イギリス:非居住用建物からのアスベスト除去に40年の期限を設定、と下院議員は語る-Committees, UK Parliament, 2022.4.21

建物がネットゼロ[温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする]への動きに適応されるつれて健康へのリスクが高まる可能性があることから、政府は40年以内に公共・商業用建物からすべてのアスベストを除去する戦略を約束しなければならない、と下院議員は今日語った。

労働・年金委員会の報告書は、20年以上前に禁止されたにもかかわらず、アスベストがイギリスにおける労働関連死亡の最大の単一原因であり続けていることを強調する。中皮腫などのがんによるものを含め、2019年の死亡者巣は5,000人以上だった。

・アスベスト関連疾患は、「現代における最大の職場惨事のひとつ」であり、過去の曝露により毎年数千人が死亡している。

・ネットゼロへの対応における改修の増加は、今後数十年間に、より多くのアスベスト含有建材が攪乱されることを意味しており-政府横断的なアプローチを必要としている。

・執行活動を強化するために、HSE[安全衛生庁]への資金提供を増やす必要がある。

これらの死亡の多くは、35年以上前の曝露と関連している。入手可能な証拠は、若い年齢層の累積曝露量は現在はるかに少ないものの、現在の状況を理解するにはさらに多くのデータが必要であることを示している。

約30万棟の非居住用建物にアスベストが残っており、ネットゼロ改修による攪乱が劇的に増加する可能性があることから、委員会は、現在のアスベスト規制に頼るのは十分ではないとしている。長期的なアスベスト除去についての政府横断的かつ「システム全体にわたる」戦略が必要であると結論づけている。

報告書は、政府と安全衛生庁(HSE)に対して、明確な時間枠と戦略を約束することによって、すべてのアスベストを除去するという表明した目標をバックアップするよう求めている。この計画には、学校を含め、リスクの高い環境からの除去を優先順位づけする前に、まず安全で効果的なアスベスト除去に関する証拠の基礎を強化すべきである。

政府はまた、近年減少してきている、現行のアスベスト規制のHSEによる監督・執行のために適切に資金提供することを確保しなければならない。

議長のコメント

労働・年金委員会議長のスティーブン・ティムズ下院議員は、以下のように語った。

「アスベストは、現代における最大の職場惨劇のひとつであり、20世紀後半の極度の曝露は過去のものとなったものの、アスベストによるリスクは依然現実として残っている。
ネットゼロを満たすための建物の改修に向けた圧力は、今後数十年間にわたりアスベスト曝露のリスクが上昇するであろうことを意味している。個々の建物所有者や維持管理者に責任を負わせる規制に頼っていては、人々の健康を守るのに十分ではないだろう。

非居住用建物からのアスベストの除去に40年間の期限を設定することは、意識を集中させるのに役立つだろう。時は刻々と過ぎており、政府とHSEはいま、安全な除去に関する証拠を構築するとともに、学校などのリスクの高い環境を優先づける戦略的計画を打ち出さなければならない。

自由放任にしている時ではない。政府は、HSEが、パンデミック前の10年間にみられた執行活動の低下を逆転し、アスベストとその管理が安全かつ効果的に管理されていることを確保できるようにするため、適切に資金を提供する必要がある。」

主要な知見と勧告

今日のアスベスト・リスク

・20世紀の極度の曝露は過去のものとなった証拠はあるとはいえ、HSEは、非居住用建物における現在のリスクを評価するために十分なことをしていない。委員会は、職場やそれ以外の場所での現在の曝露についての説明を聞いた。HSEは、現在の曝露レベルに関するデータを収集するためのより体形的なアプローチを採用すべきである。

アスベスト管理のための戦略的計画

・HSEは、除去の費用と便益に関する研究への投資と、安全な除去のための選択肢の評価に遅れをとってきた。

・40年以内の非居住用建物からのアスベスト除去のために、いまこそ期限を設定すべきである。新しい戦略的計画は、まずもっともリスクの高いアスベストと、学校を含めもっともリスクの高い環境に焦点をあてるべきである。

・この計画は、まず最初に、相対的な費用と便益を考慮して、より安全なアスベストの除去と廃棄に関する証拠を早急に改善することを約束すべきである。

Hseによる執行とキャンペーン

・HSEが毎年発行したアスベスト執行通知は、2011/12年度から2018/19年度にかけて、60%少なくなっている。アスベスト規制の遵守がこの期間に劇的に改善したという具体的かつ説得力のある証拠はないにもかかわらず、HSEの執行活動全体と比較したとき、この減少の規模は顕著である。

・HSEは、監督・執行活動の持続的増加に取り組むべきである。委員会は、政府はこの事業計画の増加のために十分な資金提供を確保すべきであるという、2020年6月の勧告を繰り返すものである。

さらなる情報

照会:アスベスト管理に対する安全衛生庁のアプローチ

労働・年金委員会

編注:労働・年金委員会は2021年に、証拠の提供を求め、同年11月から2022年2月にかけて3回の口頭証拠陳述を開催したうえで、今回の報告書をまとめた。

https://committees.parliament.uk/committee/164/work-and-pensions-committee/news/165978/set-40-year-deadline-for-nondomestic-building-asbestos-removal-mps-say/

アスベスト禁止をめぐる世界の動き