下請け労働者死亡、元請け代表者を重大災害処罰法で初の起訴 2022年10月20日 韓国の労災・安全衛生

建設現場の死亡事故で、元請け業者の代表取締役が「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)違反で起訴された。重大災害処罰法の施行以前には責任を問うことができなかった下請け労働者の死亡に関して、元請け業者の代表理事を起訴した初めての事例だ。

大邱地検西部支庁は「工場の新築工事現場で発生した墜落事故を捜査し、元請け代表理事を重大災害処罰法違反罪で、元請けと下請けの現場所長を産業安全保健法違反罪で、各々起訴した」と明らかにした。1月27日の重大災害処罰法施行以後で初めての、労災死亡事故に対する起訴で、同時に元請け業者代表が起訴された初めての事例だ。

重大災害処罰法違反罪で経営責任者が裁判に付された元請け業者LDS産業開発は、慶北の慶山にある10人余りの規模の施行会社だ。発注者のソンリム先端産業は、78億ウォン規模の工場の新築工事を同社に下請けさせた。LDS産業開発は鉄骨工事(請負額3億1900万ウォン)だけを切り離して、再下請け会社であるIS重工業に請け負わせた。発注から請負(施行)-再下請け(施工)に繋がる多段階下請けの建設現場の実態がそのまま反映された。

IS重工業所属のAさん(55)は、3月29日、この工事現場で、高さ11mの屋根の鉄骨梁のボルト締結作業のために、高所作業台を上昇させた後、安全帯を使わず高所作業台を離れて作業していて墜落し、亡くなった。

検察はこの事故に関して、元請け業者が△安全保健経営方針の準備、△有害・危険要因の確認と改善業務手続きの準備、△安全保健管理責任者などの業務遂行評価基準の準備、△下請け業者の安全保健確保措置遵守可否の判断基準と手続き準備などを履行せず、下請け労働者を死に至らせたと見て労災致死罪を適用した。労働者が墜落する危険がある事業場の経営責任者である元請け業者の代表理事が、このような四つの安全保健確保義務を履行しなかった事実が認められ、これによって死亡事故が発生したということだ。

また、元請け業者とこれらの会社の現場所長は△高所作業台の離脱防止措置の不履行、△高所作業台作業計画書の不作成、△安全台付着設備の不設置などで、業務上過失致死罪に当たると見た。

検察は「今回の事件が、重大災害処罰法施行前に発生していたとすれば、元請けでは、安全保健責任者である現場所長だけが産業安全保健法違反で処罰されただろう」とし、「重大災害処罰法の施行によって、元請けの代表理事にも責任を問うことができた」と強調した。続けて検察は「産業安全保健法だけでは、労災予防と労働者の安全を図るには実効性が足りないという反省的な考慮によって制定された重大災害処罰法の立法趣旨を十分に反映した」、「遺族と円満に合意した点を考慮して、在宅起訴とした」と付け加えた。

2022年10月20日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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