ウクライナがついにアスベストを禁止！－2022.9.9 アスベスト禁止国際書記局（IBAS）
2022年9月6日、ウクライナにおいてすべての種類のアスベスト及びアスベスト含有製品の使用を禁止する議会法案第4142号が制定された。その結果、「ついにわれわれわれは、健康を脅かすソ連の建設遺産を一掃し、新しい建物の建設者と居住者両方の健康を守る現代的な建材に置き換えるだろう」と、ウクライナの政治家オレナ・シュルヤック氏は語った。この禁止の実現までの道のりは、ウクライナと海外のアスベスト擁護関係者による挑戦的なキャンペーンのために、一筋縄ではいかなかった。2017年6月にウクライナの保健省が最初に、アスベストの使用を違法化したが、数か月も経たないうちに、その禁止は法務省によって取り消されてしまった。立法措置だけでなく、司法措置も何度も阻止され、ヴェルホヴナ・ラダ（国会）や市民社会団体の活動家の体力と信念が試されることになった。
火曜日（9月6日）、投票が勝利してからわずか15分後にキエフの仲間から届いたEメールには、「キャンペーン開始から14年、ついにアスベストの使用が禁止された！」と書かれていた。そのメッセージに込められた喜びは明らかであり、禁止の実現は、ウクライナ市民の健康を守るための措置であるだけでなく、あまりにも長い間、国内のアスベストをめぐる対話を支配してきた外国勢力の打破でもある。世界最大のアスベスト生産国であるロシアとカザフスタンにとっては、おとなしい消費者を目の前にすることは、常に利益となることだった。この禁止のニュースに対して、ウクライナのロクソラーナ・ピドラサ副議長は、次のようにコメントしている。
「カザフとロシアのロビーたちは何年も禁止に反対してきた。保健省によれば、2006年から2016年の間にウクライナが輸入した556,000トンのアスベストは両国からのものであり、カザフが35.5％、ロシアが64.5％だった。」
2018年から2020年の間、ウクライナのアスベストの年間平均消費量は10,000トンを超えていた。ロシアの支配下にある間は、ウクライナがアスベスト禁止に成功することはあり得なかった。
2022年9月7日、ウクライナ議会での記念すべき投票について、ウェールズ法務長官でウェールズ議会（セネッズ）議員でもあるミック・アントニウは、次のようにコメントしている。
「ウクライナ、ロシアや旧ソビエト諸国はアスベストで覆われている。問題を認識し、またアスベストの採掘と使用を停止することに消極的だった。ロシアは、世界でもっとも攻撃的なアスベスト産業を擁している。ウクライナにも問題はあるが、アスベストを禁止するというウクライナ議会による決定は、ウクライナにも深く浸透しているアスベスト産業に対する国際キャンペーンの有効性を示すものである。また、公衆と労働者の健康問題に関して、ウクライナ議会が前進していることの証左でもある。ウクライナ議会は、ロシアのアスベストの影響から完全に距離を置くという重要な一歩を踏み出した。」
ウクライナの政治家と市民社会の代表による献身的で持続的な努力は、ラマッチーニ協会や欧州労連、欧州建設林業労連（EFBWW）、国際建設林業労連（BWI）、ウクライナ建設労連－PROFBUDなど、ウクライナと国際的な専門家やキャンペーン団体による支援によって増幅された。イングランド、スコットランド、ウェールズの議員らも、2021年に採択された声明や動議で、アスベスト禁止活動家への連帯を表明した。
EFBWWのトム・デリュー書記長と同僚らは、2021年4月23日にウクライナ議会と公衆衛生・福祉・医療保健委員会委員長に宛てた書簡のなかで、次のように述べた。
「EFBWW、BWIとPROFBUDは、すべての労働者を致死的物質から保護するという目標に取り組み続けている。われわれは、クリソタイル・アスベストの禁止に対して重要な努力がなされる『公衆衛生制度に関する』法律案第4142号の最終投票に関する議会での演説について、加盟組織であり、長年にわたる姉妹組織である、ウクライナの建設労働者の組合であるPROFBUDを全面的に支持する。われわれは、数えきれない数の労働者の命を奪っている、この職場ハザードを根絶するための第一歩として、ウクライナでアスベストを禁止するあなた方の努力に全面的な連帯を表明する。」
ウクライナのアスベスト禁止のニュースは、ウクライナだけでなく、ロシアやカザフスタンのウエブサイトでも報道された。アスベスト関係者が彼らの運命のこの逆転に異議を唱えるであろうことは間違いないが、いまは、アスベストの軛を振り払うために懸命な努力をしたウクライナのすべての人々に祝福を捧げなければならないだろう。
http://www.ibasecretariat.org/lka-ukraine-bans-asbestos-finally.php
