カザフの生産者がロシアのアスベスト市場を追跡-2022.9.6 アスベスト禁止国際書記局(IBAS)

ロシアのウクライナへの侵攻は、文明世界に衝撃を与え続けている。国連の発表によれば、少なくとも2万5千人のウクライナ人が死亡し、さらに多くが負傷し、数百万人が亡命している。紛争による混乱は、世界中に経済の混乱、市民の不安、政治的混乱を引き起こしている。ロシア企業に対する貿易制裁の発動により、かつての輸送ルートが、侵略者に対してだけでなく、その港を利用していた他の者にとっても遮断された。そのよい事例が、2022年の戦争勃発まで、黒海のノヴォロシースクとバルト海のサンクトペテルスブルグというロシアの港経由で輸出を行っていた、カザフスタン唯一のアスベスト・コングロマリットであるコスタナイ・ミネラルズJSCが直面した状況である。

ロシアのアスベスト生産者-オレンブルグ・ミネラルズやウラルアスベスト-とまさに同様に、コスタナイは、生産したクリソタイル(白)アスベストの大半を海外に送っている。2022年3月には、例年月22,000トンあった出荷量が10,000トンにまで減少した。倉庫が一杯になり、コスタナイは生産を中止した。しかし、数か月もしないうちに、新たな物流ルートが開拓された。カザフスタンがアゼルバイジャンとグルジアと合意したことで、グルジアのポティ港を経由するルートが開設された。2022年春に運航を開始した中国西部の敦煌からの新しい「鉄道・海運結合輸送列車」は、ラオスのビエンチャン、タイのバンコクへの直行便を提供した。(2022年)8月末には、中国-欧州間の貨物列車で西安-中国北西部の陝西省の大都市-に運ばれたカザフのクリソタイル・アスベストのコンテナ41本が、ベトナムのハノイまで列車で運ばれ、この鉄道網のおかげで配送時間が20日から8日へと短縮した。最新の報告では、コスタナイの輸出は戦前の水準に戻り、問題は輸出能力の附則ではなく、カザフスタンのクリソタイル・アスベストの不足であることがわかった。

コスタナイのYerbol Nurkhozhaev社長によれば、カザフスタン産クリソタイルの需要が増えているという。
「ロシア産クリソタイルはほとんどの市場で姿を消している。これは、政治情勢とロシアに対する制裁措置の両方が原因である。その結果、われわれの製品への需要が高まっている…われわれは、工場に三交替制を導入して、採掘と輸送両方で雇用を増やすことを考えている。そうすれば、年間3~4万トン生産量を増やすことができるだろう。」

カザフがロシア領に進出していることは間違いない。ここ数か月、ウクライナ議会がアスベスト禁止法を制定するのを阻止する試みは、ダルカン・カレタイエフ駐ウクライナ大使やバヒト・スルタノフ貿易統合省らカザフの高官が主導している。6月18日にキエフで開催された第14回国際経済協力委員会への出席について言えば、スルタノフ大臣は、ウクライナのアスベスト禁止は「われわれの[アスベスト]輸出業者『コスタナイ・ミネラルズ』に損害を与える」と述べ、遠回しな言い方はしなかった。コスタナイの社長によれば、2022年6月の国連のロッテルダム条約の会議で、最初にクリソタイルを有害物質に分類する提案に拒否権を発動したのはカザフ代表で、ロシアは二番手だったという。

世界のアスベスト貿易データは、各国政府から提供されたものであり、その一部は自らがアスベスト関係者であることから、常に疑問がつきまとわっている。現在、ロシアからどれだけのアスベストが輸出されているか、確実なことはわからない。この夏にアップロードされた、ロシア最大のアスベスト生産業者-オレンブルグ・ミネラルズ-の本拠であるオレンブルグ地域の経済状況に関するある記事は、「現在の厳しい経済状況のなかで、JSC『オレンブルグ・ミネラルズ』の販売量は5倍減少した」と書いている。アジアの仲間からは、ロシアからの出荷が進んでいるという逸話が報告されている。しかし、カザフ経済研究所の専門家であるYernar Serikが「この地域の輸出業者はインドネシアにアスベストの市場を発見した」と述べたと報告した、2022年9月5日の記事を見るのは興味深いことである。

ロシアの輸出業者が経験している物流の困難さによって、世界のサプライチェーンに大きな空白ができた。2020年に世界で生産されたクリソタイル・アスベスト110万トンのうち、カザフスタンが227,400トン(21%)、ロシアが720,000トン(65%)であった。短期的には、カザフスタンがこのギャップを埋めることは不可能である。ロシアのクリソタイル・アスベストの輸出が再開される前に、彼らの顧客の多くがアスベストフリー技術に移行していることを願うばかりである。

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