豪雨の中、続く感電死・・・猛暑にはあって、豪雨にはないもの? 2022年8月12日 韓国の労災・安全衛生

11日、江原道で道路に樹が倒れ、消防隊員たちが運んでいる。/聯合ニュース

豪雨の中で作業をしていた労働者が感電死する事故が続き、雇用労働部が重大災害処罰法違反について調査を始めた。今回の事故を契機に労働界からは、悪天候などで作業を制限できる具体的な基準を作るべきだという声が出ている。

<ハンギョレ>の取材を総合すれば、雇用労働部は最近、記録的な豪雨の中で作業をしていた労働者2人が感電して死亡した事故に関連して、事業主が産業安全法と重大災害処罰法に違反していたかどうかを調査中だ。8日、豪雨警報が発令されていたにも拘わらず、始興の工事現場で、雨の中で作業をしていた労働者1人が鉄筋切断機で感電して死亡し、同日ソウルでも、倒れた樹木を収拾していた銅雀区庁の職員1人が電線に接触して亡くなった。雇用部は、事業主たちが災害予防義務を果たしていたかどうかを、集中して調査中だ。

産業安全保健法の下位法令である「産業安全保健基準に関する規則」(産業安全保健規則)によれば、事業主は、雨や雪、風など「気象状態の不安定」で労働者が危険になるおそれがある場合、作業を中止するように規定している。これに違反すれば、事業主は5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金に処される。

問題は「気象状態の不安定」についての具体的な基準がなく、作業中止の可否が事業主の判断に任せられているということだ。猛暑の場合、雇用労働部が体感温度によって「猛暑段階別対応要領」を作り、△休息時間、△屋外作業中止の時間、などを規定しているが、豪雨にはこうした基準がない。このため、工事期間の遵守が重要な建設業などでは、大雨の状況でも作業を強行する可能性が高い。これについて雇用労働部の関係者は<ハンギョレ>との電話で「猛暑は初期には災難に分類されず、各部署が行動要領を別に定めたが、豪雨は最初から災難管理法上の災難に分類されたので、行政安全部が一括的に作業要領を伝えている」と説明した。

しかし現場では、国民の安全を包括的に案内する行政安全部の指針だけでは不充分だと指摘されている。実際、8日の豪雨の状況で行安部が出した指針は、△出勤時間の調整、△外出の自制、△工事現場での土砂流出防止、などのレベルに止まった。

労働界は、気候の変動によって、極端な豪雨などの自然災害の可能性が大きくなっただけに、事業主の労働者保護義務を法制化すべきだと指摘する。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は「豪雨などの災害状況にも、猛暑の段階別対応要領のような具体的な基準が用意されるべきだ」とし、「更に、猛暑対応要領も『法的義務ではない』という理由で守らない事業主が多いが、(指針を法で明示して)大雨、大雪、寒冷、猛暑などの四大悪天候状況から労働者が保護されるようにするべきだ」と話した。

2022年8月12日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1054505.html