【ロシア軍侵攻以前のウクライナにおけるアスベスト禁止をめぐる動き③】ウクライナのアスベスト禁止:2022年最新状況-2022年1月26日 アスベスト禁止国際書記局(IBAS)
昨(2021)年、ロシア軍がウクライナ国境で軍備拡張を続けるなか、国内では-ウクライナ国会が欧州連合[EU]加盟の要件に沿って禁止を公約した発がん物質-クリソタイル(白)アスベストをめぐる闘いが継続し続けた。2021年12月15日に予定されていた国会保健委員会によるアスベスト禁止法案の審議は、内外のアスベスト関係者からの強い圧力によって、事前通告なしに中止され、審議予定日の朝に委員会のウエブサイトにアップされた議題から除外されていた。
アスベスト禁止法が制定されれば、国民経済と自分たちの安全が脅かされることになるとウクライナの人々に警告する、ニュース記事を装ったアスベスト推進派の宣伝情報で現状を維持するために、無限の資源が費やされているようにみえる。このプロパガンダキャンペーンは、提案されている規制のもとでは、国内の不動産からすべてのアスベスト屋根(スレート)の撤去が義務づけられると主張している。これは事実ではないが、多くのウクライナ人がこの有害な屋根材を使用した家に住んでいるために、この脅威は国民の不安を煽ることになった。
メディアによる猛攻撃を補強するように、ウクライナ語による新たなアスベスト擁護ウエブサイト-「Stop Slate Ban」-が登場し、すべての種類のアスベストの使用中止を支持する国際機関の助言とは逆に、クリソタイルの「安全使用方針」を支持する業界の呪文を蒸し返した。2022年1月21日まで、フェイスブックページ-「Asbestos for Ukraine」-は2022年に、クリソタイルの利点と代替材料の危険性に関する「情報」を提供する5つの記事へのリンクをアップロードしていた。2021年には、「ウクライナと世界中でクリソタイルアスベストの安全性に関する詳細で信頼できる情報」を提供することを目的とした、このサイトにリンクを張った同様の多数の記事があった。
アスベスト産業の最新の策略は、今月、国会、内閣、国会委員会のあるキエフの官庁街の近くにアスベス擁護のポスターが掲示されたことである。
フェイスブックページ「Asbestos for Ukraine」、ウエブサイト「Stop Slate Ban」や新しいポスターのスポンサーが匿名のままであることを指摘しておきたい。疑うことを知らない一般の人々が、これらが独立的な情報源であると誤解することはほぼ間違いないが、真実は、それらはアスベストロビイストが企業の利益を守るために使っている、致命的な欺瞞の道具だということである。
2022年のインタビューのなかで、国民保健・医療支援・医療保健に関する国会委員会のマイケル・ラドゥツキー委員長は、クリソタイルアスベスト禁止法案を含む様々な話題について、ウクライナで誤った情報を広めている既得権益者を非難した。ラドゥツキーは言う。
「アスベストが含まれているため、屋根からスレートを剝がさなければならないというフェイクニュースまで広まっている。法案にはそのような規定はない。また、ウクライナのほぼすべての工場はアスベストフリー技術に切り替わっているので、アスベストから製品を製造している工場で働く人々の仕事がなくなることもないだろう。この法案は国会で審議されなければならない。人々の代表が、現在流布されているフェイクニュースを読むのではなく、第2読会でそれを受け入れるのに十分なほど賢明であることを望んでいる。」
われわれは、ウクライナのアスベスト戦争の進展を報告し続け、クリソタイルアスベストの危険性について真実で信頼できる情報を知りたいと望むウクライナの人々のためになりたい。未来はアスベストのない世界である。
http://www.ibasecretariat.org/lka-ukraine-asbestos-ban-2022-update.php