直接雇用の正規職労働者(公務員を含む)は7人、期間制・公務職・下請け労働者は11人だった。重大災害で亡くなった3人に2人は期間制・下請け労働者だった。特に、期間制労働者は、伐採作業中に木にぶつかったり敷かれたり(山林庁・泗川市)、街路樹作業中に揚水機の火で火傷を負ったり(釜山江西区)、街路樹の枝切り作業中に電線に感電して(ソウル銅雀区)死亡した。
公共機関で発生した重大災害9件のうち4件は、韓国鉄道公社で発生した。韓国鉄道公社は今年、DLE&C(旧大林産業建設部門)と一緒に、重大労災発生1位の事業場として名前が上がった。韓国電力公社で2人の労働者が死亡し、韓国海洋科学技術院、韓国水産資源公団、大韓石炭公社でも死亡事故が1件ずつ発生した。
公共・民間を問わず適用される重大災害法は、機関長を経営責任者と見て、従業員の安全・保健確保と安全保健管理体系構築の義務を付加している。特に、重大災害法施行令は経営責任者に、6ヶ月に一回以上、有害・危険要因の確認・改善、下請け労働者の災害予防のための請負・委託契約の内容などを点検する義務を付与しているが、公共部門の重大災害は半分以上(13件)が点検の以後に発生した。
雇用労働部は、重大災害法施行の前後に、地方自治体と中央行政機関に重大災害予防マニュアルを作って配布したが、実質的な予防措置は不十分だと見られる。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は「事故の大部分が、産業安全保健法の基本的な安全保健措置を守っていたとすれば発生しなかった。」「産業安全保健法に対する認識が低くて事故が頻発するのではないかを検討してみる必要がある」と話した。民主労働研究院のイ・スンウ研究委員は「公共部門は人員・予算を中央・地方政府が統制しており、現場労働者の安全のための人員補充・施設改善の要求が正しく反映されていない。」「従事者の安全・保健確保のためには、機関次元ではなく、政府次元の措置が必要だ」と話した。
事故は頻発しているが、重大災害法の捜査と事故予防のための措置は遅い。同日までに重大災害法違反の疑いで機関長が立件されたのは、韓国鉄道公社と山林庁に対するものだけだ。民間企業で事故が発生すれば、労働部は大規模な現場点検や勤労監督を行うが、公共部門でこのような監督がされたことはない。労働部の関係者は「韓国鉄道公社を含め、公共部門の労災予防のための対策を検討している」と明らかにした。
2022年11月9日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者