重大災害処罰法施行にともない、産業安全監督、特定事業所から『本社・元請』中心に変わる 2022年2月7日 韓国の労災・安全衛生

重大災害処罰法が施行された初日の先月27日、高陽市のある建設現場で労働者たちが作業をしている。/聯合ニュース

政府が労働災害を防ぐために実施する事業場監督を、『本社・元請』中心の企業単位で強化することにした。現場の責任者だけでなく、経営責任者に労働者の労災死亡の責任を問う重大災害処罰法の趣旨を具現化するためだ。 採石場の土砂崩壊で労働者三人が死亡し、重大災害法適用第1号として捜査を受けているサムピョ産業に対する特別監督も実施される予定だ。

雇用労働部は7日、『2022年産業安全保健監督総合計画』を発表した。

今回の計画の核心は、監督の対象と方法を重大災害法の趣旨に合わせて変えたことだ。これまで産業安全保健監督は、特定事業所で安全規則がきちんと守られているのか、危険要因は何かなど、個別点検をすることに焦点が当てられていた。労働部は今後、本社・元請を中心に、企業単位で経営責任者の安全保健確保義務が正しく構築されているかを中心に検討するとしている。企業レベルで安全保健管理体系を構築して労災死亡事故を防ぐ、重大災害法の趣旨を反映したものだ。重大災害法は先月27日から施行された。

このような方向により、監督対象は特定の事業場だけでなく、経営上一体をなす一つの企業に属する他の事業場にまで拡大される。また、現場で確認された危険要因は、監督結果に盛り込んで本社に通報することにした。労働部は代表取締役・経営責任者などに直接監督結果を説明し、重大災害法適用時の処罰の可能性についても案内する予定だ。

下請業者の労働者に災害が多発する元請を中心に、元請が下請業者の労働者に対して十分な安全措置を執っているかどうかも、集中的に監督する。産業安全保健法上の、下請業者の労働者に対する安全措置、下請業者に対する安全・保健情報提供、メッキ作業等の請負禁止などが監督項目である。

更に労働部は、事故が発生した事業所に対する事後監督は、処罰ではなく予防を中心に改編するとした。現在は懲罰に主眼を置いて、事故発生後、通常一週間以内に監督を実施しているが、根本的に事故の発生そのものを防ぐためには、予防が効果的だという分析による変化だ。例えば建設業の場合、労災死亡事故が発生した時、全国の現場の元請と下請けはもちろん、本社監督と連携して、複数の現場に共通して現れる危険要因を確認し、改善させるやり方だ。労働部は特に「大事故発生、重大災害多発などで社会的に物議を起こした企業に対しては、四半期または半期単位で特別監督に準ずる強力な企画監督を推進する」と話した。

特別監督は、同時に二人以上が死亡した場合、直近の一年間に三人以上が死亡した場合、作業中止等の命令に違反して重大災害が発生した場合に実施する。この時も、監督対象を企業単位に拡大し、特別監督の結果を該当企業所属の全ての現場で実施できるようにすることを決めた。本社と支社が分離された事業場の場合、特別監督の対象に、本社と所属事業場のいずれも含まれる。

産業安全監督官と産業安全保健公団の全職員を投入し、安全措置を遵守しているかどうかを一斉に点検する『現場点検の日』は、点検対象を従来の50人未満の建設・製造業から、100人未満の建設・製造業と鉱業・廃棄物処理業・運輸業など、高危険業種に拡大して行う。労働部によると、50人未満の事業場には重大災害法の適用が猶予されたが、本社中心の監督方向と安全保健管理体系の構築・支援によって、労災死亡事故が発生しないよう対応するとした。労働部の関係者は、「50人未満の事業場も本社と関連しているところが多い」ので、「本社中心の監督によって、自主的に安全管理ができるようにすることに重点を置いている」と話した。

2022年2月7日 京郷新聞 イ・ヘリ記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202202071614011